アジア各国の就労ビザ取得条件【7カ国比較】(2024年最新)

近年、アジア各国での就労や転職、移住を検討する日本人が増加しています。

アジアのそれぞれの国は日本よりも物価が安く、良い条件のもとで暮らせる場合があるのです。

そんなアジアでの生活を検討する際に、必ず考えないといけないことが就労ビザの取得です。
国によってその条件は様々。

今回は、アジアでの就労を検討している方に向けて、主要なアジア7カ国の条件をリストアップして解説します。

アジア各国で就労する魅力とは?

アジア各国は現在、大きな経済成長の途中にある国が多く、経済活動が非常に活発です。
このような環境では、成長産業でのキャリアチャンスが増えます。

また、文化や伝統がバリエーション豊かで、多国籍の環境で働くことを通じて新しい視点やスキルを身につけることができます。

生活費が日本と比べて安いというのも魅力の一つです。

日本並みの給料と福利厚生で、豊かな生活が実現できます。

一部の国では、外国人に対する税制優遇や特別な居住者ステータスが用意されていますので、外国人にとっても暮らしやすい環境を手に入れることができるでしょう。

海外で柔軟な考え方やビジネススキルを身につけたい方、新たなビジネスに取り組みたい方にとって、アジアでの就労は非常に魅力的で人気も高まっているのです。

アジア主要国ビザ取得条件7カ国まとめ

ベトナム

基本情報(2024年推定)

人口:約1億987万人
GDP:約4,346億米ドル
経済成長率:約6.4%
国民平均年齢:約32.9歳(2024年時点)
ビジネスの特徴:政府が外資を積極的に誘致、ビジネスの運営コストを抑えることが可能、IT企業やスタートアップが活発、ビジネスの手続きが複雑

ビザ取得の条件と詳細

外国人がベトナムで働く場合には、「就労ビザ」と「労働許可証」が必要です。

就労ビザは15日以上ベトナムに滞在する場合に必要で、労働許可証は3ヶ月以上滞在する場合に必要となります。

1年以上ベトナムに滞在することが決まっている場合には、上記とは別に一時在留許可証(テンポラリー・レジデンスカード)が必要です。

就労ビザ条件
以前はベトナム出国日から30日以上経過していることが条件でしたが、現在はその条件を求められていません。

ベトナム就労ビザには以下の2種類があります。

シングルビザ:1回限りの入国が許可されるビザ。入国後、ベトナムを出国した時点で効力がなくなる。
マルチプルビザ:複数回入国が許可されるビザ。入国した日から180日以内に出国すれば、再度180日間滞在できる。

労働許可証条件

・18歳以上であり、民事行為能力があること

・専門的・技術的能力、経験を有し、保健大臣により定められる健康要件を満たしていること

・外国の法令またはベトナムの法令の規定に従って、刑罰を執行されている者、犯罪記録が残存している者、または刑事責任を追及されている者ではないこと

・ベトナムの所轄機関による労働許可証の発行を受けたこと(労働許可証免除対象に該当する場合を除く)

一時在留許可証(テンポラリー・レジデンスカード)条件

・ベトナムにおける公館、領事館、国連所属の国際組織の代表機関、政府間組織の代表機関のメンバーである外国人、またその外国人の任期中に帯同する配偶者、18歳未満の子供および使用人に対し、NG3の一時在留許可証が発給される。

・LV1、LV2、LS、DT1、DT2、DT3、NN1、NN2、DH、PV1、LD1、LD2、TTビザを発給された外国人に、ビザと同記号の一時在留許可証を発給される。その有効期間は、ビザの有効期間と同様であり、最大で10年間である(DT1の場合)。その有効期間中はビザ取得が免除される。

引用:JETROホームページより

※ビザの種類についてはこちらのJETRO資料の18,19ページをご参考ください。

タイ

基本情報(2024年推定)

人口:約7,166万人
GDP:約5,900億ドル
経済成長率:約2.4%
国民平均年齢:約37.8歳
ビジネスの特徴:観光業、農業、製造業、サービス業が主要、政府が外国企業の参入を促進、デジタル経済や高度技術産業へのシフトを図っている

ビザ取得の条件と詳細

タイで就労するためには、非移民B(就労・ワーキング)ビザ、もしくはスマートビザを取得する必要があります。

非移民B(就労・ワーキング)ビザ条件

現地企業での就労、または駐在員として赴任することを目的に入国する外国人に発給される、最も一般的な就労ビザです。
ビザの有効期限は発行から90日のため、期限が切れる前に労働許可書を申請することで、タイでの就労が可能です。

