ハノイといえば、どんなイメージを持ちますか?
ベトナム料理が美味しい、ベトナムの首都、年中暑い?
ハノイに実際に住んでみるまで、私はそんなふうに思っていました。
今回はハノイに住んでみたい、これから住む予定という日本人の方に向けて、リアルなハノイ暮らしの情報をお伝えしたいと思います。
ハノイってどんな場所?
ハノイは地図で見るとこの場所に位置しています。
すぐ北に行くと中国で、文化的には中国を感じるものも実際に多くあります。
ベトナムの大きな都市は、ハノイとホーチミンがありますが、ベトナムの地形は南北に長く伸びているため、南部・北部で特徴が異なる部分が多くあります。
ハノイは首都ですが、ホーチミンも今ではハノイと同じくらいに発展しており、ハノイは政治都市、ホーチミンは商業都市と言われています。
気候
ハノイは亜熱帯気候に属していますが、意外にも四季があります。
日本に比べると寒暖差は大きくありませんが、夏と冬が存在しています。
ハノイの年間平均気温は24度ですが、1番暑い季節(7,8月)は最高気温が35度、1番寒い季節(1,2月)は最高気温が20度くらいまで涼しくなります。
それに比べて、ベトナム南部のホーチミンは年中暑くて四季がありません。
日本人としては、体感で気温を感じられることは1年の流れが掴みやすくなりメリットが大きいポイントでしょう。
ただし、湿度は非常に高い時期がほとんどなので、カビ対策や蒸し暑さは非常に辛いポイントであると言えます。
治安
ハノイの治安は東南アジアの中でも比較的良い方だと言われています。
旧市街などの観光客が多い中心部エリアでは特に、ひったくりやスリ、ぼったくりなどの軽犯罪に合うことがありますので、注意が必要です。
しかし、重犯罪の数は少なく、テロの警戒レベルも低い都市です。
よくある軽犯罪としては以下のようなものが挙げられます。
このような軽犯罪に対しては、しっかりと対策をするように気をつけましょう。
また、気軽に声をかけられるとつい答えてしまうという日本人の方が多いと思いますが、その優しさにつけ込まれることがありますので、嫌な時や断る際にははっきり”No”と毅然とした態度で対応するようにしましょう。
人の性格や特徴
ハノイはベトナムの社会主義国家の影響を大きく受けていると言われ、真面目でシャイ、堅実な性格の人が多いようです。
これは実際にハノイに住む筆者も感じることで、日本人に似ているなと感じることも時々あります。
観光地の旧市街のお店でさえ、英語で話しかけたら嫌な顔で断られる時や、シャイでなかなか話を聞いてくれない時もあります。
また、勤勉な性格の人が多いので、土曜日や時間外にも仕事をする人も比較的多いようです。
一度信頼してもらえると親切に力になってくれることも多いので、急には難しいかもしれませんが、少しずつ打ち解けるようにするのが、ハノイの人と仲良くなるために必要なステップなのかもしれません。
物価
ハノイに限らずベトナムの物価は日本に比べて安いです。
ローカルの食事やタクシー、マッサージなどは日本の半額で利用できると考えて問題ありません。
例えば…
- ・ローカルレストランのフォーは1杯4万ドン(約240円前後)
- ・タクシー(Grab)は3kmで5万ドン(約300円前後)
- ・マッサージ、スパは60分で40~50万ドン(約2400~3000円前後)
の価格で楽しむことができます。
ただし、外国人向けスクールの学費や日本食レストラン、スーパーなどは想像以上に高い価格に設定されていますので、注意が必要です。
教育
ハノイ市内には、日本人学校(小学校〜中学校)があります。
日本人学校では、日本の義務教育に沿って授業が進められ、先生も日本人の方が担任になりますので、安心して通わせることができます。
大型バスでの通学が基本で、居住のレジデンスまでバスが迎えにきてくれます。
幼稚園は日系の園がいくつかありますので、そのどちらかに通わせる日本人が多くいます。
日本人だけではなく、多国籍の子供たちが通うインター園もたくさんありますが、学費は日系幼稚園よりも高い傾向にあります。
ローカルのベトナム幼稚園もあり、預け時間が長く、比較的低価格で預けられるという特徴があります。
高校からは基本的に日系のスクールはありません。
インターナショナルスクールかベトナム現地の学校に進学することになるでしょう。
病院
ハノイ市内には、日本人含め、多くの外国人が利用するのに便利な国際病院があります。
また、日系の病院も多数あり、年々その数は増えています。
国際病院では、国際基準の医療に近い形での治療が受けられ、英語でのやり取りが可能です。
日系病院では日本語でのやりとりができ、日本人医師が在籍しているので安心できます。
ハノイでは救急車はほとんど呼んでも来ないか遅いことが多いらしいので、緊急時には、病院が各自で所有している救急車を手配してもらうのが一番安心です。
もしくは、タクシーで直接病院に向かう方が早いでしょう。
ハノイの住みやすいところ
私が実際にハノイに3年近く住んでみて、住みやすいと感じたポイントをまとめました!
