みなさんはベトナムと聞いて、お茶のイメージが頭に浮かびますか?
ベトナムというと、フォーやコーヒーのイメージが強く、お茶を1番に思い浮かべる人は多くはないかもしれません。
しかし、実はベトナムでは日常的にお茶を楽しむ文化があります。
日本でもお茶は日常的に飲む習慣がありますが、ベトナムでのお茶の消費量は日本の2倍とも言われているほどなのです。
今回はベトナムでお茶を飲んでみたい方や、お土産にお茶を選びたいという方に向けて、ベトナム茶の文化や種類などを詳しくご紹介します。
ベトナムのお茶文化
ベトナムでは、路面店でもお茶を飲みながら、お話やお菓子を楽しんでいる姿をよく見かけます。
ベトナムのお茶文化の歴史は古く、863年にはすでに中国からお茶を輸入していたという記録が残っています。
ハノイの方が中国に近いということもあり、今でもホーチミンに比べてハノイの方がお茶文化は栄えています。
ベトナムにお茶が伝わったのち、国内でもお茶の生産が始まり、フランス植民地時代にはフランスへの輸出向けに烏龍茶なども栽培されるようになりました。
ベトナムのお茶文化は中国の影響を強く受けており、本格的に淹れようとすると、実はさまざまなルールが決められています。
例えば、茶器を使う前にはお湯で茶器を洗ったり、茶葉を活性化させるために、最初のお湯を捨てる必要があります。
また、使用する茶葉の種類によって、お湯の温度などにも細かいルールが決められているのです。
日常的にお茶を飲む際には気軽に飲むことが多いですが、ベトナムには茶道も存在し、実は厳格なお茶文化も存在しているのです。
ベトナムのお茶の種類
ベトナム茶の1番の特徴は苦味が強いことです。
苦味を感じながら、最後に残る香りと甘みを味わうのが、ベトナムでのお茶の愉しみ方です。
以下ではベトナムで愉しむことができるお茶の種類について紹介します。
蓮茶(trà sen)
蓮茶はベトナムを象徴する最も伝統的なお茶です。
本当においしい蓮茶は世界中でもベトナムでしか生産できないと言われているほど、その品質は高いものとなっています。
蓮茶は、その名の通り、蓮の花をお茶にブレンドしたものですが、中でもハノイの西湖で収穫された蓮の花を使用したものは最高品質だと言われています。
蓮の花は5~6月ごろに見ごろを迎え、美しいピンクの花を咲かせます。
そのピンクの花を職人たちが花びら・花芯・葉に分けて、お茶に使用できるように丁寧に処理します。
この作業も非常に手間のかかるものですが、その後何度も乾燥させたりするなど、少しの量を生産するために多くの花と作業量が必要になります。
緑茶に蓮の花をブレンドしたものが最高級と言われていますが、昔は王宮のお茶とも呼ばれており、今でもその価格は非常に高級です。
1Kgで2万円〜3万円程度の値段がつくこともあるようです。
現在では、大切な人への贈り物や、お正月などの特別な時にお客様に提供するお茶として愛されています。
その気になる味は、葉を乾燥させたもの、花芯を乾燥させてブレンドしたもの、香りを移したものなど、作り方によってさまざまです。
最高級と言われる花芯を乾燥させてブレンドしたものは、苦味が最初は強いですが、最後にほんのり甘みを感じられる非常に独特な風味です。
同じ茶葉で何度もお湯を入れて愉しむことができますが、入れるごとに味が変化していく様子がとても味わい深いものです。
香りだけを移したものは日常的に飲むことができ、大手メーカーからもティーバッグタイプが販売されています。
こちらは低価格で愉しむことができます。
緑茶(trà xanh)
ベトナムで生産される緑茶は、ハノイから車で1時間半ほどの場所にあるタイグエンで生産されている緑茶が有名です。
生産過程で弱発酵させてあるというのがベトナム緑茶の驚くべき特徴です。
日本と同じように、食事やティータイムで日常的に飲まれることが多い緑茶ですが、苦味の強いものも多くあります。
小さなカップで苦いお茶を飲むのがベトナムスタイルの主流です。
ただし、種類によっては甘味のあるものもありますので、ご自身の好みの茶葉を探してみることをおすすめします。
ジャスミン茶(trà lài)
