ベトナムは、急速な経済成長と安定した政治環境により、今や多くの外国人専門家やビジネスマンにとって魅力的な就職・転職先となっています。
私たち日本人にとっては、言語や文化の壁があるものの、多くの日系企業が進出しており、様々な業界で活躍するチャンスが広がっています。
しかし、ベトナムでの就職は、単に仕事を見つけるだけではなく、ビザの取得、住居・生活環境の準備など、多くの準備が必要です。また、ベトナム特有の職場文化やビジネス慣習に適応することも不可欠です。
この記事では、ベトナム在住8年の筆者が、ベトナムでのキャリアアップ転職・就職を考える日本人の皆さんに向けて、ベトナムでの転職を成功させるための戦略と、ベトナムでの就職プロセスについて、具体的なステップをご紹介します。
2026年最新:ベトナムの転職市場と求人動向

2026年現在、ベトナムの転職市場は新たな局面を迎えています。
これまでは「安価な労働力」を求めて製造業が進出するケースが中心でしたが、現在は高度な技術力やマネジメント力を求める求人が主流となっています。
ベトナム政府によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、国内消費市場の成熟に伴い、求められる人材の質が大きく変化しているためです。
特に日系企業においては、現地ローカルスタッフの能力向上に伴い、日本人に求められる役割が「実務の担当者」から「現地スタッフを統括するマネージャー」や「日本本社との架け橋となるハブ人材」へとシフトしています。
また、2026年のトレンドとして、従来のハノイ・ホーチミンといった二大都市圏だけでなく、その周辺の工業地帯(ビンズン省、ドンナイ省、ハイフォン市など)での求人も増加傾向にあります。
これにより、居住地や勤務形態の選択肢が広がり、転職者にとっても多様なキャリアプランを描きやすい環境が整ってきています。
高需要の業界と日本人に人気の職種
ベトナムで日本人の採用需要が高い主な業界と、それぞれの動向について詳しく見ていきましょう。
IT・テクノロジー分野
ソフトウェア開発、システムエンジニアリング、データ分析、AI関連プロジェクトなどの職種が急増しています。
ベトナムは国を挙げてIT人材の育成に力を入れており、オフショア開発の拠点として確固たる地位を築いています。
日本人がこれらのプロジェクトにPM(プロジェクトマネージャー)やブリッジSE(BSE)として参画するケースが多く、技術力だけでなく、文化の壁を越えたマネジメント力が強く求められています。
製造業・FA(ファクトリーオートメーション)業界
日系の精密機械や自動車産業に関連する技術職、工場管理職の需要は依然として高い状態を維持しています。
さらに、ベトナム国内の人件費上昇や生産効率向上のニーズを背景に、FA(ファクトリーオートメーション)業界や自動化設備を導入する企業の採用需要が急速に高まっています。
工場のDX化や自動化ラインの立ち上げ経験を持つ人材は、市場価値が非常に高くなっています。
サービス業・商社・小売り
ベトナムの中間層・富裕層の拡大に伴い、外食チェーン、リテール(小売)、教育サービス、観光業界が非常に盛んです。
日本語を話せる現地スタッフは増えているものの、日系ならではの高品質なサービスやブランド価値を維持・伝えるために、日本人の店舗責任者やカスタマーサポートマネージャーが重宝されています。また、教育分野では言語学校での日本語教師の需要も根強くあります。
営業職・管理部門
業界を問わず、日系企業がベトナム国内でのシェアを拡大するために、新規開拓や既存顧客のフォローを行う営業職の求人は常に豊富です。
また、現地法人の組織拡大に伴い、総務、人事、財務などの管理部門でローカルスタッフをマネジメントできる日本人マネージャーの存在も不可欠となっています。
ベトナムでスキルアップとキャリアアップの可能性

