ベトナムは、急速な経済成長と安定した政治環境により、多くの外国人専門家やビジネスマンにとって魅力的な就職先となっています。
私たち日本人にとっては、言語や文化の壁があるものの、多くの日系企業が進出しており、様々な業界で活躍するチャンスが広がっています。
しかし、ベトナムでの就職は、単に仕事を見つけるだけではなく、ビザの取得、住居・生活環境の準備など、多くの準備が必要です。また、ベトナム特有の職場文化やビジネス慣習に適応することも不可欠です。
この記事では、ベトナム在住8年の筆者が、ベトナムでの転職・就職を考える日本人の皆さんに向けて、ベトナムでの転職を成功させるための戦略と、ベトナムでの就職プロセスについて、具体的なステップをご紹介します。
ベトナムでの転職市場の現状ー高需要の業界、日本人に人気の業界
ベトナムの経済は、この20年の間にベトナムの1人当たりのGDPは約20倍にも伸びています。日系企業を含む外資系企業の増加により、日本人ビジネスマンや専門職にとってもキャリアアップの大きなチャンスがあります。
特にIT、製造業、サービス業、建設業などの分野で専門的なスキルを持つ人材が求められています。
IT・テクノロジー分野では、ソフトウェア開発、システムエンジニアリング、データ分析などの職種が急増しており、技術力やプロジェクトマネジメント力を活かせる機会が豊富にあります。
製造業では、日本の精密機械や自動車産業に関連する技術職、工場管理職が求められています。特に最近ではベトナムの人件費底上げなどの背景から、FA(ファクトリーオートメーション)業界などの採用需要も高まりつつあります。
サービス業界では、観光・日本食業界が盛んで、日本語を話せるスタッフが重宝されています。さらに、教育・言語学校では、日本語教師の需要が高まっており、日本文化を伝える役割も期待されています。
これらの分野に限らず、ベトナム国内でのビジネス拡大を目指す日系企業では、マネージャー職や営業職、工場管理職などの需要が高く、現地の市場や文化を理解し、橋渡し役となる日本人の存在が必要とされています。
日本人転職者にとっても、ベトナムでの就職が選択肢の一つとなりつつあります。
ベトナムでスキルアップとキャリアアップの可能性
急速な経済成長を続けるベトナムは、日本人にとっても魅力的なキャリアアップの場となっています。
スキルアップのための環境
ベトナムはスキルアップと自己成長に最適です。人材育成やマネジメントなど早いうちから様々な経験を積むことができます。
キャリアアップの可能性
市場が拡大し続けるベトナムでは成長する企業も多く、キャリアアップの可能性が至るところにあります。日系企業だけでなく、現地企業や外資系企業での管理職や専門職としてのポジションがゴロゴロあります。
日本帰国後もグローバルな環境で活躍
日本に帰国後、海外での就職経験や語学力を求めるグローバル企業や、良いポジションでの活躍が期待できます。ベトナム現地法人から日本本社への切り替えが可能な求人もあり、帰国後のキャリアプランも様々です。
就職プロセスの解説: 求人検索から応募方法、ビザ取得までのステップバイステップガイド
ベトナムでの就職は、魅力的なキャリアアップの可能性を提供しています。しかし、成功するためには、求人検索から応募、ビザ取得まで、正しいステップを踏むことが重要です。
ベトナムでの就職プロセス1:マッチする求人を見つける
ベトナムで就職するために、あなたが働きたいと思う仕事、条件にマッチする求人があるかどうか、確認しましょう。
ポジショントークで恐縮ですが、当社の「ベトスカウト」では日本人向けのベトナム勤務求人数が最も多く掲載されているので、ぜひ参考にしてください。
ベトスカウトの求人検索ページ:https://vietscout.jp/job/
*「ベトスカウト」ではスカウト機能もあるので、現時点でベトナムで転職する意思が固まっていない場合は会員登録すれば、あなたの匿名プロフィールを見た企業から直接スカウトをもらえます。表には出ていない非公開な求人と出会える可能性もあるので、キャリアの選択肢が拡がるでしょう。
他にも、現地に直接足を運んで探したり、知り合いに紹介を依頼したりなど、使える選択肢は駆使するといいでしょう。
ベトナムでの就職プロセス2:応募~選考~内定獲得
日系企業の場合、日本の応募・面接手順に従って作成します。応募書類には、履歴書や職務経歴書が含まれます。ベトナム企業の場合、書類を英語やベトナム語で準備が必要があり、ベトナムの企業文化に合わせて書類を丁寧に作成する必要があります。
最近では一部の役員ポジションを除き、Zoomなどオンライン面接が一般的になっています。面接では、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルが評価されるため、準備を怠らないようにしましょう。
