「ベトナム人の性格や価値観ってどんなの?」
「ベトナム人の国民性に特徴はある?」
国民性は、歴史的背景や文化的要素、地域差によって複雑に形成されています。
例えば、歴史の中で、ベトナムは中国、フランス、アメリカなどの支配を経験してきましたし、ベトナム戦争がありました。その歴史的背景が、ベトナム人の国民性や文化に大きな影響を与えています。
さらに北部、中部、南部それぞれの地域ごとに異なる文化と性格があります。
この記事では、現地在住8年の筆者が見た、ベトナム人の国民性の主要な特徴を詳しく解説します。
ベトナム人に共通する国民性
家族を重視する文化
ベトナム人は家族を非常に大切にします。特に両親や祖父母に対する敬意が強く、家族のために尽力する姿勢が見られます。
例えば、海外で働くベトナム人が親の病気の際に帰国を希望することは珍しくありません。このような家族重視の文化は、職場環境にも影響を与え、チームワークや協力を重んじる傾向があります。
感情表現とコミュニケーション
ベトナム人は感情を表に出しやすい性格を持っています。
日本人と比較すると感情が態度に出やすく、特に不機嫌・嫌いな時は「露骨だな」と感じることが多いです。一方、嬉しい時は体全体で喜ぶところはかわいい一面と言えます。
失敗を恐れる傾向にあるので、注意やアドバイスは個別に行う方が良いとされています。この点を意識すると職場でのコミュニケーションが円滑になります。
勤勉さと向上心
ベトナム人は一般的に勤勉で、仕事に対して真摯に向き合う姿勢があります。そのため、多くのベトナム人は、日本の職場でも「よく働く」と評価されています。
しかし同時に、職場での成果を重視し、自己成長を求める傾向があります。そのため、転職に対する抵抗感が少なく、新しい機会を積極的に追求することが多いです。
ベトナム人の性格を表す「6K」
ベトナム人の性格を表す「6K」は、国民性を理解する上での重要な指標です。以下にそれぞれの特徴を解説します。
ベトナム人の性格①:器用
ベトナム人は手先が器用で、特に女性は伝統工芸やネイルアートなどでその特性を活かしています。この器用さは、職人技や細やかな作業において高い評価を受けています。
ベトナム人の性格②:向学心旺盛
多くのベトナム人は、親世代の苦労を反映し、学び続ける姿勢を持っています。特に若い人は、語学や専門スキルを磨くために努力を惜しまず、外資系企業での高い給料を目指す傾向があります。
ベトナム人の性格③:近親眼
ベトナム人は短期的な利益を重視する傾向があり、将来を見据えた計画性に欠けることがあります。これは、長い戦争の影響で未来に対する不安が根付いているためです。
ベトナム人の性格④:かかあ天下
家庭内では女性が主導権を持つことが多く、経済的に自立した女性が多いです。これにより、家庭や社会において女性の地位が高い傾向にあります。
ベトナム人の性格⑤:コネ社会
ベトナムでは人脈やコネクションが非常に重要視され、就職やビジネスにおいても血縁や友人関係が影響を与えます。このため、信頼関係を築くことが重視されます。
ベトナム人の性格⑥:交渉上手
ベトナム人は交渉スキルが高く、商談や日常生活での価格交渉においてもその能力を発揮します。柔軟な思考とコミュニケーション能力が、ビジネスシーンでの成功に寄与しています。
ベトナムの歴史的背景が国民性に与えた影響
ベトナムは歴史の中で、フランスなど外国の支配を受けてきました。近年ではベトナム戦争が20年続きました。この複雑な歴史的背景が、ベトナム人の国民性の形成に大きな影響を与えています。
フランス植民地時代の影響
ベトナムは1884年から1954年までフランスの植民地でした。この時代、フランス文化が流入し、ベトナム人の価値観や生活様式に変化が見られました。例えば、ベトナム語にはフランス語由来の言葉が多数取り入れられています。また、ベトナムの代表的な料理バインミーは、フランスのバゲットサンドイッチの影響を受けています。都市部に見られるコロニアル建築もその影響の1つです。
国民性への影響としては、教育制度が整備され、フランス語など外国語を学ぶ機会が増え、国際的な視野を持つ人材が育成されました。この教育の影響で、ベトナム人は新しい知識や技術を吸収する意欲が高まりました。
そして間もなくフランスからの自立を求める民族運動が活発化します。この過程で、ベトナム人は自国の文化やアイデンティティを再評価し、強い愛国心が芽生えました。
ベトナム戦争の影響
ベトナム戦争は、ベトナム人の考え方や国民性に深い影響を与えました。以下に具体的な事例を示します。