ベトナムのジャスミン茶は、クアンナムやバオロック(ダラット)などの涼しい高原地帯で生産されています。
ベトナムで生産される茶葉は香りが高いことで知られており、世界でも有数の生産国です。
ジャスミン茶は、胃腸の調子を整えたりリラックス効果があるため、暑い日に飲むのにピッタリだと言われています。
ベトナムのカフェでもメニューとしては定番で、日本よりも気軽に飲むことができます。
烏龍茶(trà ô long)
烏龍茶の茶葉もベトナムの涼しい高原地帯で栽培されています。
ベトナムの烏龍茶は中国から伝来したと言われており、すっきりとして飲みやすく、脂肪吸収を抑える効果が高いことから、脂っこい食事などと共に飲まれています。
最近日本でも流行していますが、烏龍茶を紅茶と同じように使用した「ウーロンティー」をカフェのメニューでよく見かけます。
適度な苦味とミルクが非常にマッチしていて美味しいので、私もおすすめしたいメニューです。
紅茶(trà đen)
ベトナムでの紅茶栽培はフランス植民地時代に始まったと言われています。
ハノイに住む私の体感では、 日本のような紅茶を日常的に飲むベトナム人は少ないように感じます。
多くのカフェがピーチティーやライチティーなど、紅茶とフルーツをブレンドした甘めのものを提供しています。
これらのフルーツティーはティーバッグでもスーパーなどで購入することができます。
カフェで注文する際には「砂糖少なめ」と伝える方が日本人は飲みやすいかもしれません。
その他のお茶
ベトナムには、上記に書いたものの他に、アーティチョーク茶や菊の花のお茶、ノニ茶、ハーバルティーなどの珍しいお茶も存在します。
特にアーティチョーク茶は日本ではなかなか日本では見かけないため、お土産にも選ばれています。
アーティチョークとは、あざみの一種で、味は芋、カリフラワーに似ており、甘みがある食べ物です。
お茶の味は、比較的飲みやすいのではないかと思います。
私のベトナム在住の友人も、アーティチョーク茶を愛飲している人が多くいます。
最初の香りは少しクセがありますが、最後に自然由来の甘みがしっかりと残ります。
カリウムが豊富なため、むくみ解消に役立ち、コレステロール値を下げてくれる効果もありますので、健康のためにもおすすめのお茶です。
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お土産におすすめのメーカー
Phúc Long(フックロン)
Phúc Longはベトナムの大手お茶メーカーで、スーパーなどでも多数商品が販売されています。
また、カフェもハノイやホーチミンなどの主要都市の市内にあるため、店舗でお茶を飲むこともできます。
販売されているお茶の種類も様々で、茶葉タイプからティーバッグまで幅広く生産されています。
価格はお手頃(約200~300円)なので、ばらまき用のお土産としてもおすすめできる商品がたくさんあります。
Cozy(コージィ)
Cozyもベトナムのスーパーのお茶売り場で見かける定番のお茶メーカーです。
蓮茶やジャスミン茶も非常に飲みやすく、低価格なので、普段使いのお茶としておすすめです。
私の日本の家族もCozyのジャスミン茶が大好きで、いつもお土産にたくさん買って帰ります。
ピーチティーやライチティーも、暑い夏に飲むとすっきりとした味わいで非常に飲みやすいです。
Lang Farm(ランファーム)
Lang Farmはお土産に特化したお茶やお菓子のお店です。
LOTTEやイオンモールといった大きい商業施設に入っていることが多いです。
お茶の種類が多いのも魅力ですが、パッケージがどれも可愛いのがお土産に人気の秘密です。
店内では試飲を気軽にさせてくれるため、気になるお茶があって悩む場合には、まず試飲してみましょう。
菊茶やアーティチョーク茶など、珍しい種類のお茶も取り揃えています。
ハノイのお茶専門店
Hien Minh (ヒエンミン)Tea House
Hien Minh Tea はハノイの伝統的な茶室で、高品質のベトナムの古代茶の木を保護、育成、加工するというビジョンを掲げて 2016 年に設立されました。
