ベトナム渡航にあたって推奨される予防接種と病院一覧(ハノイ・ホーチミン)

ハノイ生活情報

ベトナムにこれから渡航、赴任される方にとっての不安要素のひとつが流行性の病気に罹らないかということだと思います。

ベトナムをはじめ、東南アジアの途上国では、日本ではほとんど流行していないような病気にも罹る可能性があるため、事前に予防接種で防げるものは、予防しておくのが安心です。

今回はベトナム在住、ベトナムでの出産、乳幼児の育児経験もある筆者が経験を踏まえて、皆さんの不安を解消できるよう、予防接種についての情報をお届けします。

ベトナム渡航で推奨される予防接種

以下がベトナムに渡航する際に推奨されている予防接種のリストです。

種類によっては抗体をつけるために、一度ではなく、複数回の接種が必要なものもあります。
渡航前に日本で全て接種したい場合には、スケジュールに余裕を持って計画するのが良いでしょう。

渡航後でも、ベトナムの病院で以下の疾患に関するワクチン接種は可能です。

成人

強く勧めるもの:A型肝炎、B型肝炎、破傷風(追加接種)

望ましいもの:日本脳炎、季節性インフルエンザ、麻疹、風疹

生活環境により考慮:狂犬病、腸チフス

小児

*年齢によって各予防接種の有用性は異なるので医師にご相談ください。年齢に応じた定期接種は必ずおこなってください。

強く勧めるもの:日本の定期予防接種(BCG、ポリオ、DPT、MR、日本脳炎、Hib、B型肝炎、水痘、小児用肺炎球菌、ロタウイルス)

望ましいもの:流行性耳下腺炎、A型肝炎、季節性インフルエンザ

生活環境により考慮:狂犬病、腸チフス

それぞれの予防接種の回数や特徴

予防接種の中には、複数回の接種が必要なものもありますので、日本で全て接種を済ませてから渡航するのがやはり一番おすすめです。

時間がない場合には、日本で1回目接種、2回目以降はベトナムで接種というような形を取ることも可能です。
また、インフルエンザワクチンのように毎年接種が必要なものや、長期滞在で追加接種が必要になる場合でも、ベトナムで接種が可能です。
ただし、ワクチンの種類によって互換性のあるもの、ないものが存在します。
こちらに関しては、事前に日本のトラベルクリニックやかかりつけの医師に相談するのが一番安心です。

日本で接種せずに渡航する場合には、ベトナム入国後、なるべく早くに接種を開始するように心がけましょう。

A型肝炎

A型肝炎は、糞便から排泄されたウイルスを手で触ってしまったり、食べ物を介して口に入ることで感染します。
貝類での集団感染や性交渉も原因の一つです。

A型肝炎のワクチンは2024年現在、乳幼児ワクチン定期接種のスケジュールに含まれていません。
そのため、ベトナムに渡航する場合は子供も接種することが望ましいでしょう。

1歳以上からA型肝炎ワクチンは接種できます。

種類は日本産のもの、海外産のものと様々で、効果をしっかりと高めるためにはどちらも2回以上の接種が好ましいと言われています。

接種スケジュールは1~2ヶ月をみておくと良いでしょう。

B型肝炎

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスによって起こる、ウイルス性肝炎の中では最も重症な型の感染症です。
主に輸血などの血液を介してや、性的接触で感染します。

2016年からは、日本では乳幼児の定期接種スケジュールに含まれています。

これ以前に生まれた青年、成人で接種履歴がない人は、ベトナム渡航前に摂取することが望ましいでしょう。

B型肝炎のワクチンは3回の接種で20年以上効果が持続すると言われています。
初回接種から4週間後に2回目を、さらにその後4~5ヶ月後に3回目を接種する必要があります。

