はじめに
結婚式とは、幸せなふたりの門出を祝う人生最大のセレモニー。
結婚式のスタイルは国や民族、文化や伝統によってさまざまですが、喜びの場であることは同じです。
今回は、ベトナムの結婚式に出席予定のゲストの方や、ベトナム人との結婚に興味がある方向けに、これまで10年以上に渡り数多くの結婚式に携わってきた元ウエディングプランナーの筆者が、ベトナムと日本の結婚式の違いについて比較しながら詳しくご紹介します!
ベトナムの結婚式とは
ベトナムでは「結婚式」はとても大切で人生の大きなセレモニーとして考えられています。理由は家族との結びつきを大事にする文化の国だからです。
新郎新婦2人だけではなく、両家の親や家族が大きく関わってくるので、とても大事にされているのですね。
ベトナムの結婚式が行われる場所と日数
ベトナムの結婚式は、式を挙げる場所や日数も特徴的です。ベトナムの地方では自宅や自宅近くに仮設テントを張り、3日間かけて結婚式を挙げます。都市部では家の大きさも限られているため、結婚式場やレストラン、ホテルで1日で行われます。都市部の結婚式は日本と同様です。
ベトナム地方 | 自宅で2~3日間 |
ベトナム都市部 | 結婚式場・ホテル・レストランで1日間 |
日本 | 結婚式場・ホテル・レストランで1日間 |
招待客の多さにビックリ!
地方での結婚式では、招待客の多さに驚きです!
3日間で招待客数が200人以上、大規模な結婚式では500人以上になることも!?日本の結婚式での招待客平均人数は66人なので、ベトナムの招待客数はとても多いことがよく分かります。
この大人数の理由は、新郎新婦、家族、親戚、友人、会社関係の他に、近所の人々もお招きして盛大にお祝いするためです。会場はたくさんの人であふれて大賑わいです!
ベトナム地方 | 1日目 | 新郎新婦と家族 |
2日目 | 新郎新婦と家族+親族 | |
3日目 | 新郎新婦と家族と親族+友人・会社関係・近隣を含む住人全体 | |
ベトナム都市部 | 1日目 | 新郎新婦と家族と親族と友人と会社関係 |
日本 | 1日目 | 新郎新婦と家族と親族と友人と会社関係 |
招待状を持っていない人が参加しても問題なし
なんと、招待状を持っていない人も結婚式に参加できてしまうという、日本と違ってビックリなことも!ベトナムの風習として、「結婚式はおめでたい行事なのでたくさんの人に参加してほしい」というベトナムならではのエピソードですね。
ベトナムの結婚式の流れ
ベトナムの結婚式の雰囲気は、カジュアルです。日本のようにマナーや礼儀を重んじるというよりも、楽しい雰囲気でみんなで新郎新婦を祝福します。
まず驚くのは、座る席が決まっておらず自由に座って良いことです。日本のように席次表があって、あらかじめ決められた席に座ることはありません。会社関係や友人同士でまとまって来たときは、空いている席に一緒に自由に座って良いのです。
また、席に着いたら食事を始めたり飲み物を飲み始めても良いのです。さらに、食事が済んだら各自帰りたいときに自由に帰ることもOK。
とても自由な雰囲気が日本と違ってビックリです。
ベトナムらしさあふれる披露宴
さて、ベトナムの結婚式の流れはどうでしょうか。
新郎新婦入場後、ケーキカットやシャンパンタワーの大きなセレモニーが終わると、各テーブルにご挨拶回りです。写真を撮ったり、おしゃべりしたり、大好きなお酒を飲んだり飲まされたり…。
新郎新婦がテーブルに到着するとすぐに勢いの良い掛け声が!
