この記事では、ベトナム就職の際に、多くの人が気になる2つの質問に応えます。
- 日本と比べて生活レベルを落とさないといけないの?
- 貯金できるの?
2つの質問に応えるため、生活レベルに応じた3つの予算例を紹介します。
「この月給で生活ができるかどうか?」ではなく、「このレベルの生活をしたいなら、この金額が必要」という、目標とする生活レベルから逆算しています。
これから現地採用を検討される人、現地採用や駐在員としての赴任が決まっている人が、ベトナム現地での生活イメージを付けるのに最適です。
また、最後の章に家族帯同の場合の追加金額も提示します。
配偶者やお子様と一緒に赴任を検討している人にも、役に立つ内容です。
読了後は、どれくらいの金額でどれほどの生活ができるか、金額と生活イメージが具体的になるでしょう。
最低限・日本並み・日本以上の3つの生活費モデルに分けて考える
まずは、最低限・日本並み・日本以上、それぞれの生活費モデルを見ていきましょう。
結論から言うと、最低限の生活レベルでは約1,000ドル、日本並みでは約1,700ドル、日本以上では3,000ドルの生活費が求められます。
実際にベトナムで生活をする筆者や同僚、友人の経験から割り出した金額です。
言い換えると、上記3つの金額以上の給与は、貯金や投資に回すことができます。
次に、上記の金額でどれくらいのレベルの生活を送ることができるのでしょうか。
最低限・日本並み・日本以上の3段階別に見ていきましょう。
1.最低限の生活に必要な金額
まずはベトナムにおいて、「最低限の生活に必要な金額」を紹介します。
1ヶ月の生活費モデル
上記で紹介したように、最低限の生活に必要な金額は、1ヶ月あたり約1,000ドルです。
項目 | 金額 |
家賃 | 400ドル |
光熱費 | 50ドル |
携帯電話・通信費 | 40ドル |
食費 | 300ドル |
交際費 | 150ドル |
その他 | 60ドル |
合計 | 1,000ドル |
この金額で、実際にどのような生活を送ることができるのでしょうか。
具体的に生活レベルを見ていきましょう。
【定義】最低限の生活レベルとは?
まずは、「最低限の生活レベル」とはどの程度か、その定義を確認しましょう。
本記事において、最低限の生活レベルは以下のように定義します。
- 衣:仕事とプライベートで身につけるものは既に揃っており、買い物は3、4ヶ月に1回。
- 食:1日3食は十分に食べる。自炊中心で外食は週に2-3回。
- 住:必要最低限の家を借りることができる。家賃は250〜400ドルほど。
- その他:ベトナム国内旅行は3ヶ月〜6ヶ月に1回。海外旅行は6ヶ月〜1年に1回。
全体を通して、過度な節約はしないけれども、買い物や外食回数は抑える、というレベルです。
日本でも、上記のような生活をしている人もいれば、買い物や外食回数は日本よりも減ってしまうな、という人もいるかもしれません。
ポイントと注意点
最低限の生活レベルを実践する上でのポイントは以下のとおりです。
- 衣:衣服や靴などは、日本で複数購入し、着回すことで買い物回数を減らせるようにする。
- 食:日本食のデリバリーや外食回数を抑え、意識的にローカル食や自炊を選ぶようにする。
- 住:日系の不動産仲介業者ではなく、ローカルの仲介業者やSNS、ベトナム人の同僚のツテを活用し、安価な家賃の家を探す。
- その他:ベトナム国内旅行は、飛行機に乗らないバス旅行を選ぶ。日本への一時帰国は年1回にする。
全体を通して、意識的に費用を抑える努力が求められると言えるでしょう。
低予算でも気にせず楽しめる人には向いているかもしれません。
一方で、「せっかくのベトナム生活なのに楽しみが無さそう」と感じられる人もいるでしょう。
とはいえ、外食は週2〜3回できますし、上述の通り娯楽費も確保されているので、飲み会や旅行、ゴルフなどの交流も楽しむことができます。
よって、貯金をしたい人や生活費を最小限に抑えたい人には向いている一方、現地日本人との交流などを存分に楽しみたい人には向かない生活レベルと言えるでしょう。
2.日本並みの生活に必要な金額
次に、日本並みの生活を送るのに必要な金額について、解説します。
1ヶ月の生活費モデル
先に述べたように、1,700ドルあれば、ベトナムにて日本並みの生活を送れるでしょう。
内訳は以下のとおりです。
項目 | 金額 |
家賃 | 700ドル |
光熱費 | 50ドル |
携帯電話・通信費 | 40ドル |
食費 | 500ドル |
交際費 | 300ドル |
その他 | 110ドル |
合計 | 1,700ドル |
【定義】日本並みの生活レベルとは?
