ベトナムの卵事情完全ガイド!現地在住者が語るその特徴と活用法

ベトナムの食文化において、卵は欠かせない存在です。

この記事では、日本との違いや現地での入手方法、料理への活用法など、ベトナムでの「卵」に関するあらゆる情報をご紹介します。

私自身、ハノイ在住4年目のライターとして、現地の卵事情を詳しくお伝えします。スーパーでの購入方法から市場での値段交渉のコツ、そして話題の「ホットビット(ホビロン)」まで、ベトナムで生活する上で知っておきたい卵の知識をぎゅっとまとめました。

 ベトナムの卵の特徴と種類

ベトナムでは日本と異なる卵の特徴や種類があります。まず目につくのは、サイズが日本より全体的に小さめであることです。特に地方の市場で売られている地鶏の卵は、スーパーで販売されている養鶏場の卵よりさらに小さいことが一般的です。

卵の種類も豊富で、鶏卵(Trứng gà)以外にも、アヒルの卵(Trứng vịt)がよく食べられています。アヒルの卵は鶏卵より大きく、黄身が濃厚でコクがあるのが特徴です。地方ではウズラの卵(Trứng cút)も人気で、小さいながらも栄養価が高いとされています。

特筆すべきは「ホットビット」または「ホビロン」(Hột vịt lộn/Trứng vịt lộn)と呼ばれる孵化途中のアヒルの卵です。日本人には少し抵抗があるかもしれませんが、ベトナム人にとっては栄養価の高いスナックとして日常的に食べられています。発育段階によって味や食感が異なり、地元の人々は14〜17日目の卵を好む傾向があります。

卵の色も日本とは異なり、茶色の卵が主流です。白い卵も見かけますが、市場では茶色の卵の方が多く売られています。また、農村部では自家製の卵が流通しており、これらは新鮮さが特徴ですが、大きさや色にばらつきがあります。

ベトナムでの卵の購入方法と価格

ベトナムでは卵を購入する場所によって価格や品質が大きく異なります。主な購入場所は「スーパーマーケット」「ローカル市場」「コンビニ」「移動販売」の4つです。

スーパーマーケットでの購入

ホーチミンやハノイなどの大都市のスーパーマーケットでは、卵は通常パック入りで販売されています。10個入りや30個入りなど、サイズも選べます。価格は10個入りで約30,000〜40,000ドン(約180〜240円)程度です。スーパーの卵は品質管理がされており、サイズも均一で安心して購入できます。

ビンコム(Vincom)やイオンモール(AEON Mall)などの大型スーパーでは、有機卵や栄養強化卵など、プレミアムタイプの卵も販売されています。これらは通常の卵より20〜30%ほど高価ですが、品質を重視する駐在員や富裕層ベトナム人に人気です。

近年では、日系企業が生産している卵も有名で、中には生食できることを売りにしているものもあります。

ローカル市場での購入

ベンタイン市場(Chợ Bến Thành)やハンコック市場(Chợ Hàn)などのローカル市場では、バラ売りが基本です。価格交渉も可能で、通常1個あたり2,500〜3,500ドン(約15〜21円)程度です。市場では新鮮さが魅力ですが、品質にばらつきがあることも覚悟しておく必要があります。

特にホビロン(孵化途中のアヒルの卵)は、専門の屋台や市場の特定の売り場で販売されています。価格は1個あたり5,000〜7,000ドン(約30〜42円)程度で、茹でた状態で提供されることが多いです。

私の経験では、市場で卵を購入する際は、まず外観をチェックし、ひび割れや汚れがないものを選ぶことが重要です。また、定期的に同じ店から購入することで、良い品質の卵を安定して手に入れることができます。

価格の変動要因

ベトナムでは、旧正月(テト)前などの特定の時期には卵の価格が上昇することがあります。2023年のテト前には、一部地域で卵の価格が通常より30%ほど高騰しました。これは需要の増加や物流の混雑が原因です。

また、鳥インフルエンザなどの影響で、突発的に価格が上昇することもあるため、価格変動には注意が必要です。

参考データ:ベトナム統計総局の食品価格指数
https://www.gso.gov.vn/en/data-and-statistics/

ベトナム料理における卵の活用法

ベトナム料理では卵が様々な形で活用されています。日本とは異なる独特の調理法や代表的な卵料理をご紹介します。

ベトナムの代表的な卵料理

バインミーオプラ(Bánh mì ốp la)

ベトナム式の卵サンドイッチです。フランスパンに焼いた卵とパテ、野菜を挟んだ朝食の定番メニュー。屋台やカフェで手軽に食べられ、価格は15,000〜25,000ドン(約90〜150円)程度です。

北部では卵はスクランブルエッグに、南部では目玉焼きにされることが多いようです。

チャーチュン(Chả trứng)

ベトナム式の卵焼きで、挽肉やきのこ、春雨などを混ぜて蒸し上げます。家庭料理として親しまれており、特に子供に人気のおかずです。(写真左側)

コムチエン(Cơm chiên)

