ベトナムといえば首都のハノイ、商業の都市ホーチミン、リゾート地のダナン、ニャチャン、フーコックを思い浮かべる方も多いと思います。
では、ハイフォンはどうでしょうか?
「どこにあるの?何があるの?」とまったくイメージが湧かない方もいるはず。
筆者も住んでみるまではそうでした。
ベトナムの旅行雑誌にもハイフォンの情報はなく、地球の歩き方で2,3ページ紹介があるくらい…。
今回は、2024年7月にハイフォン生活をスタートした現地在住の筆者が、住んでみての驚きや、リアルな暮らしについてお伝えしていきます。
ハイフォンの基本情報
ハイフォンってどこにあるの?
ハイフォンはベトナム北部に位置し、ハノイ、ホーチミンに次ぐ第三の都市です。
首都ハノイから東へ約100km、車で約2時間の距離にあり、海に面した港町です。
日本からだとハノイのノイバイ空港からバスやタクシーでハイフォンに向かうことになります。
ハイフォンにも「カットビ国際空港」という空港はありますが、現在日本への直行便はありません。
ベトナム国内の主要都市(ホーチミンやダナンなど)のフライト、国外だと韓国、中国への直行便があります。(2024.10現在)
人口と気候
ハイフォンの人口は約200万人で、急速に成長している経済都市でもあります。
海を介した貿易が盛んで、ベトナムの主要な貿易港の一つ「ハイフォン港」があるため、非常に重要な役割を果たしています。
ハイフォン港は東南アジアだけでなく、世界各国とつながり、輸出入が活発に行われています。
気候はハノイと同じように亜熱帯気候で、四季があります。
夏は非常に暑く、35度を超える日も珍しくありませんが、冬になると20度以下に下がり、比較的過ごしやすい気温になります。
ただし、年間平均湿度は80%前後のため、蒸し暑い日も多く、湿気対策は必要です。
簡易な除湿剤だとすぐに交換時期が来てしまい、あまり効果は期待できません。
筆者はハイフォンに来て早々に、服にカビが発生してしまいました。
今では、現地の家電量販店で購入した除湿機で対策をしています。
市内の移動方法
ハイフォンでの市内移動には、タクシーやバス、バイクが一般的な手段として利用されています。
筆者がよく利用している、ベトナム全土で広く使われている「Grab」という配車アプリも非常に便利です。
このアプリでは、スマートフォンで手軽に車やバイクを呼ぶことができ、事前に運賃がわかるため安心して利用しています。
物価
ハイフォンの物価は、日本と比較するとかなりリーズナブルです。
ローカルレストランや食材、タクシーなどの物価は圧倒的に日本より安いです。
例えば、
・ローカルのレストランで「フォー」一杯約240円 「ブンチャー」一杯約180円
・飲料水は水500ml約60円、コーラ1.5ℓ約100円
・野菜は玉ねぎ1玉(大)約35円、人参1本約30円、キャベツ1玉約80円
・マッサージ90分(全身)約2,000円
・タクシーは3kmで約350円
このように、ローカルレストランや食材、タクシーが日本に比べて安いため、生活費を抑えた暮らしができます。
ハイフォンの文化:観光・食・ショッピング
ハイフォンは、フランス植民地時代からの歴史的な影響を強く受けています。
フランス統治下にあった19世紀後半から港湾都市として発展し、現在でもフランス風の建物や街並みが残されています。
ハイフォンの中心部を歩けば、ヨーロッパ風の建物を目にすることができ、ベトナムと西洋文化が交じり合った独特な雰囲気を感じられます。
ハイフォンの観光スポット
ハイフォンにはいくつかの観光スポットがあり、自然や歴史、文化を楽しむことができます。
以下で、おすすめの場所をご紹介します!