1・残存期間が6カ月以上あるパスポートを保持していること

・1カ月当たり5万バーツ以上の最低所得があること

引用:JETROホームページより

このビザには、入国できる回数が1回限りのシングルタイプと、複数回入国できるマルチプルタイプがあります。
就労目的であれば、より取得が簡単なシングルタイプを申請することが一般的です。

スマートビザ条件

スマートビザは高度技術専門家、投資家、上級幹部、スタートアップ企業の起業家向けに創設された新しいタイプのビザです。
スマートビザの保有者には最長4年間の滞在が許可され、就労許可の免除やその他様々な待遇が受けられます。

自動車産業、エレクトロニクス産業、高品質観光産業、農業、食品およびバイオテクノロジー産業、自動化・ロボット産業、運輸および物流産業、石油化学および化学産業、デジタル産業、医療産業、国家安全産業、直接的かつ重要な循環環境支援産業(廃棄物からの燃料製造、水資源管理など)、航空および宇宙産業、科学技術分野における人材開発産業、環境および代替エネルギーマネージメント産業、技術、イノベーションおよびスタートアップエコシステム管理産業、対象技術開発産業、International Business Center-IBC、ならびに、裁判外紛争解決関連サービスにおいて、就労、投資、または起業する以下の人物。

1.高レベル技術専門家
2.投資家
3.高レベル経営者
4.スタートアップ経営者

このほかにも各産業ごとに、月収や雇用形態など、それぞれに細かく条件がありますので、スマートビザを取得したい場合には専門家に相談するのが良いでしょう。

マレーシア

基本情報(2024年推定)

人口:約3,350万人
GDP:約4,980億ドル
経済成長率:約4.5%
国民平均年齢:約30歳
ビジネスの特徴:デジタル化に積極的、貿易依存度が高い、再生可能エネルギーの導入や低炭素経済への移行を進めている

ビザ取得の条件と詳細

マレーシアの就労ビザには以下のような種類があります。

雇用パス:マレーシアで登記された外国企業の支店・法人化された子会社・駐在員事務所などの雇用主に雇用される、専門職・管理職に就く外国人に発行されるビザ。
期限は5年、2年、1年のものがある。(更新可能)

プロフェッショナルビジットパス:マレーシア国内で1年以内の短期就労をする外国人に発行されるビザ。

レジデンスパス:国家重要経済分野に貢献する優秀な外国人に発行されるビザ。

雇用パス条件
雇用パス(期限5年):最低月額給与10,000リンギ以上
雇用パス(期限2年):最低月額給与5,000~9,999リンギ以上
雇用パス(期限1年):最低月額給与3,000~4,999リンギ以上
プロフェッショナルビジットパス条件
申請元企業が、入国管理局の出入国管理局駐在員サービス部門(ESD)を通じて申請すること
レジデンスパス条件

・マレーシアで3年以上の就労経験があり、最低月給15,000リンギ以上、有効期間が3か月以上ある有効な就労パスを保持していること

・直近2年間(最低)の所得税を支払っていること

・認定大学からあらゆる分野の博士号/修士号/学士号またはディプロマを取得しているか、認定専門機関から専門資格/能力証明書を取得していること

・合計5年以上の職務経験を有すること

引用:JETROホームページTalent Corporation Malaysia Bhdより

インドネシア

基本情報(2024年推定)

人口:約2.8億人
GDP:約1.4兆ドル
経済成長率:約4.9%
国民平均年齢:約30歳
ビジネスの特徴:インフラ整備、製造業、鉱業、観光、ICT(情報通信技術)など幅広い分野が成長を支えている、政府の規制緩和などにより外国からの直接投資が増加している

ビザ取得の条件と詳細

インドネシアで外国人が働くには、就労ビザ・労働許可・就労許可の複数の政府機関からの承認が必要です。
外国人労働者を雇用するための正当な理由を証明するために、「外国人労働計画」などの複雑な手続きも必要になっているため、基本的にはインドネシアのスポンサー企業が必要です。
(通常は雇用する企業がスポンサー)

