ベトナム株式投資の特徴とおすすめの証券会社(2024年最新)

近年、若く活力に満ちた労働力と政府の積極的な経済改革により、ベトナムは急速な経済成長を遂げており、投資家たちの注目を集めています。

「ベトナム株ってどんな特徴・リスクがある?」
「ベトナム株の取引をどうやって始めるの?」

本記事では、べトナム在住歴8年の筆者が、ベトナム株式の現状、ポテンシャルとリスクなどベトナム株の特徴について詳しく解説します。ベトナムで株取引をする方法やおすすめの証券会社についてもご紹介します。

ベトナム株の最新状況ー2022年下落後は手堅い回復(2024年9月時点)

2022年ベトナムの株式市場は、大手不動産会社の不正と不況、そして米国の急激な利上げ、米中への輸出額の減少により、株価は大幅にー約40%ー下落しました。

2023年に入り、7月の米国の利上げ打ち止めと株価上昇の追い風、輸出額減少の底打ち等により株価は順調に持ち直しています。2024年までに不動産、小売、観光が徐々に業績を改善し、今後ベトナム経済の主力である輸出回復が期待されます。

株式新聞(2024年9月6日)によると、ベトナムVN指数の合計リターン(%)は、1年で2.29%、3年で-1.83%、5年で5.51%、10年だと7.15%となっており、現時点では、MSCIコクサイ(日本を除く先進国の株価動向を示す代表的なインデックス)指数の1年で21.78%、3年で5.96%、5年で12.68%、10年だと9.96%より下回っています。

株式新聞(https://kabushiki.jp/market/indexes/VNI000000)より引用

ベトナム株の特徴

👍安定したGDP成長率

ベトナム株は、急速な経済成長若い人口構成を背景に、投資家にとって非常に魅力的な選択肢となっています。

ベトナム経済は、近年のGDP成長率が6-7%(2023年は5.05%)と高水準を維持しており、アジアの新興市場の中でも特に注目されています。

特に、この10年製造業やIT分野での急成長が顕著であり、これらのセクターに属する企業の株価は大きく上昇してきました。ベトナムの製造業は、外国直接投資(FDI)の増加に伴い、特に電子機器や繊維産業での成長してきました。現在、足踏み状態にありますが、今後の輸出回復が期待されます。

ベトナム政府は経済改革を積極的に推進し、外国投資を促進するための政策を実施しています。具体的には、投資手続きの簡素化や法制度の整備が進められ、市場の透明性の向上がはかられ、外国企業が安心して投資できる環境が整いつつあります。2023年、べトナム政府の景気対策(4回に渡る利下げ、付加価値税引下げ、不動産業界などの社債満期の延長容認など)が奏功し、上昇期長が続いています。

人口ボーナスもあります。 若い人口構成が経済の成長を支えており、消費市場の拡大が期待されています。インフラ整備の進展や都市化の加速により、国内消費市場も拡大しています。

👎市場の流動性の低さ

ベトナム株の取引には、市場の流動性リスクが伴います

株式市場での流動性リスクとは株式市場であまり人気のない株や取引量が少ない株は、売りたいときに買ってくれる人がいないことがあります。これが流動性リスクです。

人気のある株はたくさんの人が売買しているので、すぐに売ったり買ったりできます。しかし、流動性リスクが高いと、急いで現金が必要なときに株を売れなかったり、希望する価格で売れなかったりする可能性があります。

👍証券会社の手数料の安さ

ベトナムの株取引などでかかる手数料は、ベトナムの証券会社の方が安いです。ベトナムの証券会社の取引手数料は、取引額の0.15%から0.35%程度です。

コラム:主な日本とベトナムの証券会社の手数料

Vietcombank証券 (VCBS) :取引額の0.075%から0.35%
サイゴン証券 (SSI):取引額の0.15%から0.35%
ホーチミン市証券 (HSC):取引額の0.15%から0.35%。
日本証券(JSI):0.3%から0.6%。(その他最低手数料がかかる)

日本の証券会社例:
アイザワ証券:
取引額の1.65%(インターネット注文)
SBI証券: 取引額の2.20%(インターネット注文)

さらに、日本の証券会社を利用する場合、為替両替手数料もかかります。例えば、SBI証券では1万ドンに対して2円の為替手数料がかかります。このため日本の証券会社の手数料はベトナムの証券会社の約10倍以上になることもあります。

👎外国の経済・政治情勢に大きく影響を受ける

ベトナムの株価は、アメリカ、中国、韓国などの経済状況や政治情勢に大きく影響を受けますこれらの国の経済状況や政治情勢が悪化すると、ベトナム経済も悪化する可能性があります。

なぜならベトナムは、輸出額がGDPの約9割に相当するからです。

特にアメリカ・中国の影響を受けやすい理由は、米国・中国が最大の輸出国となっているためです。
韓国の影響を受けやすい理由は、韓国のサムスン電子など外資企業の拠点となっているからです。

そのため、そのため、ベトナム株に投資する際には、ベトナムの情報だけを収集するのではなく、アメリカ、中国、韓国についてもチェックすることが重要です。

いくつかのリスクがあるものの、経済成長率を考えるとベトナム株は今後も高い成長ポテンシャルを持つ市場であると言えます。

ベトナム株の基本情報

ベトナムの主要株式市場

ベトナムには3つの主要な株式市場があります。それぞれの市場には独自の特徴があり、投資家に多様な選択肢を提供しています。

これらの市場では、数百社の企業が上場しており、さまざまな業種が揃っています。特に、製造業、不動産、金融、消費財などが主要な業種です。

ホーチミン証券取引所(HOSE)

