世界的にキャッシュレス化が進む中、海外に出向くときには、その国の支払い方法を事前に調べておくことが大切です。
日本でもキャッシュレス化が進んでいるものの、まだまだ現金主義という方も多くいらっしゃいますよね。
少し前までは、海外、特に発展途上国に行く際には現金が必須でした。
ベトナムも数年前までは現金が一番メインの支払い方法でしたが、ここ数年で状況は大きく変化しています。
今回はベトナムに旅行や仕事で出向く方に向けて、ベトナムでの支払い手段を徹底解説します。
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ベトナムでの支払い方法
ベトナムでの支払い手段には、主に以下の4種類があります。
2021年の調査段階で、ベトナム人の利用比率は高い順に、銀行口座支払い、QRコード(電子マネー)決済、現金、クレジットカードとなっています。
この比率は日本と大きく異なります。
また、ベトナム財務省によると、2021年時点でベトナムの人口の85%の人々は電子決済を利用していると言われています。
ベトナム人の支払い方法と日本人の支払い方法には違いが多くありますので、それぞれ詳しく解説します。
銀行口座送金
ベトナムで最も普及している支払い方法は銀行口座支払いです。
2021年時点では支払い全体の36.5%が銀行口座支払いだったという調査結果も出ています。
2024年の現時点では、おそらくこの比率はさらに大きくなっていると思われます。
日本での銀行口座支払いというと、請求書を交わしたり、口座情報を教えたり、あまりライトなイメージがありませんが、ベトナムでは大きく異なります。
ベトナムではネットバンキングが非常に気軽に利用できるため、今では多くの店で利用することができます。
小さな飲食店などでも、店内に支払い用のQRコードが貼られていることが多く、そのQRコードから気軽に銀行口座支払いが可能です。

筆者撮影
支払った後は、ネットバンキングで完了画面が出ますので、その画面を見せて支払い完了となります。
日本人にもこれが利用できると非常に便利なのですが、銀行口座を開設するためには12カ月以上の滞在を証明できるビザなどが必要です。
そのため、ベトナムで就労している人は利用できますが、旅行者や出張者の方には利用が難しい手段でしょう。
電子マネー(QRコード)決済
VNPAYやMoMo、Zalopayなどの電子マネー決済もベトナムでは非常に流通しており、今では現金を上回って利用されています。
これらは、アプリを登録し、銀行口座やクレジットカードを紐付けしたり、事前に現金をチャージすることで、簡単にQRコードスキャンでの支払いが可能になります。
多くの店で導入されており、支払いが可能かどうかは、以下のロゴが店内に掲示されているかどうかで確認できます。

