普段何気なく使っているジェスチャーやボディランゲージでも、海外に行けば全く違う意味に受け取られることもあります。
ときには反感を買ったり、誤解を招くことがあるので要注意です。
この記事ではベトナムのジェスチャーやボディランゲージについて、ベトナム在住8年の筆者が詳しく説明いたします。
ベトナムで絶対避けるべきジェスチャー、日本で使用するがベトナムでは誤解を生むジェスチャー、日本と同じ意味のジェスチャー、ベトナム特有のジェスチャー、その他ベトナムでしてはいけないマナーについて解説します。
1.ベトナムで絶対避けるべきジェスチャー
指を交差させるジェスチャー
指を交差させるジェスチャーは、ベトナムでは非常に失礼に当たります。
ベトナムでは、指を交差させるジェスチャーは卑猥な表現で相手を侮辱するジェスチャーになります。相手を失礼な行為になるので使わないようにしましょう。
日本人はあまり使いませんが、欧米では「幸運を願うジェスチャー」のようです。
しかし、ベトナムでは相手を侮辱する意味が込められています。注意しましょう。
2.日本で使用するがベトナムでは誤解を生むジェスチャー
子供の頭をなでる
子供の頭を撫でる行為は、文化や個人の感情によって異なります。
子供の頭を撫でることは、多くの文化で愛情や親しみを示すジェスチャーとされています。例えば、日本では子供の頭を撫でることは一般的であり、親しい人々によって行われます。
しかし、文化によっては異なる見方をすることもあります。他の人、特に見知らぬ人から子供の頭を撫でられると親が不快な思いをする可能性もあります。
理由として、安全面が挙げられます。ベトナムは日本に比べて誘拐が多いため、ベトナム人の親は子供の安全を心配し警戒心が高まります。
また、衛生面を考慮する親もいます。外部からの接触が感染症を広げる可能性があるため、頭を撫でることを不快に思うことがあります。
他の意見としては、子供の脳の成長への影響を考えて嫌う人もいる様です。幼少期は、頭蓋骨が柔らかく変形しやすいためです。
親しい人々が子供の頭を撫でることは問題ありません。家族や親族が行う場合、愛情や親しみを示す手段として受け入れられています。しかし、見知らぬ人が子供の頭を撫でることは、親にとって不快に感じることがあります。他人が子供に触れる行為は、親の許可を得るべきです。
いずれにしても、他人が不快に思う可能性のあるジェスチャーは避けるのが妥当です。
手招き
手招きの文化的意味は、国や地域によって異なります。
日本では、指を下に向けて手招きすることで、「こっちに来て」という意味があります。
しかし、海外の人々には「シッシ」と遠ざけているように見えてしまうことがあります。ベトナムでも同様で、あっちに行けという意味に捉えられることがあります。
したがって、海外で人を招くジェスチャーをする場合は、手のひらを上に向けて指を曲げるようにすることが適切です。
このように、文化的背景を理解して適切なジェスチャーを使うことが大切です。
3.ベトナムでも同じ意味のジェスチャー
人を指で差す
日本では 人を指で指すことは敬意がないこととみなされます。特に上司や年長者に対しては、指差しは避けるべきです。
ベトナムでも人を指で指すことはよくないこと、敬意がないこととされています。
そのため日本人同様、人を指で指すジェスチャーは気をつけたほうが良いです。
「自分」「私」を表すジェスチャーで、自分の鼻の辺りを指で指すことがあります。
日本では問題ないとされますが、これはベトナム人には意外に思われるようです。自分の顔を指で指す代わりに、胸の辺りに手を当てることで、自分を指し示すことができます。
親指を下に向ける
親指を上に向けるジェスチャーは、「悪い」「つまらない」の意味から「死ね」など悪いイメージとして認識されています。相手によって受け取り方は異なるかもしれません。
一方、親指を上に向けるジェスチャーは、何かが良いことや成功したことを示す際に使われます。これは肯定的な意味を持ち、相手に「良くやった!」「GOOD!」と伝える手段として広く受け入れられています。他にも、このジェスチャーは「ナンバーワン!」という意味も持つようです。
これは世界共通のジェスチャーですよね。
①指きり
指切りゲンマンは、日本の文化で固い約束をする際に行われるジェスチャーです。このジェスチャーでは、互いの小指を引っ掛けて「指切りゲンマン」と言います。ベトナムでは同様の意味を持つジェスチャーがありますが、小指だけでなく人差し指でも行っても大丈夫です。
②数の数え方
数の数え方は、文化によって異なります。日本では指を折って数えることが一般的ですが、ベトナムでは指を折るのではなく、関節を利用して数えます。具体的には、人差し指の根元側から指先に向けて「1、2、3、4…」と数えていきます。
4.ベトナム特有のジェスチャー
広げた手を表裏クルクル回す
広げた手を表裏にクルクル回す動作は、ベトナム特有のジェスチャーです。ベトナム人がこのジェスチャーをすると、さまざまな意味が含まれています。以下にその詳細を説明します。
