2022年時点で、ベトナムに在留する日本人の数は2万人以上いると言われています。
ハノイ・ホーチミンを中心に、その他の地方でも駐在員として働く日本人は非常に多くいるのが現状です。
ベトナムの駐在員と聞くと、
- ・東南アジア、途上国に住むのは大変そう
- ・物価が安く、暮らしやすそう
- ・治安が悪そう
など、第一印象は人によって大きく異なることでしょう。
現在ベトナムは世界的にみても飛躍的な経済成長を遂げており、街の様子や人々の暮らしは5年、10年前と比べても、急激に変化しています。
経済成長途中にある、活気ある国での仕事や暮らしは日本でのそれとは大きく異なるのです。
さらにベトナムでは、ビジネスチャンスも大きく開かれているため、各国から多くの外国人が移住しているのも特徴の一つです。
これから、ベトナムで駐在員として仕事をしたい方、既に辞令を受け駐在準備を進めている方に向けて、リアルな駐在員家族の暮らしを、現在ベトナム駐在の夫に家族帯同している妻の目線から、メリット・デメリットに分けて解説していきます。
現地駐在妻が教えるベトナム生活のリアルな現状
家族帯同でベトナム駐在する魅力
家族帯同でベトナムに駐在するかどうか悩んでいる方に向けて、私の経験談も含めた家族帯同の魅力をご紹介します。
家族一緒に暮らすことができる
駐在に家族帯同する魅力としては、やはりこれが1番かと思います。
遠く離れた異国の地で仕事をするとき、どんな人でも少なからず孤独や不安を感じることでしょう。
そんな時、帰宅すれば家族が待ってくれているというのは、やはり大きな支えになります。
帯同のために乗り越えるべき壁は多くありますが、家族一緒だと不安や心配は半減、喜びや楽しみは倍になるはずです。
日本より良い居住条件で暮らすこともできる
日本国内、特に都市部では、高い家賃を支払っても、なかなか十分な広さの家に住むことは困難です。
しかし、ベトナムでは同じ家賃でも広くて設備の良い家を見つけることができますので、日本よりも広くて住みやすい、綺麗な家に住める場合があります。
会社の補助や福利厚生の条件に大きく左右されますが、住居手当は支給されることがほとんどだと思いますので、今まで支払っていた家賃やローンの分、家計に余裕ができるかもしれません。
会社によっては、掃除、朝食付きのサービスアパートメントでの暮らしを補助してくれる場合もありますので、そうなると日本に住んでいた時より、非常に豊かで余裕のある暮らしをすることができます。
子供に異文化交流の機会を与えられる
子供たちにとって、国をまたぐ移動は大変なことが多いですが、幼少期から異国の文化や人々と交流できるというのは、なかなか得られない経験です。
日本は島国なので、普通に暮らしていれば、日本以外の文化に触れる機会は多くありません。
ベトナムはアジアの国なので、文化として似ている部分も多くあり、子供たちも馴染みやすいのではないかと思います。
異国の文化や人々と現地で触れ合う経験は、きっと子供たちの心の中に貴重な経験として残るのではないかと考えています。
ベビーシッターやマイカーなど子育てが楽になる場合がある
ベトナムではベビーシッターもまた、安く雇うことができます。
日本でベビーシッターというと非常に高額に感じるとは思いますが、ベトナムのベビーシッターは時給300~600円くらいで働いてくれる人が多く存在するのです。
知らないベトナム人に大切な子供を預けることには抵抗があるとは思いますが、私はぜひ一度利用してみることをお勧めしたいと思います。
ベトナム人は日本に比べて子供の数が多いので、子供の扱いに慣れている人が多くいて、中には日本人家庭に勤めて10年、20年というベテランの方も多いので、安心してお任せできます。
ベビーシッターの仕事に加えて、料理や洗濯も一緒にしてくれる方もいますので、ぜひ一緒に子育てを助けてもらうのが良いでしょう。
異国での子育てでは、分からないことやストレスが一層多くなるもの。
そんな時に、ベビーシッターは私たちを助けてくれる頼もしい存在で、私は彼女らがいなければベトナム帯同はやっていけなかったかも、とさえ感じています。
また、会社によっては移動のためのマイカーの手当がつく場合があり、ドライバー付きの車で好きなところに出かけることができます。
日本ではなかなか子連れで出掛けられなかった方でも、ドライバー付きのマイカーで楽に子連れでお出かけができるようになるかもしれません。
全体でみて家計に余裕ができる場合がある
こちらも会社の給与や福利厚生の条件によって大きく異なりますが、通常駐在者は日本の時よりも給与が増額することが多いはずです。