インドネシアのビザには以下のような種類があります。

引用:JETROホームページより

この中で商談などの一滞在ではなく、国内で就労できるビザは暫定居住ビザ(C312)のみで、その取得条件は以下の通りです。

暫定居住ビザ(C312)条件
就労予定の役職要件に応じた学歴を有していること
・就労予定の役職に従った、少なくとも5年間の就業経験を有すること・インドネシア人労働者、特に外国人の後継となるインドネシア人に専門知識の移転をする準備があること

引用:JETROホームページ

フィリピン

基本情報(2024年推定)

人口:約1億1200万人
GDP:約4,400億米ドル
経済成長率:約5.7%
国民平均年齢:約25.3歳
ビジネスの特徴:都市部で中間所得層が拡大、消費財やオンライン小売業が成長、情報技術およびビジネスプロセスアウトソーシング(IT-BPO)は主要産業、電子部品(半導体)が輸出の中心、観光業も盛ん

ビザ取得の条件と詳細

フィリピンで就労するためには、まず、ビジネスビザ(Business Visa)と呼ばれる、最長59日まで滞在が許可される一時入国ビザを取得します。
次にフィリピンに入国後、雇用主と一緒に、移民局に雇用ビザ(Prearranged Employee Visa)の申請を行い、ビジネスビザを雇用ビザに切り替える必要があります。

この取得までには2~3ヶ月程度の期間が必要です。

さらに、6カ月以上の就労目的でフィリピンへの入国を希望する外国人、およびフィリピン国内で外国人の雇用を希望する雇用主は、労働雇用省から雇用許可証を取得しなければなりません。

雇用ビザで、基本的には2年間フィリピンに滞在できます。
必要性に応じて、3年間まで延長することが可能です。

雇用ビザ条件

・明確な雇用契約書があること

・その職種や職域が、フィリピン人では従事が難しい職種(経営トップ、財務担当者、高度な技術を要する技術者など)に限定されているため、当該職種が日本人でなければならないという理由があること。

・フィリピンの国益にかなうという内容の説明書があること

インド

基本情報(2024年推定)

人口:約14.35億人
GDP:約3.9兆米ドル
経済成長率:約6.5%
国民平均年齢:約29歳
ビジネスの特徴:IT、製造業、農業、サービス業が主要、ユニコーン企業の増加が目立つ、政府のプログラムが製造業やデジタル化を促進、ITアウトソーシングが重要な収益源

ビザ取得の条件と詳細

インドでビジネスをするためには、以下の2種類のビザのどちらかを取得する必要があります。

就労ビザ:インドで登記が完了している組織に勤務する外国人従業員向けのビザで、期限は1年間、10年まで延長が可能。

商用ビザ:拠点設立の準備または設立可能性の検討、インド企業との商談、買付け等を目的とした外国人向けのビザで期限は1年間、5年まで延長が可能。

就労ビザを取得するための条件は以下の通りです。
(商用ビザには条件はありません)

就労ビザ条件
申請者が熟練労働者・技術者・プロフェッショナルであり、かつ、年間2万5,000米ドル以上の所得が保証されること。

引用:JETROホームページ

シンガポール

基本情報(2024年推定)

人口:約577万人
GDP:約4900億米ドル
経済成長率:約3.5%
国民平均年齢:約42.2歳
ビジネスの特徴:経済の中心はサービス産業、自由貿易政策や低税率が特徴、製造業(GDPの21%)と金融サービスで外国直接投資が多い

ビザ取得の条件と詳細

シンガポールで就労する際に検討できるビザは以下の8種類があります。

Employment Pass(EP):駐在員や現地採用の日本人の多くに発給されており、一般的には専門職や管理職に就く者を対象としている。期間は初回が2年間、更新時が3年間。

S Pass:給与額が EP 取得水準に届かない若い駐在員や現地採用の日本人に発給されている。期間は最高2年間だが、更新が可能。

Training Employment Pass (TEP):大学生のインターンシップ生を外国から受け入れたり、 同一グループ企業内で研修の一環とし て研修生を当地に派遣したりする場合に取得できるビザ。期間は3カ月。

Personalised Employment Pass (PEP):専門職の外国人や高所得者、高所得のEP保持者などが対象のビザ。期間は3年間。

Work Holiday Pass (under Work Holiday Programme):大学生のインターンシップ生を外国から受け入れたり、 同一グループ企業内で研修の一環として研修生を当地に派遣したりする場合に取得できるビザ。期間は6ヶ月。

