ベトナムは今や、経済成長の著しい注目の国ですが、国民の年収や月収はどのように推移しているのでしょう。
その金額や生活水準、ベトナム人が企業に求めることは、日本人のイメージとは大きく異なります。
今回は、ベトナム現地でベトナム人を雇用することを検討している方に向けて、ベトナム人の年収・月収を中心に、参考になる内容をまとめて解説します。
ベトナム人の平均年収・月収
ベトナム人の平均月収は660万VND(約39,500円)であると言われています。
(2022年JETRO資料より引用)
これは年収換算(月収×13カ月 *1ヶ月賞与はベトナム法令に基づく)にすると、7920万VND(約468,000円)です。
また、2024年最新の情報では、平均月収は840万VNDまで増加していると言われています。
過去14年にわたる平均年収の推移は以下のグラフをご覧ください。
(ハノイやホーチミンなどの都市部は平均の約1.3~1.6倍はあるとお考えください)
ベトナム国内の年収・月収は地域差が非常に大きく、ハノイやホーチミンなどの都市部では最低賃金は442万ドンですが、農村部では最低賃金307万VNDだと言われており、その差は年々大きくなっています。
一方で、富裕層が年々増加しているのもベトナムの特徴です。
グローバルに活躍する実業家やITなどの新規産業で成功する実業家が増えていることが、その原因だと言われています。
2020年にはすでに、約1億円以上の資産を持つ人が2015年に比べて26%増加しているという調査結果も出ています。
ベトナム人の働き方と特徴
ベトナム人の給与を見て、どのように感じましたか?
日本に比べると非常に低い金額だと感じた人もいれば、思ったよりも高額だと感じた人もいるでしょうか。
そんな給与を稼ぐために、ベトナム人はどんなふうに働いているのか、次はその特徴を解説します。
1. チーム志向と協調性
ベトナム人はチームで働くことを好む傾向があります。
個々の成功よりも、全体の成功を重視する文化が根付いています。
職場では人間関係が非常に大切にされており、信頼関係を築くことが仕事を円滑に進める鍵です。
この点は日本人にも似たような価値観を持つ人が多いので、共感できる部分も多いかと思います。
2. 勤勉で真面目
ベトナム人、その中でも特に女性は世界的に見ても勤勉だと言われています。
さらに労働に対して真面目で、必要であれば長時間働くこともいとわない姿勢があります。
手先が器用だったり、コツコツ仕事をすることも得意なので、これらの点では日本人と共通する部分が多く、共感できることでしょう。
3. 上下関係の尊重
ベトナムでは、年齢や役職が重要視されるため、常に目上の人に対する敬意が求められます。
これは生活の中でもよく見られる傾向で、年長者のいうことはしっかりと聞かねばならないという姿勢を感じます。
職場においては役職よりも年齢が重視されることも多く、上司のポジションである人は、時には年齢を伏せて、年長者のように振る舞うほうが仕事の指示がしやすいという場合があるそうです。
4. 家庭とのバランス
家族を大切にする文化が強く、家庭の事情が仕事に影響することも少なくありません。
仕事のために家族との時間を犠牲にするようなベトナム人はあまり見かけませんので、家族のいる人は特に時間外労働や休日労働を嫌います。
当日に家族のいる女性社員を飲みに誘うなどの行動はなるべく避けた方が良いでしょう。
家族が心配して、電話をかけてくること多くあります。
5. 計画性よりも実践重視
長期的な計画を立てるよりも、短期的な目標を達成することに重点を置く傾向があります。
先を読んで行動することや計画的な行動が苦手なので、この点で日本人の仕事のやり方とは価値観が異なることが多いでしょう。
仕事で、納期が間に合うかを社員に聞き続けて、前日にも間に合うと宣言していたのに、当日になって間に合いませんでした、というようなことはベトナムでは日常茶飯事です。
6. コミュニケーションの特徴
ベトナム人は、はっきりとした拒否や否定を避けることが多く、間接的な表現を使うことがあります。
例えば、「できない」とは言わずに「検討します」といった表現を使うことがあります。
また、仕事を辞めたい時には、「故郷へ帰ります」という言い方をすることも多くあります。
7.お祝い文化と職場の一体感
テト(旧正月)などの伝統行事や社内イベントは、職場の一体感を高める重要な機会とされています。