人が優しい
ハノイの人は親切で人情味溢れる人が多いです。
道で虫が落ちてきて恐怖に怯えていた時は、道端のヘアカットのおじさんが優しく助けてくれました。
財布を落とした時も追いかけて渡してくれたこともありました。
また、車やバイクが多くて道が渡れない時も、手を引いて一緒に渡ってくれる人もいます。
とても優しい心遣いに、時にはお節介と感じる時もあるかもしれませんが、それくらい、ハノイの人たちは積極的に優しい手を差し伸べてくれることが多いです。
子供たちがのびのびと暮らせる
私がハノイに住んでとてもよかったなと思う点は、
「みんな、子供たちに優しい」というのがトップかもしれません。
3人もやんちゃな子供を持つ私にとって、ハノイは本当に子育てがしやすい街です。
道ゆく人、お店で出会う人、みんな子供が大好き!
子供を見つけるとあやしてくれたり、暖かな目で見てくれます。
また、レストランや商業施設でもベトナムの子供たちは、子供らしく過ごしているので、私自身も子供たちに過度に「立たない!大きい声出さない!」などの注意をしなくてすむのは本当にありがたいです。
公園や遊び場は少ないですが、室内の遊び場が充実していて価格も手頃なので、よく利用しています。
周囲の目を気にしすぎなくてもいいのは、ハノイで暮らす子連れにとって嬉しいポイントです。
料理が食べやすい・美味しい
ハノイの料理は比較的薄味で、塩やだしの味付けのものが多いので、日本人にとって非常に食べやすくなっています。
フォーや鶏肉料理もハノイではあっさりした味付けが特徴で、後から必要であれば個人で調味料を足していくスタイルです。
コメ文化ということもあり、日本人が食べやすいメニューもたくさんあります。
ハノイには日本食レストランもたくさんありますので、日常の中で気軽に日本食を食べることができます。
デジタル化が進んでいる
これは意外なポイントかもしれませんが、近年経済成長が目まぐるしいベトナムでは、デジタル化が進んでいます。
例えば、買い物の支払いはほとんどの人がQRコードでの銀行送金を利用しています。
また、大きな病院に行けば、予約や診療履歴、レントゲン写真などはアプリで管理できるようになっています。
FacebookやInstagramなどのSNSも盛んなので、行きたいお店や注文したいものがあれば、ほとんどのお店がDM(SNS内のメッセージ機能)で対応してくれます。
ハノイの住みづらいところ
次は、私が実際に住んでみて感じたハノイの住みづらいところをご紹介します。
道が汚い
ハノイの道は都市部であるほど、汚い傾向にあると感じます。
ゴミの回収が夜が多いそうなので、昼間はずっと外にゴミが出ていて、そのゴミもきちんと袋に入っていなかったりするので、道がゴミの臭いで充満していることがあります。
また、川や道にゴミを捨てるのも当たり前のようになっているようで、長い間処分されなかったゴミが臭う場合も時々あります。
日本の道は本当に綺麗なので、最初は抵抗がある方も多いと思います。
郊外や少し田舎の方に出かけると、道がとても綺麗なことが多いので、都市部ならではの特徴かなと感じます。
交通状況が悪い
ハノイは道の整備がホーチミンほど進んでおらず、バイクと車が一緒に道を行き交います。
混雑する際には、道が完全に止まってしまい、本来なら10分で行けるはずの場所が1時間以上たっても辿り着かないことがあります。
また、交通ルールをしっかり守っている人も少ないので、逆走や信号無視、歩道での走行など、みていてヒヤヒヤする場面も多数あります。
信号のない道路を横断する時には、とても気をつけないといけないことと、クラクションを挨拶感覚の高頻度で鳴らされるのは、私自身もストレスに感じています。