公式ホームページより

公式ホームページより

公式ホームページより
クレジットカードは日本のものだと登録できないこともあるようですが、気軽に支払いをしたいという方や1ヶ月以上滞在予定の方は登録にチャレンジしてみるとよいでしょう。
1年以上の長期滞在予定の方は、銀行口座を開設後、これらのアプリも登録しておくと、ネットショッピングの利用も簡単になりますので、おすすめです。
MoMoは英語表記があり、AppleIDとの連携が可能で、コンビニでの現金チャージにも対応していますので、比較的使用しやすく、一番おすすめです。
Zalopayはベトナム語表記のみなので、使用のハードルは高めでしょう。
VNPAYはパスポートで本人確認ができたのですが、2024年からそれができなくなってしまったようなので、現状で外国人が登録するのは不可能になってしまっています。
現金
現金は、どのお店でもほとんど利用が可能です。
ただし、キャッシュレス化が進んでいることもあり、タクシードライバーや小さなお店はお釣りの細かい現金を持っていないことが時々あります。
その際には、多くの場合で銀行口座支払いにしてくれと頼まれるのですが、それができない場合には、多めに支払うか、お釣りを諦めるという方法になってしまいます。
また、ベトナムの現金は日本に比べて低額紙幣で、1番高額の紙幣でも50万ドン=約3000円です。
そのため、日本人が数万円〜10万円を現金で持ち歩くと数十枚の紙幣になってしまうこともよくあります。
このような数十枚の紙幣はベトナム人にとってひと月分の給料分に値したり、高額になりますので、スリやひったくりの標的になってしまいがちです。
ベトナムでは、現金を持ち歩くことは必須ですが、多くても200万ドン=約12000円程度にしておくのが安心でしょう。
高額品の買い物をしたい場合には、クレジットカードでの支払いにするか、そのタイミングでベトナムの現金を用意するのが良いと思います。
クレジットカード
クレジットカードは海外旅行では必須アイテムの一つですので、持っていくという方がほとんどでしょう。
ベトナムでもクレジットカードが使用できるお店やサービスは多数ありますので、支払いに利用することができます。
しかし、日本ほど多くの店では普及しておらず、基本的には観光客向けの店やホテルでしか利用できません。
ローカル店やタクシーでは利用できないことが多いため、現金を合わせて持ち歩いておくのが安心でしょう。
またお店の人から、「クレジットカードでの支払いは合計金額に数%の手数料を上乗せします(3%が多い)」と言われることもあります。
クレジットカードの海外利用手数料は一般的に2.20~3.85%と言われていますので、それに加えてこの手数料を取られると、合計5%程度(為替も踏まえると、もしくはそれ以上)の手数料が発生することになります。
この点を知った上で利用するようにしましょう。
どの支払い方法がベスト?
ベトナムでのお支払い方法として最もメジャーで利用が簡単なものは、「銀行口座送金」と「QRコード決済」です。
しかし、これらは短期滞在者には利用の壁が高いので、旅行者や出張者、ベトナムに来て日の浅い方には、「現金とクレジットカードの合わせ持ち」をおすすめします。
現金は、ベトナムでは1日100万ドン〜200万ドンあれば、食事や買い物を十分に楽しめるはずです。
現金を持ち歩くのはできるだけ少なくしておき、高額品を購入する際にはクレジットカードで支払うか、クレジットカードでキャッシングサービスを利用するのもいいでしょう。
ハノイやホーチミン、ダナンなどの市街地では、ATMが多く設置されていますので、気軽にキャッシングを行うことができます。
クレジットカードはベトナムで使えない?
前述しましたが、ベトナムではクレジットカードが使用できない店が多くあります。
<クレジットカードの普及率比較>
日本 | ベトナム | |
国民のクレジットカード保有率 | 68% | 5%以下 |
このように、日本とベトナムでは、国民のクレジットカード保有率に大きな差があります。
そのため、ベトナム人がメイン客層であるローカル店や小さなお店では、クレジットカード決済ができないことが多くあります。
ただし、都市部や観光客向けスポットではほとんど普及していますので、問題なくクレジットカードの利用が可能です。
例えば、ホテルやスパ、大手チェーンカフェ、大手スーパー、観光客向けレストランでは問題なく利用できますので、旅行や出張の際には、必ずクレジットカードを準備しておくことをお勧めします。
ベトナムで使えるクレジットカード3選
ベトナムを訪れる際に必ず準備してほしいクレジットカードですが、どのブランドが便利なのか気になりますよね。
ベトナムで流通している3大カードブランドについてご紹介します。
VISA
VISAはベトナムのクレジットカードの中でも最も普及しており、クレジットカード加盟店の80%以上で利用可能です。
国際ブランドとしてその知名度は圧倒的なので、ベトナムに限らず、海外旅行では必ず持っていきたいブランドです。
Mastercard
MastercardはVISAに次いでベトナムで使える場所が多いブランドです。
VISAだけではなく、Mastercardも合わせて1枚持っていくと、より安心でしょう。
JCB
JCBは日本のブランドですが、アジア諸国では比較的利用できる場所が多くあります。
ベトナムでは、日本人向けの店やレストランを中心に利用することができますが、その比率は全体のクレジットカード加盟店の10%程度と少なめです。
VISAやMastercardと合わせて、2枚目3枚目としてお勧めできるカードですが、JCB1枚だけでは、ベトナムで利用できずに困ることがあるかと思います。
まとめ
今回はベトナムでのクレジットカード利用について解説しました。
ベトナムは近年成長の著しい国の一つですが、日本に比べるとまだまだクレジットカードは普及していません。
しかし、都市部では比較的利用が可能なこと、多額の現金を持ち歩くリスクを考えると、クレジットカードの利用できる店ではできるだけ活用することがおすすめです。
ベトナムで主に利用できるカードブランドはVISAとMastercardですので、これらは必ず持参するのがベトナム滞在を楽しむポイントだと言えるでしょう。
今回の内容が、ベトナムに出張や旅行で来られる方にとって役立つ内容になっていましたら、大変嬉しく思います。