テトでは上司から部下へ、お年玉として現金を渡す習慣もあります。
職場の同僚との飲食は、人間関係を築くための大切な場と考えられているため、出席する方が仕事がスムーズに進められます。
ベトナム人の生活費
次は、意外と日本人には情報を得ることが難しい、現地の人たちの生活費を紹介します。
1人暮らしの社会人にとって必要な生活費のだいたいの相場は以下の通りです。
光熱費、水道代 約400,000~500,000VND
食費 約1500,000~2000,000VND
通信費 約300,000~500,000VND
交通費 約500,000~800,000VND
交際費 約1500,000~2500,000kVND合計:約7,200,000VND~10,300,000VND
交際費や家賃などはもう少し安くしても暮らせますので、この生活費目安は比較的余裕のある暮らしのベトナム人のモデルだとお考えください。
全体的に物価が安いため、日本に比べると生活費を抑えることが可能です。
特に食費は外食をしても、ベトナム人の方が行くようなローカル店だと、一食あたり20,000VND~50,000VND程度でしっかり食べることができます。
インターネットやスマートフォンなどの通信費が安いのも特徴の一つです。
月額200,000VND程度でネット通信を利用することができます。
交通費が意外と高くかかるのは、ベトナム人の移動手段が主にバイクであるからです。
ガソリンも日本に比べると安いですが、電車やバスなどの交通網が発達していないベため、交通費が多くなってしまいます。
ベトナム人が働きたい企業の特徴
最後に、ベトナム人が働きたいと思う企業の特徴を給与面以外の面で考えていきましょう。
給与金額ももちろん大切ですが、ベトナムでは企業の雰囲気や福利厚生を重視するという人もたくさんいます。
ベトナム人の就職時に選ばれる企業になるために、しっかりと参考にしてください。
1. 良好な労働環境
清潔で整ったオフィスや、最新の設備が整った職場は特に人気で、 協力的なチーム環境や、従業員同士の良好な人間関係を重視する企業が好まれます。
上司、部下でも遠慮することなく意見ができる会社は、透明性があって人気があります。
2.魅力的な福利厚生
医療保険、年金、ボーナス、有給休暇の充実度が企業選びの大きなポイントです。
特に家族を持つ人にとって、家族向けの福利厚生は重要視されます。
社員旅行の回数や内容、チームビルディングなどの催し物、テトでのお年玉やプレゼント、ボーナスもベトナム人にとっては非常に重要なので、それらを充実させることで優秀なベトナム人を雇用することが可能になります。
3. キャリア成長の機会
トレーニングプログラムや研修制度を提供する企業は、自己成長を求める人にとって魅力的です。
明確なキャリアパスを提示し、実力に応じて昇進のチャンスがある企業が支持されます。
4. 国際的な企業またはグローバル環境
英語や他の外国語を活用できる環境や、海外拠点との連携がある企業は人気があります。
世界的にみても、ベトナムは非英語圏における英語テストのランキング順位が比較的上位で、英語が堪能な若者が多数います。
その語学力を活かしてグローバルに活躍し、成功している人も多いため、憧れを持つ人が多くいます。
5. ワークライフバランスの重視
リモートワークやフレックスタイム制を導入している企業は、特に若い世代から支持されています。
従業員が仕事とプライベートを両立できる環境を提供する企業は高評価です。
6. イノベーションと新しい挑戦
特にITやスタートアップなど、成長が見込まれる業界や企業は若い求職者に人気です。
ITにおいては、ベトナムでは医療・教育などの場面で日本よりも積極的にハードルが低く取り入れられていることもあり、新しいビジネスチャンスがあると感じられる分野になっています。
新しいプロジェクトや役割に挑戦できる企業も人気を伸ばしてきています。
まとめ
ベトナム人の月収・年収をはじめ、暮らしや働き方、人気企業の特徴まで、ベトナム人の採用に役立つ内容を幅広く解説しました。
ベトナム人の雇用を考える際に、今回の内容は非常に重要なポイントばかりですので、ぜひ参考にしてください。
今回の記事の内容で、日本人には想像できない意外な一面を知っていただき、ベトナム人現地採用の参考にしていただけましたら、嬉しく思います。