空気が悪い
実はハノイは世界でもトップレベルに大気汚染がひどい街です。
その汚染の内容は主にPM2.5や排気ガスと言われており、冬季は目の前が見えないくらいに空気が濁っていることもあります。
この大気汚染の影響で喘息を発症したりひどくなった知人も多くいますし、私も喉のイガイガと常に戦っています。
大気汚染から身を守るため、外に出る際には暑くてもマスクが必須だと言われています。
湿度がとても高い
ハノイの湿度は非常に高く、ピークの5~7月は、湿度85~90%の日も日常的にあります。
湿度が高いと、外に出た瞬間に息苦しく、気温はそんなに高くなくても汗が吹き出して外出が辛くなることがあります。
また、家の中の革製品や布製品にカビが生えてしまったり、洗濯物がしっかり乾かなかったりと湿気によるダメージも多くあります。
ハノイのリアルな生活費
ここからはハノイで暮らすための平均の生活費を紹介したいと思います。
駐在員として暮らすのか、現地採用や完全移住で暮らすのか、パターンによって大きく異なるかとは思いますが、日本人が満足できる普通の暮らしをするにあたってどれくらいの費用がかかるのかを計算してみます。
ひとり暮らしの生活費
ひとり暮らしの比較的綺麗なワンルームマンションでも以下のような家賃で十分探すことができます。
また、食費はローカル店や食堂での食事を想定しましたので、外食となると、さらに金額は大きくなると思います。
通信費は主にスマートフォンの通信費ですが、こちらは日本に比べて格安で使うことができます。
wi-fiはマンションにサービスとしてついていることが多いでしょう。
医療費は保険に入っているかどうかで自己負担金額が大きく異なります。
・食費:4000.000VND
・住居、光熱費:15000.000VND
・通信費 :200.000VND
合計:1,9200,000VND(約12万円)
家族暮らしの生活費
ひとり暮らしから家族暮らしになると、必要な生活費も増えてきます。
食費や家賃に関しては前に述べた通りですが、大きく異なるのはやはり教育費です。
日系の幼稚園や日本人学校に通わせるのか、インターナショナルスクールに通わせるのかで金額は大きく異なります。
今回の平均生活費は日系の幼稚園、日本人学校の学費で計算しました。
インターナショナルに通わせるとなると、2~4倍ほどの学費が必要になると考えた方が良いでしょう。
また、ピアノやそろばん、サッカーなどの習い事をさせるとなると教育費はさらに必要になってきます。
・食費:7,000,000VND
・住居、光熱費:45,000,000VND
・教育費:27,000,000VND
・通信費:600,000VND
合計:7,9600,000VND(約50万円)
家族での生活を考えるならば、これらの補助は必須になるとも言えるでしょう。
また、家賃もローカルの人たちが住んでいるような住宅であれば、まだ節約の余地は大いにあります。
まとめ
みなさんの思うハノイのイメージと今回の内容に違いはあったでしょうか?
ハノイは治安も良く住みやすい街なので、日本人の方々にもお勧めできる場所です。
ただし、住みやすい点と住みづらい点がありますので、今回の内容を事前にしっかりと知っておいていただくことは非常に大切だと感じます。
また、生活費は基本的には日本よりも少なく暮らせる部分が多いですが、日本と同じクオリティを望むと、高価になってしまう点もあります。
この点は会社からの補助やご自身の予算とのバランスをしっかりと確認しておくのが安心でしょう。
今回の内容がハノイに住んでみようと考えている方にとって、役に立つ有益な情報になっていましたら大変嬉しく思います。