近年ベトナムでは、カフェ文化が盛んになってきていると注目を浴び始めています。
旅行中や仕事の合間のブレイクタイムとして、コーヒーは大人の贅沢ですよね。
今回は、コーヒー好きなベトナム在住者によって、ベトナム特有のコーヒー文化を解説していきたいと思います。お土産としても優秀なベトナムコーヒーの魅力を是非知っていただけたらと思います。
1. ベトナムのコーヒーの概要(生産量・豆の種類・歴史)
コーヒー豆の生産量について
実はベトナムは、コーヒー豆の生産量が世界トップクラスに多い国です。上記グラフを見てわかる通り、コロンビアやエチオピアなど、有名なコーヒー豆産地を差し置いて、堂々の世界2位となります。
しかし、生産されている豆のうち、ほとんどは国外に輸出されているにも関わらず、あまりコーヒー大国のイメージが付いていないのは何故でしょうか。
その理由は、ベトナムが生産しているコーヒー豆の種類にあります。
ベトナムコーヒーの豆の種類について
私たちが飲んでいるコーヒーの原料はコーヒー豆。そのコーヒー豆には大きく分けて2種類の品種があります。
アラビカ種:日本でもよく飲まれているコーヒー豆
一つ目が、アラビカ種という豆です。この豆は日本のコーヒーショップでもよく使用されており皆さんにも馴染みがあるのではないでしょうか。アラビカ種の豆は香り豊かで酸味やキレのある味わいが特徴的。単品でコーヒーにするのに向いている豆なので人気があり、様々な国のブランドがあります。
ロブスタ種:ベトナムで主流なコーヒー豆
二つ目がロブスタ種といい、ベトナムコーヒーで主に使われている品種です。
ガツンと濃い苦みと渋い味が特徴的で、単品でコーヒーを作ることはあまり無い品種となります。それ故、「ベトナム産コーヒー豆」として単品で売られることが少なく、「ベトナム=コーヒー」というイメージが付きづらくなったのかもしれません。
また、コーヒーにロブスタ種を少し混ぜるとコクが出ると言われており、アラビカ種と混ぜ合わせた「ブレンドコーヒー」として世界中でも親しまれています。ベトナムは、そんなロブスタ種を世界一生産している隠れコーヒー大国なのです。
ベトナムコーヒーの歴史について
ベトナムでコーヒー豆を生産し始めたのは17世紀から18世紀頃と言われており、ヨーロッパから来た宣教師によって持ち込まれました。
ベトナムの地形的に高地栽培に適したアラビカ種が上手く育たなかったことから、国策として低地を好むロブスタ種に力を入れ始め、現在の生産大国へと成長していきました。
その後、現在のベトナムコーヒーのスタイルが確立されたのがフランス植民地時代です。フランス人はコーヒーに牛乳を混ぜて飲む習慣がありましたが、暑いベトナムでは牛乳が手に入る環境がありませんでした。その為、保存に長けていて味も近しいコンデンスミルク(練乳)を混ぜて飲み始めたのが始まりであると言われています。
2. ベトナムコーヒーの特徴と種類
ベトナムコーヒーとは
ロブスタ種の豆から抽出したコーヒーの総称がベトナムコーヒーです。本場のベトナムコーヒーは、コーヒーを濃く抽出するための専用のアルミ製フィルターを使って抽出されます。
また、無糖のベトナムコーヒーは「Cà phê đen(カフェデン)」と表記されます。
皆さんが思い浮かべるコンデンスミルク入りのベトナムコーヒーは「Cà phê sữa(カフェスア)」といい、渋みのあるコーヒーを飲みやすいように試行錯誤されて作られました。パンチがありつつも飲みやすいのは、練乳の甘味や溶けた氷水によって濃い豆の味を中和していくためです。
ベトナムコーヒーの独特なアレンジメニュー
現在ベトナムコーヒーは、様々なスタイルを楽しむことができます。
本項目では、コーヒー好き且つトレンドに敏感なベトナム人によって生み出されてきたアレンジメニューを紹介していきます。現地カフェのメニューで見つけたら是非試してみてください。
エッグコーヒー -ハノイ発祥の名物コーヒー-
ベトナムコーヒーに卵黄、練乳、砂糖をミキシングして作られたクリームを乗せたコーヒー。強い甘みを感じられ、ロブスタ種のコーヒー豆の苦味とのハーモニーを楽しめる一杯。ハノイ発祥のコーヒーですが、ベトナムで一番有名な名物コーヒーかもしれません。
ソルトコーヒー -フエ発祥の名物コーヒー-
ソルトコーヒーは、コンデンスミルク、生クリーム、塩をホイップにしてコーヒーと混ぜた飲み物です。甘味の中に少しの塩味を感じることができ、苦いコーヒーとの相性が抜群。フエ地域が発祥ですが、元々甘塩っぱい味が大好きなベトナム人の中でブレイク中のコーヒーとなります。
バクシウ -若者に人気のベトナム版カフェラテ-
ベトナムコーヒーをコンデンスミルクと牛乳で割ったものがバクシウ。苦味の強いベトナムコーヒーに練乳と牛乳が入ることでとても飲みやすくなり、若者から特に人気を得ています。
ココナッツコーヒー -爽やかで飲みやすいベトナムコーヒー-
コーヒーの中に、ココナッツのシャーベットと牛乳が入ったドリンクです。コーヒーの比率は少なめでとても飲みやすくされています。カフェインを取りすぎた時に丁度よく飲めるかもしれません。
ヨーグルトコーヒー -ベトナムの夏にぴったりのコーヒー-
ベトナムコーヒーとヨーグルトシャーベットを合わせたドリンク。酸味が効いていて、夏にも飲みやすい一品です。
