ベトナムに住む在住者にとって、銀行口座を開設すると生活の利便性が格段にアップします。
デビットカードやネットバンキングなどの機能も利用できますし、高金利の預金ができるかもしれません。
この記事では、現地在住8年の筆者がベトナムで銀行口座を開設するメリット、実際にベトナムで銀行口座を開設する手順と条件を解説します。さらに近年口座開設が複雑化している状況についても書いています。
ベトナムで銀行口座を開設するメリット
ベトナムで銀行口座を開設するメリットは以下のとおりです。
- ・預金金利が比較的高い
- ・外国通貨の口座開設が可能
- ・便利なATMとデビットカードの利用
- ・ネットバンキングの利用
- ・給与の受け取りや送金がスムーズ
預金金利が比較的高い
ベトナムの銀行口座は、特にベトナムドンでの預金において高金利が魅力です。
2024年9月の時点で、定期預金の金利は年4〜5%前後と、日本の銀行と比べて高い水準です。
例えば、100万円をベトナムの銀行に預けた場合、1年後には約4〜5万円の利息が得られる計算になります。これは、資産を増やしたい人にとって大きなメリットです。
外国通貨の口座開設が可能
ベトナムの多くの銀行では、アメリカドルの外国通貨での口座開設も可能です。
これにより、為替リスクを分散させることができます。たとえば、外国企業に勤務している場合、給与をドルで受け取ることができ、そのままドル口座で管理することができます。これにより、為替変動の影響を受けにくくなります。
しかし、アメリカドルで預金した場合、金利は0%の銀行がほとんどです。
便利なATMとデビットカードの利用
銀行口座を開設すると、ATMから現金を引き出したり、デビットカードで買い物ができたり便利です。
ベトナムのATMは多くの場所に設置されており、現地通貨の引き出しが簡単に行えます。例えば、旅行中に現金が必要になった際、ATMを利用することで迅速にお金を引き出せるます。
ベトナムでは、キャッシュカードのデビット機能の利用が(クレジットカードより)一般的で、多くの店舗で使用できるので、非常に便利です。
ネットバンキングの利用
ネットバンキングを利用することで、スマートフォンやパソコンから口座の管理や送金が簡単に行えます。
多くの銀行では専用のアプリが提供されており、リアルタイムで残高を確認したり、他の口座への送金ができます。たとえば、友人にお金を送る際、銀行に行かずにアプリから数回のタップで送金できるため、時間を節約できます。
給与の受け取りや送金がスムーズ
多くの企業が銀行口座への給与振り込みを行っているため、ベトナムで働く在住者にとって銀行口座は給与の受け取りに必須です。
さらに、銀行口座があれば国際送金もスムーズに行えるため、家族や友人への送金も簡単です。例えば、ベトナム在住者が日本にいる家族にお金を送ったり、日本からベトナムの銀行へ迅速に送金できるため、生活が便利になります。
これらのメリットを考慮すると、ベトナムで銀行口座を開設することは、特に長期滞在や生活を考えている人にとって非常に有益です。
口座開設の手順
ベトナムで銀行口座を開設する手順は以下の通りです。
- 1. 必要書類を用意する
- 2. 銀行の窓口を訪問し、口座開設の申請を行う
- 3. パスポートなどの身分証明書を提示し、情報を登録する
- 4. 口座開設手数料を支払う
- 5. ATMキャッシュカードを申請する(デビット機能の付帯も可能)
- 6. 口座開設完了後、ネットバンキングの利用登録を行う
1. 必要書類を用意する
まず、銀行口座を開設するためには、いくつかの書類が必要です。具体的には以下のものを準備しましょう。
パスポート:自分の身分を証明するための重要な書類です。
ビザ:ベトナムに長く滞在することを証明するための書類です。12カ月以上の滞在を証明できるビザが必要です。
現地の住所証明:住んでいる場所を証明するための書類(例えば、家賃の契約書など)。
ベトナムの携帯電話番号:銀行からの連絡を受け取るために必要です。
手数料:口座開設手数料とキャッシュカードの発行手数料として必要です。