3回すべて接種を完了する場合には、4~5ヶ月の期間が必要です。

A型・B型肝炎の混合ワクチンもありますので、打つ回数を減らしたい方にはおすすめです。

破傷風

破傷風菌は土壌の中に存在しており、切り傷などの怪我をした場合にその部分から体内に侵入して感染します。
口から全身に広がる筋肉の痙攣、呼吸困難などの症状が現れ、発症した場合には最悪死に至ることもある感染症です。

1968年以前に生まれた方は、破傷風ワクチンが定期接種開始される前ですので、3回のワクチン接種が望ましいとされています。

1968年以降に生まれた方は定期接種で三種(または四種)混合ワクチンとして破傷風ワクチンを接種している世代です。
しかし、最終接種から10年以上経過している場合には、ワクチンを1回追加接種するのが望ましいと言われています。

長期滞在される場合には、以降10年ごとに追加接種すると安心です。

3回接種が必要な方は、接種完了までに6~7ヶ月のスケジュールを予定しておくのが良いでしょう。

狂犬病

狂犬病ウイルスを保有しているイヌ、ネコ、コウモリ、サルなどに咬まれることにより感染し、狂犬病はベトナム全土で確認されています。

日本は世界でも数少ない、狂犬病洗浄国です。
そのため、過去60年以上の間、日本国内で狂犬病は発生していません。
これは、ペットに対するワクチン接種の徹底と放浪犬の取り締まりが厳重に行われているためです。

ベトナムでは放浪犬をはじめ、放し飼いにされている動物がたくさんいます。
もちろんワクチン接種も徹底されていませんので、これらの動物に咬まれないようにすることが非常に重要です。

狂犬病のワクチンは、3回の接種によって3年間免疫が持続します。
最短3週間で3回接種が可能です。

もし、ベトナムで狂犬病の可能性がある動物に咬まれたら、事前に予防接種を打っていても、2回の追加ワクチン接種が必要です。
予防接種をしていなくて咬まれた場合には、6回のワクチン接種が必要になります。

狂犬病は一度発症すると、100%死に至る病ですので、ベトナムで動物に咬まれた際には迷わず早急に病院を受診するようにしましょう。

子供の定期予防接種

日本で設定されている、子供の定期予防接種ですが、こちらもベトナムで接種することが可能です。

日系病院に問い合わせてみると、詳しくスケジュールを作ってくれます。
追加接種が必要な場合にも、日本で接種するのと同等に値するもので打ってくれますので、安心しましょう。

筆者はベトナムで第三子を出産しましたが、新生児のころから予防接種をベトナムで打っていると日本とはスケジュールやワクチンの種類が異なります。

例えば、生まれたその日に1本針タイプのBCGを打ったり、4種混合ワクチンが6種混合だったりします。

スケジュールやワクチンメーカーはが異なっていても、日本の定期接種の項目を満たすことができますので、安心してください。

ベトナムの病院で接種を進めると、日本に比べてスケジュールが早いことが多々あります。
心配な場合には、日系の病院にも相談してみましょう。

ハノイで予防接種が受けられる病院一覧

ハノイ・ホーチミンで予防接種が受けられて、日本人が通いやすい病院を一覧にしました。

日本医師のいる病院や日系の病院が言語やコミュニケーションの面で安心ではありますが、小児用のワクチン、メーカーを指定したワクチンなどはベトナムや諸外国資本の総合病院の方が入荷しやすいこともあります。

総合病院には日本語通訳の担当者がいたり、保険で通訳サービスを活用することもできますので、困った際には病院の選択肢を増やして検討してみましょう。

さくらクリニック ハノイ

出典:公式HPより

2014年に開業した日系クリニックです。
タイホーエリアにあります。

総合内科、歯科、小児科、婦人科と幅広く診療可能で、日本人医師やスタッフも在籍しています。

予防接種の場合はフローが明確で、専用のフロアがあります。
在庫は安定しないこともあるため、接種したいワクチンの種類を事前に電話やLINEで問い合わせておくと安心です。