アドカドコーヒー -おやつタイムにもいいベトナムコーヒー-
アボカドとコンデンスミルクをミキサーにかけ、ベトナムコーヒーと混ぜたドリンクがアボカドコーヒー。ベトナムは、日本で食べられるアボカドより若干水水しさが増すためドリンクとしてピッタリ。おやつ感覚で人気の一品です。
3. 初めての方におすすめのベトナムコーヒーショップ
初めてベトナムコーヒーを楽しまれる方におすすめな有名コーヒーチェーン店をご紹介します。ベトナム全土に出店している大手チェーンなので、店舗数が多くアクセスしやすい点がオススメです。
大手コーヒーチェーン:ベトナム特有のコーヒーが有名
チュングエンコーヒー (Trung Nguyên Legend Coffee)
ベトナム人からの人気ランキングNo.1の大手コーヒーチェーンです。ベトナムコーヒーも楽しめます。そしてチェーンだからといって侮るべからず。他チェーン店に比べると高価ですが、こだわりのある高品質な珈琲をいただけます。
コンカフェ (Cộng Cà Phê)
ベトコンコンセプトで人気を博したコンカフェもベトナムコーヒーが楽しめるおすすめチェーン店です。コンカフェは店内の内装にとてもこだわりを持っており、タイムスリップしたかのような感覚を味わえます。ヨーグルトコーヒーやココナッツコーヒーが人気メニューです。
4.おすすめのベトナム産コーヒー豆
ベトナムではロブスタ種の豆が有名。とはいえ、正直ロブスタ種単体で飲むコーヒーはとてもストロングのため美味しく飲めない場合が多いです。そのことを踏まえた上で、ベトナムでも手軽に購入できるおすすめコーヒー豆を紹介していきます。
①ブレンド豆:チュングエンコーヒー
ロブスタ種とアラビカ種をブレンドした豆は、キレのある味わいを作り出すためアイスコーヒーにも向いています。
大手カフェチェーンとして紹介をしたチュングエンコーヒーは、豆の販売でも人気を得ています。基本的にスーパーに行くと必ずといってもいいほど売られている人気メーカー。パッケージも高級感があり、お土産にも好まれています。
②ベトナム産のアラビカ種:ラビエット
ベトナム中部のダラット高原地帯で豆の栽培をしているカフェチェーン。主にアラビカ種を使っており、ベトナム産の中でも良質なアラビカ種のコーヒーが楽しめます。ベトナム在住民であれば知っているほど有名ですが、日本では手に入らないことからお土産に選ぶと喜ばれること間違いなしのブランドです。
③ジャコウネココーヒー
番外編ですが、ベトナムはジャコウネココーヒーも有名です。ジャコウネココーヒーとは、コーヒー豆をジャコウネコに食べさせ、そのフンから出てきた豆を綺麗にして焙煎されたもののことを言います。一見信じられない商品ですが、ネコの腸内菌によって独特の香りが生まれ、世界中で高級豆として人気を持っています。HUONG MAI CAFE(フンマイカフェ)
5. ベトナムコーヒーの自宅での楽しみ方
自宅でベトナムコーヒーを楽しむ方法
ベトナムコーヒーを作る材料
ベトナムコーヒーを自宅で楽しむためには、下記4つの材料を用意してください。
・ロブスタ種のコーヒー豆(代用でアラビカ種の深入りなど苦味のある豆も使用可能)
・アルミ製フィルター
・コンデンスミルク(練乳)・氷
ベトナムコーヒーの淹れ方
1.コンデンスミルクをコップに大さじ
1杯程度入れておく。
2.コーヒー豆を挽いて、アルミフィルターにセットする。
3.お湯をゆっくり注ぎ、コーヒーがコップに落ちるのを待つ。
4.お湯が落ちたらフィルターを外して氷を入れたら完成!
スプーンなどで、沈澱しているコンデンスミルクをかき混ぜながら召し上がってください。
ベトナムコーヒーのフィルターが買える場所
大手コーヒーチェーン店
カフェブランド名 | 価格 |
Trung Nguyên Legend Coffee | 49,000〜79,000vnd |
Phuc Long | 90,000vnd〜 ※コーヒー豆に付属していてセットの価格 |
La Viet Coffee | 200,000vnd(1200円程度) |
ベトナムコーヒーが飲める大手コーヒーチェーンでは、家庭用として楽しめるてアルミフィルターが売られています。価格も50,000VND〜200,000VND(300円〜1200円)とお手頃に購入できるのでオススメとなります。
現地大型スーパー
大型のスーパーでも、アルミフィルターが売られていることが多いです。有名ブランドのコーヒー豆も比較的安価に手に入るので、お土産探しの際に合わせて購入するのもオススメです。
市場
ホーチミンのベンタイン市場や、ハノイのドンスアン市場のように大きい市場では、観光客向けにアルミのコーヒーフィルターが売られています。値段は交渉が必要になりますが、観光で立ち寄った際にまとめて購入したい人におすすめです。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。
世界中で楽しまれているブレンドコーヒーの一部であるロブスタ種が、こんなにもベトナムで生産されているとは思いませんよね。そんなウンチクと共にコーヒー豆をお土産にしたら、きっと喜ばれること間違いなしです。
ぜひ、これからもベトナムコーヒーを楽しんでください。