必要書類が諸条件を満たしているか事前に確認しましょう。特にビザの有効期限が短い場合、口座開設を断られることがありますので、必ず有効期限を確認しましょう。
2. 銀行の窓口を訪問し、口座開設の申請を行う
銀行は平日と土曜日に営業しています。訪れる前に営業時間を確認しておきましょう。
銀行に着いたら、窓口で「口座を開設したい」と伝えます。基本的にベトナム語でのやり取りになります。
銀行のスタッフが申込用紙を渡してくれるので、それに名前や住所、電話番号など必要事項を記入します。
3. 身分証明書を提示し、情報を登録する
申込用紙を書いたら、パスポートやビザをスタッフに提示します。スタッフがこれらの情報を確認し、登録します。
4. 口座開設手数料を支払う
次に、口座開設手数料を支払います。このお金は、口座を開設するために必要な費用です。
現在ほとんどの銀行では口座開設手数料はかから
ただし、
5. ATMキャッシュカードを申請する
ATMキャッシュカードは自動的に付帯しないため、口座が開設されたらキャッシュカードを申請します。
キャッシュカード発行手数料は、
またキャッシュカードは通常、口座開設から約1週間後に受け取ります。銀行が指定した方法で受け取ることができます。キャッシュカードにVISAのデビット機能を付帯することで、ベトナム国内の店舗で決済利用が可能になります。
6. ネットバンキングの利用登録を行う
口座開設が完了したら、ネットバンキングの利用登録を行います。これにより、スマートフォンやパソコンから残高確認や送金など口座管理できるようになります。
ネットバンキングの利用登録も、口座開設後に行うことができます。口座開設時に発行されたキャッシュカードでアクティベーションを行う必要がありますが、その後はオンラインでの操作が可能になります。
銀行の窓口で手続きをするか、銀行のウェブサイトやアプリから登録することができます。登録方法は窓口で丁寧に教えてくれる(代わりに登録してくれる)ことが多いです。
以上が、ベトナムでの銀行口座開設の手順です。
一部の銀行では、オンラインで口座開設の予約ができる場合もありますが、最終的には銀行に足を運び、対面で手続きを行う必要があります。
マネーロンダリング対策によりベトナムでの銀行口座開設が複雑化
ベトナムで外国人が銀行口座を開設することは、便利である一方で、いくつかの難しさが伴います。
特に、マネーロンダリング防止策が影響を及ぼしているため、口座開設の手続きは複雑化しています。この背景には、国際的な金融システムにおける透明性の向上が求められていることがあり、ベトナムもその流れに従っています。
マネーロンダリングとは、違法に得た資金を合法的なものに見せかける行為を指します。国際的な金融機関や政府は、テロ資金供与や組織犯罪の防止のために、マネーロンダリング対策を強化しています。ベトナムもこの流れに乗り、金融機関に対する規制を厳格化しています。
マネーロンダリング対策がベトナムでの銀行口座開設に与える影響
マネーロンダリング防止策により、特に、外国人が銀行口座を開設する際には、以下のような厳しい条件が課せられ、手続きは複雑化しています。
これらの厳しい条件や手続きの複雑さは、外国人がベトナムでの生活を送る上での障害となります。特に、仕事や生活のために銀行口座が必要な場合、これらの手続きがスムーズに進まないことがストレスになることがあります。
まとめ
ベトナムで銀行口座を開設するメリット、実際にベトナムで銀行口座を開設する手順と条件を解説しました。
口座開設に必要な書類や手順を周到に準備していても、何度もやり直しをさせられることがありますが、案内に従ってめげずに進めましょう。
ベトナムで外国人が銀行口座を開設する際には、マネーロンダリング対策が大きな影響を与えています。厳しい条件や手続きの複雑さは、外国人にとっての障害となる一方で、国際的な金融システムの透明性を高めるための重要な措置でもあります。
これらの状況を理解し、適切な準備を行うことで、スムーズな口座開設が可能になるでしょう。
この情報が皆様のお役に立てば幸いです。