Hien Minh Tea House では、自社の茶葉加工と茶葉製品に情熱と誇りを持っています。情熱と誇りを持って、 ベトナム茶を 世界中の友人と共有したいと考えています。当ティーハウスにお越しいただき、静寂と伝統的な茶道を体験していただければ幸いです。
公式ホームページより引用
こちらのお店では、品質の良い茶葉の販売だけではなく、蓮茶づくり体験や茶道体験も参加することができます。
蓮茶作りは6月と7月の限定開催ですが、日本人にも人気の体験メニューです。
私も参加したことがありますが、ハスの花を綺麗に分解するところから、ハスの花の中にお茶を詰めるところまで体験でき、茶道の説明を聞きながら本格的なお茶をいただくこともできます。
お土産に作ったお茶を持ち帰ることができるのも人気の秘密です。
販売されている茶葉もラッピングが洗練されており高級感が感じられるため、大切な人への贈り物にぴったりです。
Anne’s Maison(アンズメイソン)
アンズメイソンはハノイ旧市街にある、旅行者向けのお土産屋です。
コーヒーがメイン商品として種類豊富に取り揃えられていますが、どの商品も品質や生産環境をしっかりと精査したものを選んで販売されています。
コーヒーに比べるとお茶の商品数は少ないですが、質の良いものがセレクトされていますので、日本人向けのお土産としても喜ばれます。
急須も一緒に販売されているので、お茶と合わせての購入もおすすめです。
ホーチミンのお茶専門店
HATVALA(ハトバラ)
ホーチミンのチューマンチン通りにあるハトバラはコーヒーとお茶の専門店です。
店内には茶室もあり、お茶を実際に飲むこともできます。
高品質なオーガニック茶葉を販売しており、ホーチミンではなかなか見つけることが難しいベトナム茶の販売店です。
販売されている商品はパッケージも可愛いので、お土産に喜ばれること間違いなし!です。
お茶と一緒に選びたいベトナムのお土産
ぜひ、お茶と一緒に選んで欲しい、ベトナムのお土産をご紹介します。
お茶とセットで贈ることで、さらに喜ばれること間違いなし!です。
チョコレート
ベトナムは実は質の高いカカオが採れる世界有数の国です。
そんなカカオを使用したお土産向けのチョコレートショップが、ハノイやホーチミンにはたくさんあります。
<ベトナム産の美味しいチョコレート8選|お土産におすすめ>
スパイス
スパイスもベトナム土産の定番!
胡椒は世界でも有数の栽培国ですが、その他の珍しいスパイスも日本に比べて低価格で購入することができます。
アジアンフードが日本で流行していることもあり、スパイスをお土産に選ぶ人は増えてきています。
ベトナムならではのライム塩やエビ塩、ヌクマムなどがお土産に人気です。
<お土産選び・ベトナム料理づくりに参考にしたい!ベトナムの調味料一覧>
コーヒー
コーヒーはベトナム土産の中でも一番ポピュラーなものです。
ベトナムコーヒーで使用される豆は、普段日本で流通しているものと種類が異なるため、違った風味や強めの苦味を愉しむことができます。
また、ベトナム独特のココナツコーヒーやヘーゼルナッツコーヒーもお土産として人気です。
<ベトナム旅行で必ず買いたい!おすすめお土産コーヒー6選【2024年版】>
ナッツ類・ドライフルーツ
お茶とセットでお土産にするのにぴったりなのが、ナッツ類やドライフルーツです。
ベトナムでは原料が国内でたくさん収穫されますので、日本で購入するよりも低価格で美味しいものが販売されています。
カシューナッツやマンゴー、パイナップル、パッションフルーツなどは日本人でも食べやすく、味も美味しいものが多いため、特におすすめです。
上記で紹介したお茶と一緒にティータイムをすると、とても良くマリアージュして、ベトナムの雰囲気をしっかりと味わうことができます。
まとめ
今回は、ベトナムのお茶の魅力をお伝えしました。
コーヒーに比べるとまだ認知度の低いベトナム茶ですが、実は品質の高い種類豊富なお茶がたくさん生産、販売されています。
日本にはない種類のお茶や、ベトナム茶ならではの風味を味わうことができますので、お土産にも非常におすすめです。
ベトナムに来た際には、ぜひ一度ベトナム茶を飲んでみてください。
きっとその味わい深さに魅了されるはずです。