出典:公式HPより

公式HP:さくらクリニック ハノイ

ロータスクリニック ハノイ

出典:公式HPより

ベトナムで初めてできた日系クリニックです。
場所はバーディンエリアにあります。
大きなビルの中に入っていますので、建物の中で迷わないよう気をつけてください。

キッズスペースや授乳室も完備で、もちろん医師、看護師、スタッフに日本人が在籍しています。
医師の専門は内科ですが、その他の症状でも初期対応は可能で、その後専門病院の紹介をしてくれます。

ワクチンの在庫は安定しないこともあるため、接種したい種類を事前に電話などで問い合わせておくと安心です。

公式HP:ロータスクリニック ハノイ

ラッフルズメディカル ハノイ

出典:公式HPより

ラッフルズメディカル ハノイはタイホーエリアにあります。

日本人医師は常に1人は在籍しており、その人数や専門科には変更の可能性があります。
2024年5月現在では、総合診療科、小児科、産婦人科に日本人医師が在籍しています。

優秀なベトナム人の日本語通訳スタッフが数名在籍しているため、電話やLINE対応、外国人医師との会話も困ることはありません。

ワクチンの在庫は安定しないこともあるため(とくに小児向け)、接種したいワクチンの種類を事前に電話やLINEで問い合わせておくと安心です。

公式HP:ラッフルズメディカル ハノイ

ファミリーメディカルプラクティス・ハノイ

出典:公式HPより

ハノイの中心地にあり、どのエリアからも比較的アクセスしやすい病院です。
24時間診察可能で、救急車も保持しているのが特徴です。

ファミリーメディカルはハノイ(北部)、ダナン(中部)、ホーチミン(北部)の3拠点に4つのクリニックを運営しており、ハノイは開業25年以上になります。

日本語デスクもありますので、安心して予防接種の相談ができます。

ワクチン接種の専用スペースがあり、子供の対応にも慣れた看護師・医師がワクチンを打ってくれます。

公式HP:ファミリーメディカルプラクティス・ハノイ

Vinmec International Hospital

出典:公式HPより

ベトナムの大手企業グループ「Vingroup Corporation」によって運営されている国際総合私立病院です。
場所はハノイ中心地から車で約15〜20分のところにあるTimes Cityの中にあります。

世界的な医療認定である、JCI証明書を取得しており、安全面でも安心できます。
主な専門分野は、産婦人科、心臓病、小児科、腫瘍(放射線療法)、消化器科、リウマチですが、概ね全科に対応しています。

現在在籍の日本人医師はいないようですが、日本語通訳ができるスタッフがいますので、医師との会話も安心できます。

ワクチンは種類豊富で、在庫も比較的安定しているように感じます。
しかし念の為、接種前には保険会社や通訳を利用して確認してから来院しましょう。

ワクチンセンターは病院棟とは別のクリニック棟にあり、小児科に特化した作りになっています。
4種混合やHibなど乳幼児定期接種のワクチンを安定して保持しています。

日系病院で在庫がない場合でも、ビンメックに聞けばあることが多いので、急ぎの場合には一度問い合わせしてみるといいでしょう。

公式HP:Vinmec International Hospital

Hanoi French Hospital

出典:公式HPより

ハノイフレンチホスピタルはハノイで最初にできた国際総合病院です。
最新のテクノロジーと医療専門知識でハノイの医療を支えています。

最近では2023年に日本人医師が内科に着任されたそうです。

施設や病室も清潔で綺麗なので、安心して治療を受けられます。

総合診療科、内科専門科、外科、脳神経外科、小児科、産婦人科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科、整形外科、精神科、麻酔科、歯科など概ね全科に対応が可能。