ベトナム風チャーハンで、卵は具材としてだけでなく、米に絡めて風味と彩りを加える役割も果たします。屋台やレストランで約30,000〜50,000ドン(約180〜300円)で提供されています。

ホットビット/ホビロン(Hột vịt lộn/Trứng vịt lộn)

孵化途中のアヒルの卵を茹でて食べる伝統的な料理です。通常、塩・コショウ・ライムジュース・生姜・ベトナムミント(rau răm)を添えて提供されます。栄養価が高く、特に男性の滋養強壮に良いとされています。夜の屋台で酒のつまみとして人気があり、1個5,000〜8,000ドン(約30〜48円)で提供されています。

家庭での卵料理のアレンジ

ベトナムの家庭では、卵を使った簡単な料理が日常的に作られています。例えば、トマトと卵の炒め物「チュンスオットチャー」(Trứng xào cà chua)は、トマトの酸味と卵のまろやかさが絶妙に調和した一品です。

また、卵をニョクマム(魚醤)で味付けした「チュンチエン」(Trứng chiên)は、日本の卵焼きとは異なる風味で、ご飯のおかずやおつまみとして楽しまれています。

私が現地のクッカーさんから教わったレシピでは、卵にハーブやスパイスを加えることで、より風味豊かな料理に仕上げることができます。特に、パクチーやミントなどのハーブを加えると、ベトナムらしい爽やかな風味が生まれます。

卵を使った伝統的なスイーツ

ベトナムには卵を使った伝統的なスイーツもあります。「バインフラン」(Bánh flan)はフランスの影響を受けたカスタードプリンで、カラメルソースをかけて食べます。
日本の昔懐かしいプリンと似ているため、日本人にも大変人気です。

また、「チェチュン」(Chè trứng)は卵を使ったデザートスープで、甘くて栄養価の高いおやつとして親しまれています。

ホビロン(孵化途中のアヒルの卵)の文化と食べ方

ホビロン(Hột vịt lộn)はベトナム独特の食文化を象徴する食べ物です。その特徴や食べ方、文化的背景について詳しく解説します。

ホビロンとは

ホビロンは孵化14〜19日目のアヒルの卵で、中には既に形成されつつある雛が含まれています。フィリピンの「バルット」やカンボジアの「ポンティア・コン」と類似していますが、ベトナム独自の食べ方や調理法があります。

ベトナム南部では「ホットビット」(Hột vịt lộn)、北部では「チュンビットロン」(Trứng vịt lộn)と呼ばれ、地域によって若干の違いがあります。南部では比較的若い卵(14〜17日目)が好まれる傾向にありますが、北部ではより成熟した卵(17〜19日目)が人気です。

ホビロンの食べ方

ホビロンの一般的な食べ方は以下の通りです。

①まず卵の上部を割ります
②中の汁(アンモン液)をスプーンですくって飲みます
③殻の残りを剥いて中身を取り出します
④塩、コショウ、ライム汁を混ぜた調味料をつけて食べます

多くの場合、ベトナムミント(rau răm)を添えて食べると消化を助け、臭みを消す効果があるとされています。
屋台では通常、殻を剥いた状態で提供され、調味料とハーブが付け合わせとなります。夜の屋台では、ビールのおつまみとして特に人気があります。

栄養価と健康効果

ホビロンは栄養価が非常に高く、タンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。ベトナムでは特に以下のような健康効果があるとされています。

・男性の精力増強
・妊婦の栄養補給
・体力回復
・脳の発達促進

科学的な裏付けは限られていますが、実際に高タンパク質で栄養価の高い食品であることは間違いありません。1個あたりのカロリーは約80〜100kcalで、通常の卵よりやや高めです。

外国人の反応とチャレンジ方法

ホビロンは多くの外国人観光客にとって「チャレンジ食」として認識されています。見た目や概念に抵抗を感じる人も多いですが、味自体は意外にもまろやかで、クセが少ないのが特徴です。

初めて挑戦する外国人は以下ポイントに気をつけると良いでしょう。

・まずは目を閉じて食べてみる
・十分な調味料とハーブを使う
・最初は若い段階の卵(羽や骨が少ないもの)を選ぶ
・現地の人と一緒に食べるとコツを教えてもらえる

参考データ:ベトナム栄養研究所の伝統食品栄養データベース
http://www.nin.org.vn/

ベトナムの卵に関する文化と習慣

ベトナムには卵に関する独特の文化や習慣があります。日本とは異なる卵の扱い方や保存方法、さらには伝統行事での役割まで、興味深い側面を紹介します。

保存と鮮度の考え方

ベトナムでは、特に農村部では冷蔵庫を持たない家庭もあるため、卵は常温で保存されることが一般的です。暑い気候にもかかわらず、卵かごや通気性の良い容器に入れて保存する習慣があります。

外国人や日本人向けのスーパーでは、冷蔵保存されているものも売られています。

鮮度の確認方法も独特で、卵を水に浮かべるテストが広く行われています。新鮮な卵は水に沈み、古い卵は浮くという判断基準です。また、卵を振って中の音を聞く方法も伝統的に使われています。