カットバ島
美しい風景を持つハロン湾に浮かぶ「カットバ島」は、ハイフォンからアクセスできる人気の観光地です。
市内からフェリーで約1時間の距離にあり、美しい自然と豊かな海が広がるリゾート地として知られています。
カットバ島では、ハイキングやカヤック、シュノーケリングなどのアクティビティを楽しむことができ、特に週末には多くの観光客が訪れます。
また、島周辺にはシーフードレストランが多くあり、新鮮な魚介類を存分に堪能できるのも魅力です。
ドーソンビーチ
「ドーソンビーチ」は、市内から車で約30分の距離にあり、地元の人々や観光客に人気のスポットです。
ここでは海水浴や日光浴を楽しむことができ、週末には多くの家族連れが訪れます。
さらに、ビーチ周辺にはシーフードレストランが並び、ハイフォンで獲れた新鮮な魚介類を味わうことができます。
ビンホームズ ロイヤル アイランド
ハイフォンのヴイエン島に位置するベトナム初の島型都市開発エリアです。
一部のレストランやゴルフコース、乗馬体験はオープンしていますが、今後はメガモール、遊園地、サファリ動物園を含む豪華な商業施設が揃う予定です。
ハイフォン市内には、電気自動車のバス(Vinbus)が走っており、無料でビンホームズロイヤルアイランドに向かうことができます。(2024.10月現在)
Vinbusのアプリをダウンロードすれば、リアルタイムで何分後にバスが来るのか確認できるので大変便利です。
ハイフォンの食文化
ハイフォンの食文化も、観光客や現地の人にとっても大きな魅力のひとつです。
ハイフォングルメツアーが組まれるくらい、美食の街としても知られています。
ベトナム全体で知られる料理に加え、ハイフォンならではの特産品や郷土料理も豊富です。
バインダークア
ハイフォンの名物料理といえば「バインダークア」です。
これは、ライスヌードルを使ったスープ料理で、エビやカニなどの海産物がたっぷりと使われています。
ハイフォンの港で獲れた新鮮なシーフードがふんだんに使われており、ベトナム全土でも知られる名物料理です。
日本人の口にも合うあっさりした味わいで、多くの観光客に愛されています。
ネムクアベー(揚げ春巻き)
「ネムクアベー」はカニ肉をたっぷり使った揚げ春巻きです。
外側はカリッと揚がっており、中はジューシーで香ばしい味わいが楽しめます。
甘辛いタレをつけて食べるのが一般的で、ビールとの相性も抜群です。
ベトナムの多くの都市で春巻きが食べられますが、ハイフォンのネムクアベーは特に有名です。
バインミーカイ
「バインミーカイ」は、細長いフランスパンを使ったサンドイッチで、豚レバーのパテと特製の辛いチリソースがたっぷりと使われています。
ハイフォンのストリートフードとして人気があり、その独特のピリッとした辛さが特徴です。
シンプルながらも満足感のある一品で、多くの観光客に愛されています。
ハイフォンの娯楽
ハイフォンでは、日常生活に必要なものを手に入れるためのショッピングスポットも充実しています。ベトナム全土で展開しているスーパーやショッピングモールもあり、日本人にとっても使いやすい環境です。
ローカル市場
ハイフォンには多くのローカル市場があり、新鮮な野菜や果物、魚介類が手に入ります。
筆者はスーパーよりもローカル市場の方が、野菜や果物が比較的新鮮だと感じているので、週に1回は足を運んでいます。
また、人参や玉ねぎはスーパーで売られていないこともありますが、市場では売っているので、大変助かっています。
ベトナム語で値段を聞き取れないこともありますが、分からなければ携帯の電卓やお札を見せて値段を教えてくれるので、言葉の壁があっても安心してお買い物をしています!
筆者が大好きなマンゴーは、1つ90円程で手に入ることもあり冷蔵庫には常にストックしています。
スーパーとショッピングモール
ハイフォン市内には、大型スーパーやグローバルブランドが集まるショッピングモールがあります。
主に、日本の「イオンモール」やタイ発祥の大型スーパー「GO!」があり、ここでは食料品、日用品、家電製品など、日常生活に必要なほとんどのものが揃います。
特に「イオンモール」では、日本の食材や製品が手に入るため、ベトナム生活の中でも日本の味を楽しむことができます。
日本で買うより金額は高いですが、慣れ親しんだ味が恋しくなった時には助かる存在です。
カフェ・レストラン
ベトナムはカフェ文化が盛んで、ハイフォンにも多くのおしゃれなカフェがあります。地元の人々は、日常的にカフェでコーヒーを楽しんでいます。
Wi-Fiが整備されているカフェが多いため、リラックスしながら仕事や勉強をすることも可能です。
レストランについても、地元料理だけでなく、日本食レストランや韓国料理、インド料理の店も多くあります。
特に、日本人向けの寿司屋やラーメン店、焼肉店などは、現地で暮らす日本人にとって心強い存在です。
家族や友人と外食を楽しむ際に、様々な選択肢があるのもハイフォンの魅力の一つです。
ハイフォン生活で驚いた6つのこと(日本との比較)
ハイフォンに実際住んでみて感じた驚きや体験をご紹介します!