ベトナムでの就職プロセス3:ビザ取得
ベトナムで長期間働く場合、労働許可証と一時在留許可証を取得します。
それらを申請する際、同一企業における3年間の就業を証明しなくてはなりません。そのため、ベトナムで働くためには、少なくとも日本での3年間の就業経験が必要となります。
手続きに関しては、日系企業の多くはビザ取得に関する書類準備や手続きの代行や案内を準備しています。
しかし、ベトナム企業や外資系企業に就職する場合、ビザ申請プロセスを自分で主導的に進める必要があります。
例えば、労働許可証の取得に必要な書類の準備や申請プロセスを自分で行うことが求められることがあります。これには、健康診断書、無犯罪証明書、最終学歴の証明書など、多くの書類を集め、提出することが含まれます。
ベトナムでの就職プロセスは、計画的に進めることが必要です。
中途採用している在越日系企業では、ローカルスタッフが日本語を話せることが多く、「英語力不問」の求人もあります。一方、ベトナム企業・外資企業では英語が社内公用語となっている会社もあり、TOEIC●●点という応募要件をクリアする必要がありそうです。ベトナム語力が求められることは稀ですが、ベトナム語が少し話せると、ローカルスタッフとのコミュニケーションや生活の快適さが変わってきます。
ベトナムの職場文化と日本人が注意すべきポイント
ベトナムでの就職の成功のもう一つの鍵は、文化的適応能力です。日本人がベトナムの職場文化に適応するためには、以下のポイントに注意を払う必要があります。
コミュニケーションスタイル: ベトナムの職場では、率直でオープンなコミュニケーションが求められます。日本のように間接的な表現や「空気を読む」文化は少なく、ベトナムでは明確な意思表示が重要視されています。日本人は、相手の感情を尊重しつつも、はっきりとした意見交換を心がけ、背後にある意図を読み取ることなく直接的な対話を行うことが求められます。このようなコミュニケーションスタイルの違いを理解し、適応することが、文化的な誤解を避け、職場での円滑な関係構築に繋がります。
時間観念: ベトナムでは、時間に対する概念が日本と異なることがあります。約束の時間よりも少し遅れることが一般的であるため、柔軟性を持って対応しましょう。
上下関係: ベトナムの企業文化では、組織内の階層がはっきりしており、トップダウンのアプローチが一般的です。また、上司の意思決定は変更されることがあり、従業員はその指示に柔軟に対応する必要があることを理解しておくべきです。また、年齢や職位によって定められた上下関係が存在し、特に上司や年上の人々には敬意を払うことが期待されています。
ベトナムでの平均給与、物価、生活の質
ベトナムでの転職者の給与と生活費・生活面はどうでしょうか。
日本人転職者の平均給与はポジションによって異なりますが、一般職で150万〜300万円、マネージャークラスでは400〜600万円ほどと言われています。
この給与が魅力的と感じるかどうかは人によって異なります。しかしベトナムは物価が比較的安いので、給料の額より質の高い生活を送ることが可能です。
例えば、ホーチミンで4人家族が生活する場合、1ヶ月の生活費は約3,800万ドン(約20万円程度)とされています。一方、日本で同じ家族構成の生活費は約31万円となります。
生活面では、インフラが未整備な場所があり、海外から送られる郵便物が届きにくかったり、停電が起こったりすることもあります。バイク社会なので、歩行者の安全性が低く、日本と同じ感覚で歩いていると事故に巻き込まれる可能性もあり注意が必要です。
このように、ベトナムでのキャリアアップを考慮する際には、単に額面の給料だけでなく、給与と生活費、生活面のバランスも考慮しながら決定します。現地の物価や生活面についての情報収集をして、日本人転職者としての優位性を活かしつつ、充実した海外生活を実現しましょう。
まとめ:ベトナムでの就職・転職を成功させるために
ベトナムは日系企業が多いため、日本での経験やスキルを活かせる場がありますが、現地企業や外資系企業でのチャンスも豊富にあります。また、英語力やベトナム語のスキルを磨くことで、より多くの機会を掴むことができます。成功させるためには、まず自分の強みと市場ニーズを理解しましょう。
ベトナムの文化やビジネス環境に適応する柔軟性を持つことも大切です。現地の人々とのコミュニケーションを大切にし、異文化理解を深めることで、円滑な職場関係を築くことができます。ベトナムでの就職・転職は、新たなキャリアと生活の可能性を広げる絶好の機会です。
新しい納得したキャリアを築くために、この記事が皆さんの役に立てば幸いです。