ベトナム在住4年目の私が、現地のオーダーメイドワンピース事情を徹底解説します。
ホイアンやホーチミンでの体験を元に、初めてでも安心して注文できるコツから、価格相場、おすすめの生地市場まで詳しくご紹介。あなただけの一着を手に入れるための全情報がここにあります。
ベトナムでオーダーメイドワンピースが人気の理由
ベトナムでオーダーメイドの服を作ることは、多くの旅行者や在住外国人にとって特別な体験となっています。特にワンピースは、オーダーメイドの中でも人気の高いアイテムです。その理由はいくつかあります。
まず、コストパフォーマンスの高さが挙げられます。ベトナムでは日本と比べて人件費が安く、高品質な仕立てが非常にリーズナブルな価格で提供されています。例えば、シンプルなワンピースであれば20~40ドル(約3,000~6,000円)程度から作ることができ、日本のオーダーメイド価格の3分の1以下で済むことも珍しくありません。
次に、技術の高さです。ベトナムには繊維産業の長い歴史があり、熟練した仕立て職人が多く存在します。特にホイアンは「テーラータウン」として世界的に有名で、数百軒ものテーラーショップが軒を連ねています。ホーチミンやハノイなどの大都市でも、高品質な仕立てを提供する店が数多く見つかります。
さらに、デザインの自由度の高さも魅力です。好みの生地を選び、ネックラインやスカート丈、袖の長さなど細部までカスタマイズできるため、自分だけの一着を作り出せます。体型に合わせて調整するため、既製品では得られない完璧なフィット感も実現できるのです。
在住者として特に感じるのは、リピート率の高さです。一度作ってみると、その価格と品質のバランスの良さから、次々と別のデザインも注文したくなります。私自身もベトナム在住4年で30着以上のオーダーメイド服を作りました。
ベトナムのオーダーメイドワンピースの種類と価格相場
ベトナムでオーダーできるワンピースは多岐にわたり、価格帯も様々です。主な種類と相場を詳しく見ていきましょう。
カジュアルワンピース
シンプルなデザインのカジュアルワンピースは最も手頃な価格で作ることができます。綿素材を使用した膝丈のAラインワンピースなどは、20~40ドル(約3,000~5,500円)程度が相場です。
ポケットやボタンなどのディテールを追加しても、大きく価格が上がることはありません。
フォーマルワンピース
結婚式やパーティーなどで着用するフォーマルなワンピースは、素材や装飾により40~80ドル(約6,000~12,000円)程度です。シルクやサテンなどの高級素材を使用し、刺繍やビーズ装飾を施すと、価格は上がりますが、それでも日本の既製品のフォーマルドレスと比べれば格段にリーズナブルです。
アオザイ風ワンピース
ベトナムの伝統衣装「アオザイ」をモダンにアレンジしたワンピースも人気があります。サイドにスリットが入ったデザインで、30~80ドル(約4,500~11,000円)程度が相場です。伝統的な刺繍を施すと価格は上がりますが、オリジナルの一着になります。
価格に影響する要素
価格を左右する主な要素は以下の通りです。
素材:綿やポリエステルは安価ですが、シルクやカシミアなどの高級素材は価格が上がります
デザインの複雑さ:プリーツやドレープなど手間のかかるデザインは高くなります
裏地の有無:裏地付きは通常10~20ドル程度価格が上がります
店舗の立地:観光地中心部のショップは郊外より2~3割高い傾向があります
ベトナム統計総局によると、繊維・縫製産業は国の主要産業の一つで、年間約350億ドルの輸出額を誇っています。この産業基盤があるからこそ、高品質な縫製技術と手頃な価格の両立が可能なのです。
おすすめのオーダーメイド店と生地市場
ベトナムで質の高いオーダーメイドワンピースを作るなら、信頼できる店選びが重要です。
私が4年の滞在で実際に利用し、満足度の高かった店舗も含めて、素材選びに欠かせない生地市場をご紹介します。
ホイアンのおすすめテーラー
Bebe Tailor(ベベテーラー)

引用:GoogleMapより
ホイアンで最も評判の良いテーラーの一つです。英語対応が非常に丁寧で、デザイン提案も豊富。特に女性向けワンピースの仕立てに定評があります。予約制で混雑を避けられるのも魅力です。
A Dong Silk(アドンシルク)