- ●「分かりません」: ベトナム人が顔の横で手を表裏にクルクル回すと、相手に対して「分かりません」という意味を伝えます。これは、相手が何かを尋ねた際に、自分がそのことを理解していないことを示すジェスチャーです。
- ●「ありません」: 同様に、手を表裏にクルクル回すことで、「ありません」という意味も表現されます。相手が何かを要求したり、何かを求めたりした際に、自分がそれを持っていないことを示すために使われます。
- ●「違います」: さらに、このジェスチャーは「違います」という意味でも使われます。相手の提案や意見に対して、自分の意見や立場が異なることを示す際に用います。
また、客引きをする売り子に対してこのジェスチャーをすると、「必要ありません」という意味になります。つまり、売り子が何かを勧めてきた際に、自分はそれを必要としないことを示すために使われます。
このジェスチャーは、ベトナム文化に根付いており、日常的なコミュニケーションで頻繁に使われています。
5.その他ベトナムでしてはいけないマナー
スープの器に口をつけてすすらない
器から食べる料理、例えば「フォー」などを食べる際、直接口をつけてスープをすするのはマナー違反です。
ベトナムでは、「大きな器は持ち上げない」というのが一般的で、スープを飲む場合にはレンゲを使って音を立てずに飲むのが正しいマナーだとされています。
また、麵料理の器や丼ものの器を持ち上げて食べることも、マナーが悪いと思われるので気をつけてください。
麺をすすって食べない
フォーなどの麺類を注文するときは、一旦麺をスプーンにのせてから音を立てずに口に運ぶようにしましょう。
日本では蕎麦やうどん、ラーメンを食べるときには音を立てて食べるのがごくごく一般的ですが、ベトナムでは麺をすすって食べるのはマナー違反です。
フォーなどの麺類を注文すると、必ず箸と一緒にレンゲやスプーンが付いてきますので、箸でつかんだ麺を一旦スプーンにのせて「おしとやかに」いただきましょう。
料理を取り分けるときに直箸をしない
ベトナムでは大皿で料理が提供され、自分の分を取り分けて食べるのが一般的です。他の人の分を取り分ける際には「直箸」はやめましょう。
ただし、自分の食べる分を取るときには、自分の箸を直接大皿に入れる直箸で問題ありません。
年長者に失礼な発言・行動をしない
ベトナム文化において、年長者への敬意は非常に重要です。
儒教の影響を受けて、ベトナム社会では年長者を尊重する態度が日本よりも厳格に守られています。
役職や立場に関係なく、年上の人には丁寧な口調で接することが求められます。
この文化的価値観は、ベトナム社会において深く根付いており、人々は年長者に対して敬意を払うことを大切にしています。
このため、ベトナムでは公共交通機関で若い人が年上の人に席を譲ることが一般的です。
若い人は、周りに注意を払い、お年寄りや妊婦さんがいたら必ず席を譲りましょう。
50代、60代の方なら、バスや電車で席を譲られるのは気が引けるかもしれませんが、敬意の表れですので受け止めてあげましょう。
ベトナムでの滞在がより快適になることでしょう。
人前でしからない
ベトナム人を他の人がいる前でしかったり、間違いを指摘することは避けましょう。
ベトナム人はただでさえ怒られることが嫌いです。他の人の前でしかられると、プライドが傷つき、自己弁護を永遠と続け、自分の非を認めません。
これは歴史的背景に由来する理由もあるようです。
ベトナムはフランス、アメリカなどの植民地下に置かれ抑圧されてきました。こうした背景から、自分の非を認める=罰を受ける(時に命を失う)ということになったため、公衆の面前で非を認めないという習慣が身についた、と言われています。
注意するときは誰もいないところで、穏やかに教えましょう。
6.まとめ
ベトナム人でやってはいけないジェスチャーやマナーについて解説しました。
指を交差させるジェスチャーはベトナムでは非常に失礼です。これは性的に卑猥な意味を持ち、相手を侮辱する行為になります。注意しましょう。
子供の頭をなでるのも避けましょう。ベトナムでは誘拐が多いため、親が不快に思う可能性があります。
手招きも注意が必要です。指を下にして手招きすると、ベトナムでは遠ざけているように見えてしまうことがあります。
人を指で指さないことも大切です。日本と同様、ベトナムでも敬意を示すために気をつけましょう。
広げた手を表裏クルクル回すはベトナム特有のジェスチャーで、「分かりません」「ありません」「違います」などの意味があります。
その他のベトナムでしてはいけないマナーには、フォーの器に口をつけてすすらない、麺をすすって食べない、料理を取り分ける際に直箸を使わない、年長者に失礼な発言・行動をしない、人前でしからないなどがあります。
これらのマナーを守ることで、ベトナムでの滞在がより快適になることでしょう。
この情報が皆様のお役に立てば幸いです。