クラクションの音が頻繁に聞こえる
ベトナムであればどこの地域もそうだとは思いますが、ハイフォンの街では、クラクションの音が絶えず響いています。
あおり運転の時もありますが、「今私はここにいるから気を付けてね」という注意喚起の意味合いで鳴らす方も多いのかなと感じています。
バイクの運転手が道を曲がる際にもクラクションをよく鳴らしています。
マンゴーやヤシの実が落ちてくる
街中にはマンゴーやヤシの木が生えているエリアもあり、食べ頃になると実が自然に落ちてきます。
実際、筆者も歩いていた時にすぐそばに落ちてきたことがあり、とてもびっくりしました。
今では、木の側を歩く際には頭上を注意しながら歩いています。
また、地元の人がラクロスの棒に似ている道具を使って、自由に実を取っている光景を目にしたこともあります。
グーグルマップは正確ではない
行きたいお店に行こうと思ってもGoogleマップが必ずしも正確とは限りません。
Googleマップ上では、右側を示していても左側にあることもあります。
はたまた、50メートル先にお店があった経験もあります。
もし見当たらなければ、向かいの方面や少し進んで探してみることをお勧めします。
筆者は道に迷ったら、その場にいる地元の人に聞いて助けてもらうことが多いです。
歩道は整備されていないところが多い
歩道はあまり整備されておらず、凸凹した歩道が多く見られます。
特にレンガ敷きの歩道では、前日に雨が降っていると、レンガの下に水が溜まっていることがあります。
そのため、レンガを踏むと水が出てきて足が濡れてしまうことがあります。
なるべく濡れても大丈夫な靴やサンダルを履くことをお勧めします。
早朝から夜遅くまで活気がある
ハイフォンの人々は朝早くから夜遅くまで活気にあふれています。
ローカル市場は朝5時頃から営業しており、10時頃にはすでに品揃えが少ないことがあります。
早起きの習慣から、昼寝をする人が多く、夕方頃には再び活気が戻ります。
夕方になると通りや公園がにぎやかになり、夜21時を過ぎてもイオンモールや広場では子どもたちが遊んでいます。
また、音楽を爆音で流しながらエアロビクスをしている地元の女性たちもおり、夜遅くまでにぎやかな雰囲気が続く、活気にあふれる街だと感じています。
治安も良く、ひったくりにあった話などは、今のところ聞いたことはありません。
優しい人が多い
ハイフォンに来て一番感じていることは、優しい人が多いことです。
・レジに並んでいたら、別のレジの方が空いているよと声をかけてくれた
・気づかないうちに帽子を落としてしまっていたら、拾って声をかけてくれた
・道が分からない時に尋ねたら、行きたい場所まで連れて行ってくれた
・言葉の壁があってもGoogle翻訳を使ってコミュニケーションを取ろうとしてくれる
こうした経験から、ハイフォンでは親切なベトナム人に助けられる場面が多く、温かさを感じています。
まとめ
ハイフォンは、ベトナムの中でもまだあまり知られていない都市かもしれません。
しかし実際に住んでみると、ハイフォンの魅力と文化が次々に発見できる場所です。
海に面した港町として、経済的にも重要な位置にあり、新鮮なシーフードや独自の食文化も楽しめます。
観光地としても、自然の美しさや歴史的建造物が多く、地元ならではの魅力に溢れています。
湿気対策やクラクションの音など、日本とは異なる環境に驚くこともありますが、現地での生活は比較的安価で、日本人にとっても住みやすい都市です。
ハイフォンでの生活は、日本のクオリティを求めると少しコストがかかることもありますが、工夫次第で快適に過ごせると思います。
今回の情報が、ハイフォンでの生活を検討している方や、興味を持っている方にとって、役立つ内容であれば嬉しいです。