引用:GoogleMapより
ホイアン最大級のテーラーショップで、生地の種類が豊富です。日本語が少し話せるスタッフが在籍していることもあり、細かい要望も伝えやすいのが特徴。フィッティングにも時間をかけてくれます。
ホーチミンのおすすめテーラー
Usagi(ウサギ)

引用:GoogleMapより
日本語を話せるスタッフがいて、さらに1日で仕上げてくれるため、ホーチミン在住日本人に人気のショップ。
店内には生地も用意されているので、その中から選んで洋服に仕立てることもできます。
Tricia & Verona(トリシア&ベロナ)

引用:GoogleMapより
欧米人駐在員に人気の高級テーラー。価格は他店より高めですが、西洋的なデザインセンスと高品質な縫製技術が魅力。予約必須です。
テイラーララン

引用:公式Facebookより
日本語で接客をしてくれます。
小さなお店でありながら、ワンピースのお仕立てが特に日本人から人気を集めています。
店内にも生地がありますが、種類が少ないので、持ち込みをするのがおすすめ。
ハノイのおすすめテーラー
Nhà May Mai
タイホーエリアにある、日本人に人気の仕立て屋さんです。
店主のMaiさんは、日本人のオーダーに慣れており、日本のショッピングサイト画像からでも上手に仕立ててくれます。
生地の販売はしていないため、持ち込みは必須です。
Nha may Dung
ホム市場のすぐ近くにある、こちらの仕立て屋も日本人御用達。
住所が難しいのですが、細い路地を通って奥まで進んでいきます。
通称「お師匠さん」とも呼ばれています。作り方が丁寧で、デザインも素敵に仕上がることが多く、日本人からの人気を集めているようです。
周辺には、他の仕立て屋も多数ありますので、お店を間違えないように注意!
生地を自分で選ぶなら
ホーチミン・タンディン市場
1区と10区の境にあるタンディン市場は、地元の人々が利用する巨大市場です。2階が生地売り場になっており、数百の店舗が軒を連ねています。
価格交渉は必須ですが、テーラーショップより30~50%安く生地を購入できます。
ハノイ・ホム市場