ここで、日本並みの生活レベルとはどういうものか、具体的に見ていきましょう。
- 衣:仕事用、プライベート用共に1〜2ヶ月に1回は買い物できる。
- 食:週に4〜5回、日本料理店での外食をする余裕がある。
- 住:日本の一般的なアパートのような綺麗さの住宅を選ぶことができる。家賃は月400〜700ドル程度。
- その他:ベトナム国内旅行は毎月1回。海外旅行も2,3ヶ月に1回可能。日本への一時帰国も年2回行う余裕がある。
全体的に、買い物や外食、旅行などの頻度を上げても余裕があるレベルと言えます。
特に食について、1週間の内多くの日において、日本食の外食を楽しめるようになります。
住居も、ベトナム現地で言う「サービスアパート」を借りることができます。
サービスアパートは、日本のアパートと遜色のない綺麗さに加えて、物件によっては掃除と選択サービスも付いています。
気兼ねなく買い物と日本食を食べ、快適に住むことができるレベルということが分かります。
ポイントと注意点
日本並みの生活レベルを送る上でのポイントと注意点は、以下のとおりです。
- 衣:日本からベトナムへの配送は控える。ベトナム地場でも品質の高い服屋・スーツ屋を見つける。
- 食:価格帯の異なる日本食屋を使い分ける。駐在員とのお付き合いの頻度に注意。
- 住:プール付きや2つ以上の寝室がある部屋の賃貸は困難。
- その他:ベトナム国内旅行、海外旅行共に、大型休みの航空券は3ヶ月前以上に予約する。
買い物や移動など、やりたい事は我慢せず実行しながらも、無計画な出費は避ける努力をすることがコツと言えるでしょう。
3.日本以上の生活に必要な金額
3つ目に、日本以上の生活に必要な金額を紹介します。
1ヶ月の生活費モデル
こちらも先述のとおり、3,000ドルあれば、ベトナムにて日本以上の生活を送ることができるでしょう。
内訳は以下のとおりです。
項目 | 金額 |
家賃 | 1,000ドル |
光熱費 | 80ドル |
携帯電話・通信費 | 60ドル |
食費 | 700ドル |
交際費 | 1,000ドル |
その他 | 160ドル |
合計 | 3,000ドル |
【定義】日本以上の生活レベルとは?
では、ベトナムで送ることの出来る日本以上の生活レベルとは、一体どのレベルなのでしょうか。
衣食住とその他に分けて解説します。
- 衣:毎月買い物を楽しめる。日本からの配送も気兼ねなく可能。
- 食:毎日日本食の外食をする余裕がある。
- 住:家賃月700ドル以上のサービスアパート、プール付コンドミニアムに住むことが出来る。
- その他:ベトナム国内・海外旅行を毎月楽しめる。日本帰国も3,4ヶ月に1回可能。
出費が増えてもそこまで気にならず、日本在住では味わいにくい住環境を通して、充実した生活を送ることができる、と言えるでしょう。
特に住居については、日本では住む機会の限られるプール付のコンドミニアムを借りることができます。
この点は、日本の都心部より比較的賃料の安価な、ベトナムの醍醐味を感じられるかもしれません。
また、移動についても毎月旅行に行く余裕が生まれます。
特に、海外旅行の頻度を上げられるため、週末1泊2日での海外旅行、ベトナム生活開始1年以内に東南アジア全カ国制覇も、現実的に可能です。
筆者自身は、1年以内に全カ国訪問、は叶わなかったものの、
ベトナム勤務開始後、3年以内にタイ・カンボジア・マレーシア・シンガポールの4カ国へ訪問することができました。
距離が近く航空券も安価なので、まるで日本国内を旅行する感覚です。
日本では借りにくい住居環境や毎月の海外旅行などを楽しみたい人には、日本以上の生活レベルを目指されると、ベトナム生活がより一層楽しくなるでしょう。
ポイントと注意点
日本以上の生活レベルを送る際のポイントと注意点は以下のとおりです。
- 衣:荷物が増え、引っ越しの度に荷造りに時間が掛かる。
- 食:日本食や飲み会により費用がかさみがち。
- 住:生活レベルが日本より高くなる場合があり、日本帰国時の環境のギャップに苦しむ。
- その他:旅行代金がかさむ傾向にあり。日本帰国時に気軽に海外へ行けないギャップを感じる。
費用が増えがちなことに加え、日本帰国時に環境のギャップを感じてしまうリスクが生まれることが分かります。
ここまで、3つの生活モデル別に、単身者向けの予算例を紹介してきました。
最後に、家族帯同の場合の追加費用を見ていきましょう。
参考:家族帯同の場合の追加費用
家族帯同の場合は、これまで紹介した費用に加えて、以下の金額を計算に入れると良いでしょう。
配偶者と子供1名を想定した金額です。
項目 | 金額 |
家賃 | +300〜500ドル |
住居費 | +200〜400ドル |
娯楽費 | +100〜300ドル |
学費 | +300〜700ドル |
追加費用合計 | 900〜1900ドル |
最低でも、1ヶ月あたり900ドルの追加を見込むと良いでしょう。
因みに、学費は、日本人向けの幼稚園や小中学校の場合です。
もしインターナショナルスクールを選ぶと、1ヶ月1000〜2000ドルにまで金額がはね上がります。
筆者の知人である大手メーカー勤務の人に話を伺ったところ、手当として、学費の半分は会社から支給されるとのこと。
それでも、自己負担分は1ヶ月500から1000ドルになります。
現地採用を検討している人はもちろん、日本勤務よりも待遇が上がることが多い駐在員の人も、追加費用分を想定されると、1ヶ月の収支が赤字ということを防ぎ、貯金をすることができるでしょう。
まとめ:自分が送りたい生活モデルに応じて求人を選びましょう。
今回は、最低限・日本並み・日本以上の3つの生活費モデルを見てきました。
ベトナム就職を検討する際、求人への応募と同じくらい、自分が送りたい生活モデルを予めイメージすることも重要です。
ベトナムに来てから、「生活が快適ではない」「思ったより貯金ができない」といった事態を防げるからです。
今回の記事が、毎月求められる金額と生活を、より具体的にイメージできるようになれば幸いです。