ホーチミン証券取引所(HOSE)、ベトナム最大の証券取引所であり、2000年に設立されました。

ここには多くの大企業が上場しており、ベトナム経済の中心的な役割を果たしています。HOSEの上場企業は、銀行、製造業、不動産など多岐にわたり、投資家にとって魅力的な投資先が豊富です。時価総額の大部分を占めています。

ハノイ証券取引所(HNX)

ハノイ証券取引所(HNX)、2005年に設立され、主に中小企業が上場しています

HNXは、ホーチミン証券取引所に比べて規模は小さいものの、成長性の高い企業が多く、投資家にとって新興企業への投資機会を提供しています。また、HNXにはHNX30インデックスという主要な株価指数があり、これにより市場の動向を把握しやすくなっています。

UPCoM市場

UPCoM市場は、2009年に設立された未上場企業の株式市場です。

ここには、上場準備中の企業や成長潜在力の高い企業が多く登録されていますUPCoM市場は、規制が緩く流動性が低いという特徴がありますが、将来性のある企業が多く、長期的な成長を期待する投資家にとって魅力的な市場です。

ベトナム株の取引方法

日本の証券会社を利用する方法

日本の証券会社を通じてベトナム株を取引する場合、日本語でのサポートが受けられるため、初心者にとって安心です。しかし、取引手数料が高めであることや、一部の銘柄に制限があることがデメリットです。

ベトナム現地の証券会社を利用する方法

ベトナム現地の証券会社を利用する場合、取引手数料が低く幅広い銘柄にアクセスできます。ただし、口座開設時に手間がかかることや、日本語サポートがない場合が多いことがデメリットです。

申請に必要な書類:

・パスポート
・ビザ(ビザなし入国の場合は滞在許可期間が明記された入国スタンプ)
・パスポート証明書(公証あり)

申し込みから約1ヶ月で証券会社から契約書控一式と証券取引コード登録証明書が郵送されます。投資資金を送金すると、いよいよ取引を開始することができます。

おすすめのベトナム証券会社

VietcombankI証券 (VCBS)

https://vcbs.com.vn/より引用

Vietcombank証券は、2002年に設立された証券会社です。大手銀行 Vietcombankの子会社であるため、安定した経営基盤と信頼性があります。最低取引手数料が0.075%と安いのが魅力的です。

株式、債券、為替、投資信託、デリバティブ取引などの金融商品を取り扱っています。インターネットでオンライン取引を行うこともできます。

SSI証券(SSI)

https://www.ssi.com.vn/より引用

SSI証券は、1999年に設立されたベトナム最大の証券会社の一つです。ベトナム証券取引所に上場しています。SSI証券は、強力な財務基盤と国際標準に基づく企業ガバナンスを持ち、個人および法人向け金融サービスを提供しています。

株式、債券、為替、投資信託、デリバティブ取引などの金融商品を取り扱っています。ベトナム全土に展開しており、インターネットでオンライン取引を行うこともできます。

ホーチミン証券(HSC)

https://hsc.com.vn/enより引用

ホーチミン市証券会社 は、2003年に設立されベトナムの証券市場でシェアを持っています。市場分析や企業リサーチなど高品質なリサーチサービスを提供しており、投資家にとって信頼できる情報源となっています。

株式、債券、為替、投資信託、先物取引やオプション取引などデリバティブ取引などの金融商品を取り扱っています。オンライン取引を行うこともできます。

日本証券 Japan Securities Incorporated(JSI)

https://www.japan-sec.vn/ja/より引用

Japan Securities Incorporatedは、ベトナム唯一の日系証券会社です。

2009年にアイザワ証券が出資し、現地での証券取引業務を強化しました。2018年には完全子会社化しました。

株式、債券、為替、投資信託、デリバティブ取引などの金融商品を取り扱っています。

日本語対応のサポートや資料が用意されており、ベトナム証券市場の概況や変動、又は短期・長期的な市場の見通し、マクロ経済や個別企業の活動に関する最新ニュースを確認することができます。

ベトナム株への投資のポイント

ベトナム株に投資する際のポイントは4つあります。

  1. まず市場の動向を常にチェックすることです最新の情報を収集し、適切なタイミングでの売買を心がける必要があります。
  2. 分散投資もリスク管理の一環として有効です。複数のセクターや企業に投資することで、一つの投資が失敗しても全体のリスクを軽減できます。
  3. 現地の経済状況や政治動向にも注意を払うことが求められます。ベトナム政府の政策変更経済指標の発表が株価に影響を与えることがあるため、これらの情報を基に迅速な判断を行います。
  4. 長期的な視点を持つことが重要です。短期的な価格変動に一喜一憂せず、企業の成長ポテンシャルを信じて投資を続けることで、大きなリターンを得ることができます。

まとめ

ベトナム株は、高成長率と安定した経済基盤を背景に期待される市場であり、多くの投資機会があります。一方でアメリカ、中国、韓国など外国の経済・政治情勢の影響を大きく受ける、流動性リスクが高いなどのデメリットもあるため、慎重なリサーチとリスク管理が必要です。

本記事では、おすすめの信頼できる証券会社を紹介しました。分散投資を心がけ、長期的な視点で投資を行うことが成功の鍵です。市場の変動に一喜一憂せず、冷静な判断を心がけましょう。

この記事が皆様のお役に立てば幸いです。

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