家族重視の価値観:戦争中、男性が戦地に赴く中で、女性が家庭を支える役割を担いました。この経験から、家族を守ることへの強い責任感が育まれ、家族を重視する文化が根付いています。
勤勉さと向上心:戦争の影響で多くの人々が苦しい生活を強いられたため、次世代は経済的安定を求め、勤勉に働く傾向が強くなりました。特に若い世代は、親世代の苦労を反映し、自己成長を目指す姿勢が見られます。
愛国心の強さ:ベトナムは長い独立運動の歴史を持ちます。フランスやアメリカからの独立を勝ち取るために多くの犠牲を払ってきたベトナム人は、強い愛国心を持っています。サッカーなどのスポーツ大会で自国チームが勝利すると、国民が一丸となって喜びを表現する様子からも、愛国心の強さがうかがえます。
地域ごとに異なる文化・性格
ベトナム北部:勤勉で慎重な性格
北部の人々は一般的に勤勉で慎重な性格を持つとされています。
これは、長い歴史と伝統を重んじる文化が影響していると考えられます。ベトナムの北部は、首都ハノイを中心とした地域で、歴史的にも政治的にも重要な役割を果たしてきました。北部の人々は、計画的に物事を進める傾向があり、リスクを避けるために慎重に行動します。
また、家族やコミュニティの絆を大切にし、協力し合う精神が強いです。ハノイの旧市街や伝統的な市場では、こうした北部の文化が色濃く感じられます。
ベトナム中部:現実的でチャレンジャー精神
この地域の人々は、現実的でチャレンジャー精神を持つとされています。
中部のベトナムは、ダナンやフエなどの都市があり、歴史的な遺産や美しい自然景観が豊富です。一方で中部の人々は、過去の戦争や自然災害などの困難を乗り越えてきた経験から、現実的な視点を持ち、困難に立ち向かう強い意志を持っています。
また、新しいことに挑戦する意欲が高く、ビジネスや観光業などでの発展が著しいです。ダナンの急速な都市開発やフエの伝統文化の保護活動など、中部の人々のチャレンジャー精神が感じられる場面は多いです。
ベトナム南部:オープンで楽観的
南部の人々は、オープンで楽観的な性格を持つとされています。
これは、南部の温暖な気候や多様な文化が影響していると考えられます。南部のベトナムは、ホーチミン市を中心とした地域で、経済の中心地として知られています。南部の人々は、新しいアイデアや異文化を受け入れる柔軟性があり、ビジネスや社会活動においても積極的です。
また、楽観的な性格から、困難な状況でも前向きに対処する姿勢が見られます。ホーチミン市の活気ある街並みや、メコンデルタの豊かな自然環境は、南部のオープンで楽観的な文化を象徴しています。
約1億人の人口を抱えるベトナムは、約86%を占めるキン族の他にも多様な民族が共存しています。例えばタイ族、チャム族、モン族などが暮らしています。彼らは伝統的な文化や料理、音楽を大切にしています。
日本人とベトナム人 国民性の違い
ベトナムと日本は、歴史や社会構造、価値観において多くの違いがあります。以下に、主な国民性な違いをいくつか挙げてみます。
集団主義 vs 個人主義
日本: 日本は伝統的に集団主義が強く、個人よりもグループの調和や協力を重視します。職場や学校では、チームワークが重要視され、個人の意見よりも全体の意見が優先されることが多いです。
ベトナム: ベトナムは比較的個人主義が強く、自己肯定感が高い傾向があります。自分の意見やスキルを大切にし、個人の成長を重視する文化があります。
コミュニケーションスタイル
日本: 日本人は間接的なコミュニケーションを好む傾向があり、相手の気持ちを考慮した表現を重視します。あいまいな表現や沈黙がコミュニケーションの一部とされることもあります。
ベトナム: ベトナム人は比較的オープンで直接的なコミュニケーションを好む傾向があります。感情を率直に表現することが多く、特に親しい間柄ではフランクな会話が一般的です。
まとめ
一般的に、ベトナム人は勤勉で温厚な性格を持ち、家族やコミュニティを大切にする傾向があります。6Kというベトナム人の特徴もベトナム人理解に役立ちます。
ベトナムの複雑な歴史は、国民性の形成に大きな影響を与えてきました。植民地支配の経験や南北分断の歴史は、ベトナム人の価値観や行動様式に色濃く反映されていることが分かります。
ベトナムの北部、中部、南部それぞれの地域には独自の文化と性格があります。それぞれの地域の人々が持つ特性は、「ベトナム人」としてひとくくりにできないことを示しています。
これらの特徴を理解し、尊重することは、ベトナム人との生活やビジネスを成功させる鍵となるでしょう。
この記事が皆様のお役に立てば幸いです。