伝統行事での卵の役割

テト(旧正月)などの伝統行事では、卵は縁起物として重要な役割を果たします。特に赤く染めた卵は、幸運と繁栄の象徴として祭壇に供えられることがあります。

また、結婚式の引き出物として卵が贈られる地域もあり、これは多産と豊かさを祈願する意味が込められています。中部の一部地域では、卵を使った占いが行われることもあります。

卵の栄養価に関する考え方

ベトナムでは、卵は栄養価の高い食品として高く評価されています。特に子供や妊婦、高齢者には積極的に摂取することが推奨されています。

興味深いのは、病気の回復期に卵を食べることを勧める習慣があることです。特に「チャオチュン」(Cháo trứng)と呼ばれる卵入りのお粥は、消化に優しく栄養価が高いとして、病後の食事として広く食べられています。

日本のような「生卵は避ける」という考え方はあまりなく、むしろ栄養を効率よく摂取できる食品として重宝されています。
日本でも、病気になった時には卵粥を作りますよね。
ベトナム人にそれを話した時に、ベトナムも同じだよと喜んで教えてくれました。

外国人が知っておくべきベトナムの卵事情

ベトナムに住む外国人や旅行者が知っておくと便利な卵に関する情報をまとめました。衛生面での注意点から、日本人の口に合う卵料理の選び方まで、実用的なアドバイスをご紹介します。

衛生面での注意点

ベトナムでは卵の洗浄基準が日本と異なるため、購入後は自分で洗ってから冷蔵庫に保存することをお勧めします。特に市場で購入した卵は、表面に汚れが付着している可能性があります。

また、生卵を食べる習慣はベトナムにはあまりないため、レストランなどで生卵料理を注文する際は注意が必要です。卵かけご飯などの日本式の食べ方は、衛生面でリスクを伴う可能性がありますので、できるだけ避けた方が良いでしょう。
日系メーカーが販売している生食できる卵で卵かけご飯を作っているという友人はよく聞きます。

ホビロンを試す場合は、清潔そうな店を選ぶことが重要です。特に観光客向けの屋台よりも、地元の人で賑わう店の方が鮮度が良い傾向にあります。

日本人の口に合うベトナムの卵料理

ベトナムには日本人の口に合いやすい卵料理がたくさんあります。例えば、「オプラ」(Ốp la)と呼ばれる目玉焼きは調理法が日本と似ており、親しみやすい味わいです。

また、「チュンハップ」(Trứng hấp)という蒸し卵は、日本の茶碗蒸しに似た食感で、ニョクマム(魚醤)の風味が加わった一品です。初めてのベトナム料理としてチャレンジしやすいでしょう。

ホビロンに挑戦する勇気がない方は、まずはウズラの卵の煮物「チュン・クット・クン」(Trứng cút kho)から試してみるのがおすすめです。醤油ベースの味付けで日本人の口に合いやすく、見た目も親しみやすいです。

自炊時の卵の活用法

ベトナムで自炊する場合、現地の調味料と卵を組み合わせることで、新しい味わいを楽しむことができます。例えば、魚醤(ニョクマム)を少量加えた卵焼きは、日本の卵焼きとは一味違う風味が楽しめます。

また、ベトナムの市場で手に入る新鮮なハーブ(パクチーやミントなど)を卵料理に加えることで、本格的なベトナム風の味わいに仕上げることができます。

私自身もベトナムに来てから、卵料理のレパートリーが少し増えました。

日本の卵製品の入手方法

日本式の卵製品が恋しくなった場合は、ホーチミンやハノイの日系スーパーで入手可能です。

ホーチミンでは「卵や」、ハノイでは「富tamago」「もちもち卵」などが日本人に人気です。
大きさも大きめで、中には冷蔵保存されており、生食可能なもの(「ISE EGG」)もあります。

<写真>

まとめ

ベトナムの卵は日本と比べると価格が安く、様々な料理に活用できる食材です。
ホビロンのような独特の食文化にも挑戦してみると、ベトナム滞在がより豊かな経験になるでしょう。
現地の食文化を尊重しながら、自分の好みに合わせた食べ方を見つけてみてください。新しい発見があるはずです。

今回の記事の内容が、ベトナムで卵を食べたい、調理したいという方の情報源になりましたら嬉しく思います。

現地在住ライター紹介
この記事を書いた人
ベトスカウト応援スタッフ「Kana」

現在は夫の帯同でベトナム・ハノイ(ホータイ区)に在住。3児(小学生~2歳)のママ。
大阪市立大学商学部を卒業後、大手百貨店総合職で勤務。WEBライター歴6年。

2018年より経営したキッズスペース兼ワークショップスペースを2023年にM&Aにて売却。

好奇心旺盛で多趣味なことには自信あり。
ベトナム、ハノイの情報を主婦目線、ママ目線でお届けしていきます!

(運営:THANK ASIA CO.,LTD/サンクアジア:厚生労働大臣許可番号27- ユ- 304568)

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