急速な経済成長を続けるベトナムは、日本人にとっても魅力的なキャリアアップの場となっています。
スキルアップのための環境
ベトナムはスキルアップと自己成長に最適です。人材育成やマネジメントなど早いうちから様々な経験を積むことができます。
キャリアアップの可能性
市場が拡大し続けるベトナムでは成長する企業も多く、キャリアアップの可能性が至るところにあります。
日系企業だけでなく、現地企業や外資系企業での管理職や専門職としてのポジションがゴロゴロありますので、日本以上の裁量で仕事をできるチャンスが広がっています。
日本帰国後もグローバルな環境で活躍
日本に帰国後、海外での就職経験や語学力を求めるグローバル企業や、良いポジションでの活躍の可能性も広がります。
ベトナム現地法人から日本本社勤務への切り替えが可能な求人もあり、帰国後のキャリアプランも様々です。
ベトナムでの就業経験を元に、日本企業でキャリアアップすることも可能です。
就職プロセスの解説: 求人検索から応募方法、ビザ取得までのステップバイステップガイド

ベトナムでの就職は、魅力的なキャリアアップの可能性を提供しています。しかし、成功するためには、求人検索から応募、ビザ取得まで、正しいステップを踏むことが重要です。
ベトナムでの就職プロセス1:マッチする求人を見つける
ベトナムでの就職活動において、最初のステップはご自身の希望条件やスキルにマッチする求人がどの程度あるかを確認することです。
海外転職活動における主な手段として、「転職エージェント」「求人サイト(公募)」「スカウト型サイト」の3つが挙げられます。それぞれの特徴を理解し、自身の状況に合わせて使い分けることが成功への近道です。
ベトナム転職手段の比較
| 転職手段 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
| 転職エージェント | 担当者による選考対策やサポートを受けられる | 自身のペースだけで進めにくい場合がある | 初めての海外転職で手厚いサポートが欲しい方 |
| 求人サイト(公募) | 多くの求人を一括で比較・検討できる | 応募から企業との調整をすべて自分で行う必要がある | 自分で主体的に求人を選びたい方 |
| スカウト型サイト | 登録後は待つだけで企業から直接アプローチが届く | 経歴によってスカウトの数に偏りが出ることがある | 良い案件があれば移住を検討したい、在職中の方 |
*「ベトスカウト」ではスカウト機能もあります。
現時点ではまだベトナムで転職する意思が固まっていないという場合には会員登録さえすれば、あなたの匿名プロフィールを見た企業から直接スカウトをもらえます。表には出ていない非公開な求人と出会える可能性もあるので、キャリアの選択肢が拡がるでしょう。
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他にも、現地に直接足を運んで探したり、知り合いに紹介を依頼したりなど、使える選択肢は駆使するといいでしょう。
ベトナムでの就職プロセス2:応募~選考~内定獲得
日系企業の場合、日本の応募・面接手順に従って作成します。応募書類には、履歴書や職務経歴書が含まれます。ベトナム企業の場合、書類を英語やベトナム語で準備する必要があり、ベトナムの企業文化に合わせて書類を丁寧に作成する必要があります。
最近では一部の役員ポジションを除き、Zoomなどオンライン面接が一般的になっています。面接では、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルが評価されるため、準備を怠らないようにしましょう。
ベトナムでの就職プロセス3:ビザ取得
ベトナムで長期間働く場合、労働許可証(ワークパーミット)と一時在留許可証(TRC)を取得します。
これらを申請する際、専門家や管理職としての区分では、原則として通算3年以上の関連する就業経験を証明しなくてはなりません(※技術者などの区分では2年以上の実務経験で認められる場合もあります)。
職歴は同一企業である必要はなく、過去の複数の会社での経験を合算することが可能です。
手続きに関しては、日系企業の多くはビザ取得に関する書類準備や手続きの代行や案内を準備しています。
しかし、ベトナム企業や外資系企業に就職する場合、ビザ申請プロセスを自分で主導的に進める必要があります。
例えば、労働許可証の取得に必要な書類の準備や申請プロセスを自分で行うことが求められることがあります。これには、健康診断書、無犯罪証明書、実務経験証明書、最終学歴の証明書など、多くの書類を集め、提出することが含まれます。採用企業や専門家に聞くか、最新情報を大使館ページなどで確認するようにしましょう。
ベトナムでの就職プロセスは、計画的に進めることが必要です。
中途採用している在越日系企業では、ローカルスタッフが日本語を話せることが多く、「英語力不問」の求人もあります。一方、ベトナム企業・外資企業では英語が社内公用語となっている会社もあり、TOEIC●●点という応募要件をクリアする必要がある場合があります。ベトナム語力が求められることは稀ですが、ベトナム語が少し話せると、ローカルスタッフとのコミュニケーションや生活の快適さが変わってきます。
ベトナムの職場文化と日本人が注意すべきポイント