Entre Pass:シンガポールで起業する予定の外国人が対象のビザ。期間は初回、1回目の更新時には1年間 、2回目以降の更新時には2年間。

Tech.Pass:e-commerce、AI、 サイバーセキュリティといった先端分野の産業を誘致するために新たに導入された就労ビザ。期間は2年間で更新可能。

Overseas Networks & Experience Pass(ONE Pass):グローバルのトップタレントを誘致するためのビザ。対象分野は、ビジネス、芸術、文化、スポーツ、科学、テクノロジー、アカデミア、研究。期間は5年間で、更新可能。

それぞれのビザの取得条件は以下の通りです。

8種類のビザ取得条件

Employment Pass(EP):金融以外のすべてのセクターでは、最低 5,000 Sドルの月額固定給を超えていること、金融では最低 5,500 Sドルの月額固定給を超えていること。2023年9月から導入されたポイント制度「COMPASS」において、給与額・学歴・多様性・ローカル雇用への貢献度などのポイントを40以上取得していること。

S Pass:金融以外のすべてのセクターでは、最低 3,150 Sドルの月額固定給を超えていること、金融では最低 3,650 Sドルの月額固定給を超えていること。2025年9月からはこの金額が引き上げられる予定。

Training Employment Pass (TEP):一定の大学の学生 (List of acceptable institutions (mom.gov.sg)) であるか、または 3,000Sドル以上の月額固定給を得ること。

Personalised Employment Pass (PEP):当地で既にEPを保持しており、1万2,000Sドル以上の月額固定給を得ていること、またはシンガポール国外にいる者で、直近の月額固定給が2万 2,500Sドル以上あること。PEPを維持するためには、1暦年につき27万Sドル以上の固定給が必要。

Work Holiday Pass (under Work Holiday Programme):日本、香港、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、ドイツ、オランダ、スイス、英国、 アメリカの一定の大学の学生または卒業生(18 歳以上 25 歳以下)であること。

Entre Pass:以下の3つのうちいずれかの条件を満たしている必要がある。
Entrepreneur (起業家)…政府系 VC やエンジェル投資家などからの投資を受けていること、シンガポール政府がサポートするインキュベーターなどの支援を受けていること、顕著な起業経験があること。
Innovator (イノベーター)… シンガポール国外にて有する知的財産権に関連する事業を持つこと、シンガポール高等教育機関などとの共同研究を行っていること、顕著な実績があること。
Investor(投資家)…投資経験および顕著な実績があること。

Tech.Pass:以下の三つの要件のうち、少なくとも二つを満たす必要がある。
• 直近(ただし1年以内に限る)の月額固定給が2万 2,500Sドル以上であること。
• 評価資本価格または時価総額が 5 億米ドル以上または 3,000 万米ドル以上の資金調達をしているテクノロジー企業で、累計5年以上の主導的役割を担っていたこと。
• 月間のアクティブユーザーが10万人以上であるか、または年間1億米ドル以上の売り上げのあるテクノロジー製品の開発において、累計 5 年以上の主導的役割を担っていたこと。

Overseas Networks & Experience Pass(ONE Pass):過去1年以内に月額固定給を最低3万Sドル得ているか、またはシンガポールで得る月額固定給が最低3万Sドルであること。その他例外と複雑な条件あり。

引用:JETROホームページ

まとめ

今回はアジア各国の就労ビザ取得条件についてまとめて解説しました。

ご自身の条件に合う国は見つかりましたか?

海外で働きたいと思っても、就労ビザの取得方法は国によって条件が様々で、非常に複雑な国もあります。
条件が確認できたら、ビザ取得の代行業者などの専門家に、手続きを確認することがおすすめです。

今回の記事が、就労先の国を選ぶ際の参考になっていますと非常に嬉しく思います。

 

現地在住ライター紹介
この記事を書いた人
ベトスカウト応援スタッフ「Kana」

現在は夫の帯同でベトナム・ハノイ(ホータイ区)に在住。3児(小学生~2歳)のママ。
大阪市立大学商学部を卒業後、大手百貨店総合職で勤務。WEBライター歴6年。

2018年より経営したキッズスペース兼ワークショップスペースを2023年にM&Aにて売却。

好奇心旺盛で多趣味なことには自信あり。
ベトナム、ハノイの情報を主婦目線、ママ目線でお届けしていきます!

(運営:THANK ASIA CO.,LTD/サンクアジア:厚生労働大臣許可番号27- ユ- 304568)

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