それに加えて、福利厚生では住居や学費の補助が追加されますので、総合的にみた時に家計に余裕ができる場合があると思います。
海外旅行が気軽にできる
ベトナムの周辺には東南アジア各国が隣接していますので、駐在中には、なかなか行けない東南アジアの旅行に気軽に行くことができます。
例えば、アンコールワット、バリ島、シンガポール、タイなどはベトナム駐在者に人気の旅行先です。
ベトジェットなどのLCCを利用すれば価格も非常に安く、フライト時間も2~3時間で行くことができます。
家族帯同でベトナム駐在するときに発生する問題
次に、ベトナムに家族帯同することで生じる問題について解説します。
文化の違う国での暮らしにストレスを感じる
ベトナムに渡航して最初は、どんな方でも少なからずストレスを感じるはずです。
道路にはバイクがひしめき合っていて、騒音もひどく、買い物に行こうにも日本のように便利なコンビニや自動販売機はありません。
日本と同じようには暮らせないので、誰でも慣れるまでは大変です。
ベトナム語、英語が話せないという方は、さらに一人で孤独を抱えてしまうこともあるでしょう。
そうならないためにも、まずは日本人のコミュニティに入ってみることがお勧めです。
ベトナムには同じような境遇で家族帯同している人が多くいますので、話をすることでとても楽になるはずです。
配偶者のキャリアを中断することになる
労働していた配偶者が駐在に帯同するとなると、一度仕事をやめたり、休んだり、キャリアを中断することになる場合がほとんどだと思います。
キャリアを中断してでも、家族帯同するというのはご本人にとって非常に難しい選択です。
駐在員として赴任する方は、パートナーの大きな決断に感謝を感じると共に、今後のキャリアについてもしっかり一緒に話し合うのが良いでしょう。
今では数年休職して復帰できるという会社も多くありますし、帯同の期間をうまく活かして次のステップアップに役立てようという前向きな方も多くいます。
帯同で海外に暮らす間にでも得られる知識や経験は多くありますので、これらを次に繋げていくことができれば、とても良いキャリアアップになるのではないかと思います。
新しい学校に馴染めない場合がある
子供たちが新しい学校や幼稚園に馴染めない可能性があることも事実です。
どうしても子供たちの精神面や関係性が心配な場合には、まずは日系の学校に入学してみることをおすすめします。
日系の学校や幼稚園には必ず日本人の先生がいますので、やり方や子供たちへの接し方に大きな違いはありません。
先生たちも、日本から転校してきた子供たちをたくさん見てきているプロなので、経験値も多くあり、安心して預けることができます。
インターナショナル校に入学、入園させる場合には、言語や教育方法が日本とは大きく異なりますので、子供の個性をよく見て判断するのが良いでしょう。
日本のような娯楽施設が少ない
日本では週末には出掛け先の選択肢がたくさんありますよね。
例えば、公園やショッピングモール、季節のイベントやアミューズメントパークなど・・・
ベトナムにはそのような施設はまだまだ少なく、数えるほどしかありません。
そのため、家族帯同すると日本にいた時に比べて退屈さを感じてしまうこともあるかもしれません。
祖父母などの親戚に会える機会が減る
日本にいた時に、近くに祖父母や親戚が住んでいた場合はなおさら、会える機会が減ってしまいます。
日本とベトナムは飛行機で5~6時間の距離ですが、それでもやはり気軽に行き来できる距離ではありません。
多くても1年に1~2回が会える機会になってしまうでしょう。
祖父母が旅行を兼ねて、駐在中にベトナムに会いに来るという場合もよくあります。
まとめ
ベトナムに家族で帯同駐在する際の準備やメリット、デメリットをご紹介しました。
国を超えて移住するというのは、本当に勇気がいることであり、イメージできずに不安に感じることも多くあるかと思います。
何をするにも、メリットがあればデメリットが存在しますが、私はベトナムに暮らして3年、本当に楽しく充実した毎日を送っています。
何もかもが目新しく、好奇心が旺盛な方にとっては特にベトナムは魅力的かもしれません。
キャリアを中断したことや子供たちの教育で悩むことはありますが、この貴重な機会をどのようにして活かしていくか、それをいつも考えるようにしています。
ベトナムには駐在に帯同している家族が本当にたくさんいますので、その点では安心してください。
駐在員の方も、帯同する家族の方も、まずは不安や心配事を一つずつクリアにして、納得した形で渡航するようにしましょう。
今回の内容が、みなさんの不安解消の役に立っていましたら、大変嬉しく思います。