筆者撮影
333 バーバーバー
ハノイ在住日本人がよく通う、生地卸屋さん。
店内にはたくさんの生地が並べられており、メートル販売のものと重さで測り売りのものがあります。
ホム市場に比べて、価格がお手頃なのが人気の秘密。
お気に入りの生地をバーバーバーで見つけられたら、安くお気に入りの洋服が仕立てられます。
オーダーメイドワンピースの注文手順と失敗しないコツ
ベトナムでオーダーメイドワンピースを作る際の一般的な流れと、私が4年間で学んだ失敗しないためのコツをご紹介します。
基本的な注文の流れ
デザイン選び・相談:店舗に用意されているカタログやサンプルから選ぶか、持参した写真やスケッチを見せて相談します。この段階でネックライン、袖の長さ、スカート丈などの詳細を決めます。
手元にあるワンピースを預けて全く同じデザイン、サイズに仕上げてもらう方法。お気に入りのワンピースを量産できますし、失敗が少なくなります。
採寸:スタッフが細かく身体のサイズを測ります。
生地選び:店舗に生地がある場合、用意された生地から選びます。素材、色、柄など豊富な選択肢があります。持ち込みの場合には、それを手渡しましょう。
価格交渉・支払い:デザインと生地が決まったら価格を確認します。通常、前払いで50%程度の支払いをするか、引取り時に全額支払いとなります。
引き取りとフィッティング:商品引き取りの際にフィッティングをします。この時、サイズやデザインが注文と異なっていたら、無料で作り直しをしてくれる場合が多いです。
失敗しないための5つのコツ
1. 十分な時間を確保する
最低でも初回相談から完成まで4~5日は見ておきましょう。急ぐと縫製の質が落ちる可能性があります。特に旅行者は帰国直前に注文すると、フィッティングの時間が取れず失敗するケースが多いです。
2. デザインを明確に伝える
写真やイメージ画像を複数用意すると伝わりやすいです。「シンプルなワンピース」という曖昧な表現では、店員との認識にズレが生じます。また、特に重視するポイント(例:「ウエストのフィット感が特に重要」など)を伝えると良いでしょう。
3. 生地選びに時間をかける
見た目だけでなく、手触りや厚みをしっかり確認しましょう。特に薄すぎる生地は透けやすく、厚すぎるとベトナムの気候では着用機会が限られます。迷ったら店員に用途を伝えてアドバイスをもらいましょう。
4. フィッティングで遠慮しない
フィッティングは最も重要なプロセスです。少しでも気になる点があれば、はっきりと指摘しましょう。「少し窮屈だけど大丈夫かな」と妥協すると、実際に着用する際に後悔することになります。
5. 連絡先を交換しておく
完成後に問題が見つかった場合のために、店舗のメールアドレスやWhatsApp、Zaloなどの連絡先を必ず控えておきましょう。多くの店では、数日以内なら無料で修正に応じてくれます。
ベトナム観光総局のデータによると、外国人観光客の約40%がベトナム滞在中に何らかのオーダーメイド服を注文しており、その満足度は85%以上と非常に高いことが報告されています。しかし、失敗例の多くは「コミュニケーション不足」が原因となっています。
参考:ベトナム観光総局 http://vietnamtourism.gov.vn/english/
ベトナムでオーダーメイドした服の持ち帰りと手入れ方法
せっかく作ったオーダーメイドのワンピースを長く愛用するために、持ち帰り方と手入れの方法についてアドバイスします。
持ち帰る際の注意点
梱包方法
多くのテーラーショップでは、完成した服を簡易的なビニール袋に入れて渡されます。
長時間のフライトでも型崩れしないよう、以下のような対策をするのがおすすめです。
・高級素材のワンピースは、店舗に専用の洋服カバーを付けてもらうよう依頼する(多くの場合無料または少額で対応してくれます)
・折り目がつきやすい素材(シルクなど)は、できるだけ折り畳まずにハンガーにかけたまま持ち運べるよう工夫する
・やむを得ず折り畳む場合は、シワになりにくい折り方を店員に教わっておく
機内持ち込みか預け入れか
大切なオーダーメイド服は、可能であれば機内持ち込み荷物に入れることをおすすめします。預け入れ荷物の場合、他の荷物で圧迫されてシワになりやすいためです。
特に結婚式用など重要な場で着用予定のものは注意が必要です。
通関時の注意
個人使用の範囲内であれば、通常は問題なく日本に持ち込めます。ただし、大量に購入した場合(例:10着以上)は商用目的と見なされる可能性があるため注意が必要です。
レシートがあれば保管しておくと安心です。
長持ちさせるための手入れ方法
初回洗濯の注意点
ベトナムで作られた服は、最初の洗濯で色落ちや縮みが起こることがあります。特に濃い色の生地には注意が必要です。
初めは以下の点に注意して洗濯しましょう。
・冷水または30度以下のぬるま湯を使用する
・中性洗剤を使い、優しくもみ洗いする
・直射日光を避け、陰干しする
素材別のケア方法
綿素材のワンピース
アイロンは中温で、やや湿り気を与えながら
シルク素材のワンピース
アイロンは当て布をして低温で
リネン素材のワンピース
シワになりやすいが、それも風合いとして楽しむ
アイロンは高温可(スチームあり)
ベトナムならではの素材のケア
ベトナム特有の「ザンシルク」や「少数民族の手織り布」を使ったワンピースは特別なケアが必要です。
・漂白剤は絶対に使用しない
・直射日光での乾燥は色あせの原因になるため避ける
・保管時は防虫剤を使用する(特に天然素材)
修理が必要な場合
日本で着用中に不具合が生じた場合、多くのテーラーは写真を送ると修理のアドバイスをくれます。次回ベトナムを訪問する際に持参すれば、無料または格安で修理してもらえることも多いです。また、ベトナム在住の知人がいれば、代理で修理を依頼することも可能でしょう。
ベトナム繊維協会によると、ベトナム製の衣料品は耐久性に優れており、適切なケアを行えば3~5年以上の長期使用が可能とされています。オーダーメイドは既製品より縫製が丁寧なため、さらに長持ちする傾向もあります。
参考:ベトナム繊維協会 http://www.vietnamtextile.org.vn/
まとめ
ベトナムでのオーダーメイドワンピース作りは、単なるショッピング体験を超えた思い出になります。自分だけの一着を手に入れる喜びと、職人技を間近で見られる貴重な経験にもなりますので、ベトナムに来る方、住んでいる方にはぜひ一度チャレンジしてみていただきたいと私は思います。
このガイドが、あなたのオーダーメイド体験の一助となれば幸いです。
あなたのお気に入りの生地、お仕立てショップが見つかりますように・・・