ハノイ在住の欧米人をはじめ、日本人も産婦人科や外科、内科などでよく利用している総合病院です。

大きな病院ですので、ワクチンの在庫も安定しています。

公式HP:Hanoi French Hospital

DYMメディカルセンター ハノイ院

出典:公式HPより

こちらの病院は2023年12月にハノイ院が開院した日系医療機関。
新築で設備が整っており、院内はとても清潔に保たれています。

日本水準での健康診断をベトナムでも提供したいとの思いから開業されたそうです。

ホームページにはワクチンの種類やスケジュールについて、とても詳しく掲載されていました。
しっかりとスケジュールを公開してくれているところは、信頼できるポイントの一つです。

なお、公式HPによると、ハノイ院では小児ワクチンが現在準備中とのこと。その他のワクチンであれば対応可能の様ですので、詳しい内容は病院へ要確認が必要です。

出典:公式HPより

公式HP:DYMメディカルセンター

ホーチミンで予防接種が受けられる病院一覧

DYMメディカルセンター

出典:公式HPより

ハノイの病院としてもご紹介したDYMメディカルセンター。
ホーチミンでは1区と7区に2箇所があります。

日本人の医師が常駐しており、日本語も通じることから、ホーチミンでは多くの日本人が頼りにしている病院となります。

公式HP:DYMメディカルセンター

ロータスクリニック ホーチミン

出典:公式HPより

ロータスクリニックは、ハノイの病院一覧でも紹介しました、ベトナムで初めて開業した日系クリニックです。
ホーチミン1区の日本人街、レタントン通りにあります。

キッズルームも完備で、小児ワクチンの接種も受診しやすくなっています。

公式HP:ロータスクリニック ホーチミン

ファミリーメディカルプラクティス ホーチミン

出典:GoogleMapより

ファミリーメディカルプラクティスはホーチミンの1区と2区にあります。
24時間、365日、救急体制が整っているのが特徴です。

日本語デスクも完備されていますので、英語やベトナム語に不安がある方も安心です。

公式HP:ファミリーメディカルプラクティス ホーチミン

ラッフルズメディカル ホーチミン

出典:GoogleMapより

ハノイの病院一覧でも紹介しましたが、ラッフルズメディカルはシンガポール系の国際クリニックです。
ホーチミン3区に位置しています。

日本人向けのサービスを古くから行なっているため、東南アジア在住の日本人には馴染み深い病院です。

公式HP:ラッフルズメディカル ホーチミン

FV Hospital

出典:公式HPより

FVホスピタルは、ホーチミンの7区にあるフランス系国際クリニックです。

近代医療を提供しており、日本語対応もしているため、日本人から支持されています。
予防接種については事前にワクチンの取り扱いがあるかどうかを確認してから受診するのが良いでしょう。

公式 HP:FV Hospital

Vinmec Central Park International Hospital

出典:GoogleMapより

Vinmec国際病院は、ビンタイン区にある「ビンホームズセントラルパーク」内にあります。
ベトナムの大手企業グループ「Vingroup Corporation」によって運営されている国際総合私立病院です。

最先端の医療設備を備えていますが、他の大手病院に比べて価格設定が安いのがメリットです。

公式HP:Vinmec International Hospital

まとめ

ベトナムでは、日本では流行していないような疾患に罹る可能性があります。
万が一に備えるためにも、予防接種で防ぐことが大切です。

予防接種は日本のトラベルクリニックなどで渡航前にスケジュールを組んで進めることができますが、ベトナムでも同等のワクチンが接種できるので、安心しましょう。

A型・B型肝炎や破傷風、狂犬病のような外務省から推奨されているワクチンはもちろん、インフルエンザワクチンや小児定期接種ワクチンもベトナムで打つことができます。

そのため、しっかり予防を怠らなければ長期滞在も安心してすることができます。

ハノイ・ホーチミンには日本人が言語や保険の面で安心して受診できる病院がいくつかあります。
予防接種で心配なことや質問がある場合には、日本からでも気軽に問い合わせてみると良いでしょう。

ベトナムに渡航したいけれど、予防接種や疾患に不安があるという方々にとって、今回の内容が参考になっていますと嬉しく思います。

 

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