ベトナムでの就職の成功のもう一つの鍵は、文化的適応能力です。日本人がベトナムの職場文化に適応するためには、以下のポイントに注意を払う必要があります。
コミュニケーションスタイル: ベトナムの職場では、率直でオープンなコミュニケーションが求められます。日本のように間接的な表現や「空気を読む」文化は少なく、ベトナムでは明確な意思表示が重要視されています。日本人は、相手の感情を尊重しつつも、はっきりとした意見交換を心がけ、背後にある意図を読み取ることなく直接的な対話を行うことが求められます。このようなコミュニケーションスタイルの違いを理解し、適応することが、文化的な誤解を避け、職場での円滑な関係構築に繋がります。
時間観念: ベトナムでは、時間に対する概念が日本と異なることがあります。約束の時間よりも少し遅れることが一般的であるため、柔軟性を持って対応しましょう。
上下関係: ベトナムの企業文化では、組織内の階層がはっきりしており、トップダウンのアプローチが一般的です。また、上司の意思決定は変更されることがあり、従業員はその指示に柔軟に対応する必要があることを理解しておくべきです。また、年齢や職位によって定められた上下関係が存在し、特に上司や年上の人々には敬意を払うことが期待されています。
ベトナムでの平均給与、物価、生活の質

ベトナムでの転職者の給与と生活費・生活面はどうでしょうか。
日本人転職者の平均給与はポジションによって異なりますが、一般職で150万〜300万円、マネージャークラスでは400〜600万円ほどと言われています。
この給与が魅力的と感じるかどうかは人によって異なります。しかしベトナムは物価が比較的安いので、給料の額より質の高い生活を送ることが可能です。
例えば、ホーチミンで4人家族が生活する場合、1ヶ月の生活費は約3,800万ドン(約20万円程度)とされています。一方、日本で同じ家族構成の生活費は約31万円となります。
生活面では、インフラが未整備な場所があり、海外から送られる郵便物が届きにくかったり、停電が起こったりすることもあります。バイク社会なので、歩行者の安全性が低く、日本と同じ感覚で歩いていると事故に巻き込まれる可能性もあり注意が必要です。
このように、ベトナムでのキャリアアップを考慮する際には、単に額面の給料だけでなく、給与と生活費、生活面のバランスも考慮しながら決定しましょう。現地の物価や生活面についての情報収集をして、日本人転職者としての優位性を活かしつつ、充実した海外生活を実現しましょう。
【ベトナムでの生活費】在住者が3つの予算と生活モデルを紹介
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まとめ:ベトナムでの就職・転職を成功させるために
ベトナムは日系企業が多いため、日本での経験やスキルを活かせる場が多くありますが、現地企業や外資系企業でのチャンスも同様、豊富にあります。また、英語力やベトナム語のスキルを磨くことで、より多くの機会を掴むことができます。成功させるためには、まず自分の強みと市場ニーズを理解しましょう。
ベトナムでの就業経験を土台に、日本企業や他国の企業でキャリアアップを成功させることも可能です。
ベトナムの文化やビジネス環境に適応する柔軟性を持つことも大切です。現地の人々とのコミュニケーションを大切にし、異文化理解を深めることで、円滑な職場関係を築くことができます。ベトナムでの就職・転職は、新たなキャリアと生活の可能性を広げるために絶好の機会だと言えます。
新しい納得したキャリアを築くために、この記事が皆さんの役に立てば幸いです。