「モッ ハイ バー ヨー!!」=「1 2 3 乾杯!!」
そこからは宴がピークに突入です。カラオケが大好きなベトナム人。ノリノリで歌いまくり、ギターで演奏してみたり、踊ってみたり…。それぞれが大いに楽しんで新郎新婦を祝福します。ベトナムは歌で祝福されることはとても喜ばれます。
まるでカラオケ大会のように激しく盛り上がる楽しい雰囲気もベトナムならではの特徴ではないでしょうか。
宴もたけなわになると、日本では両親に感謝のお手紙を朗読し、花束を渡して、親に感謝の気持ちを伝える感動的なシーンを迎えお開きになりますね。しかし、ベトナムのスタイルは違うのです。
感動を呼ぶよりも、みんなで楽しく過ごし盛り上がって、新郎新婦に挨拶をしてから、各自帰りたいときに帰るのです。
ベトナムの結婚式を迎えるための準備
結婚式を迎える準備もとても大切なこと。当日を迎えるまでのプロセスで知っておきたい大事なことをまとめました。
結婚式の人気の時期は過ごしやすい季節
ベトナムの結婚式に人気の時期は、比較的雨が少なく過ごしやすい気候の9月~2月ごろです。5月~8月ごろは暑くジメジメしており、結婚式には向いていません。また、日本の結婚式での人気の時期は、10月や11月、3~5月の気候が安定していて、晴れが多く過ごしやすい季節の秋か春が人気です。
結婚式に過ごしやすい気候が好まれるのは、ベトナムも日本も同じですね。
1~2週間前に届く招待状
招待状を渡されるのは1~2週間前!かなり直前でビックリですが、これがベトナムの文化なのです。日本では2ヵ月前には招待客の手元に届いていることを考えると、違いの差が大きいですね。招待状は基本的には手渡しで渡されることが多いようです。
気になる!ご祝儀事情
ご祝儀の相場は気になるところです。
ベトナムの結婚式もご祝儀を包む文化が存在します。日本との大きな違いは金額です!ベトナムのご祝儀は約3,000円(ベトナム通貨で500,000VND)です。
そして祝儀袋は、招待状が入っていた封筒に入れたり、便箋に入れたりとかなりシンプル。ご祝儀の渡し方もご祝儀ポストが設置されているのでポストに入れるか、受付で渡すかと、こちらもまたとてもカジュアルです。
ベトナム | 招待状の封筒に入れて3,000円 | 祝儀ポストに投函か受付へ渡す |
日本 | 祝儀袋に入れて30,000~50,000円 | 受付でマナー良く丁寧に渡す |
ゲストはカジュアルめな装いでOK
服装も日本ほどマナーは厳しくありません。
男性はスーツにネクタイを着用する人が多いです。少しラフな装いでも大丈夫です。女性はアオザイやパーティ用のドレス、ワンピースなどを着用します。何色を着てもかまいません。足元はつま先が出るサンダルでも問題ないのです。
全体的にはカジュアルめな装いで参加します。
その他結婚式のいろいろ
結婚可能な年齢と結婚平均年齢
現在のベトナム法律によると、結婚可能な年齢は、男性が20歳以上、女性が18歳以上と定められています。また、結婚平均年齢は男性が20代半ば、女性は22~23歳となっており、若いうちに結婚する傾向です。
しかし、ここ最近ではベトナムの経済発展が著しく上昇しているとともに、女性の社会進出が進んでいる状況から、結婚する年齢は少しずつ上がっています。今後は、ますますの経済成長が見込まれますので、結婚の平均年齢も上がっていきそうです。
現状では、日本よりベトナムの方が結婚のタイミングは早いです。
結婚可能な年齢 | 結婚する平均年齢 | |
ベトナム | 男性20歳 女性18歳 | 男性27.2歳 女性23.1歳 |
日本 | 男性女性ともに18歳 | 男性31歳 女性29.4歳 |
大人気!ウエディングフォト
ベトナム人はとにかくみんな写真が大好き!街中のいたるところで写真を撮っている光景をよく見かけます。ウエディングフォトはもちろんのこと、恋人同士、家族や友人、自撮り写真にいたるまで写真をたくさん撮るのです。
ベトナムのウエディングフォトは大事なイベント
そんな写真大好きベトナム人のウエディングフォトは大事なイベントであり、撮影された写真はとても気合が入った素敵で美しい写真に仕上がります。結婚が決まったらウエディングフォトの撮影をどうするかも2人の大事な決めごとになります。
ウエディングフォトの撮影は数日かけて撮影されるケースがほとんど。専属のカメラマン、メイクさんを従えてプロのモデル並みに準備を整え、街のフォトスポットやリゾート地で写真を撮影します。
撮影した写真は良い状態で残したいという思いから、画像の修正や加工が施され、さらに素敵に。大きなサイズに仕上がった写真は2人の部屋にしっかりと飾られるのです。大きなウエディングフォトを家に飾ると夫婦円満、家族円満でいれるとも言われており、そのためウエディングフォトを家族や親族に配ったりもします。
中には、結婚式だけではなく結婚5周年や10周年など、結婚の節目に写真を撮る人も多くいます。
日本の場合、結婚式はせずにウエディングフォトだけという方もいますが、ベトナムでは「結婚式をして、ウエディングフォトもするのが当たり前」という考え方なのですね。
まとめ
ベトナムの結婚式は、独自のスタイルで昔からの文化や風習を感じることができます。
また、ベトナムの結婚式は日本の結婚式と比べるとそれほど決めごとには厳しくなく、楽に参加できるのも良いところかもしれません。
ベトナム人はマナーやしきたりよりも新郎新婦の幸せを願い、祝福することをとても大切にしているのです。
このように、それぞれ様々な違いがある結婚式のスタイルですが、結局のところ本質はベトナムも日本も一緒なのです。それは、だれもが新郎新婦とその家族の幸せを願っているということ。
ベトナムの結婚式も、日本の結婚式も、新郎新婦の2人を祝福する幸せいっぱいの空間で、そしてたくさんの素敵な笑顔であふれています!
Chuc mung hanh phuc! (チュック ムン ハン フック!) (結婚おめでとう!)