ベトナムへの移住計画:ステップバイステップで解説

ベトナム現地生活情報

「ベトナム移住ってどう?」
「ベトナム移住の準備をどこから始めたらいい?」

近年、多くの人々が新たな機会を求めてベトナムへの移住を選んでいます。

では、ベトナム移住の魅力とは具体的に何なのでしょうか?そして、どのように移住の準備を進めたらいいのでしょうか?在住8年の筆者がベトナムへの移住を計画的に進めるステップとして、

ベトナム移住のメリット
ビザの準備
資金計画
住居の確保
言語学習
仕事とビジネス

について丁寧に解説します。

ベトナム移住のメリット

ベトナムの経済成長

ベトナムは、その急速な経済成長と安定した政治環境で、多くの人々にとって魅力的な移住先となっています。

近年、ベトナムはASEAN諸国の中でも特に目覚ましい発展を遂げ、外国投資の増加や観光業の拡大により、国のインフラと生活水準が向上しています。また、若くて活気に満ちた労働力と、外国人に対して開かれたビジネス環境が、ビジネスチャンスやライフワークバランスのとれた労働環境を提供しています。

生活コストの魅力

ベトナム移住の魅力は、手頃な生活費、そして充実したサービスによって特徴づけられます。

日本の都市圏と同等の家賃で、家具付きの広々とした住空間、プールやジムなどの設備を享受できます。また、日本食品スーパーや日系企業の店舗が多く、日本の生活品が手に入りやすい環境も魅力の一つです。ベトナムでの生活は、日本では味わえないプチ贅沢を可能にし、快適な毎日を送ることができるでしょう。

温暖な気候と自然の美しさ

ベトナムは、温暖な気候と豊かな自然に恵まれており、多くの人々が移住を考える理由の一つです。

南部は一年を通して暖かい日が多く、北部は四季の変化も穏やかです(冬でも日本ほど寒くありません)。北部の山岳地帯から南部の熱帯ビーチまで、多様な景色が楽しめます。特にハロン湾のような世界遺産は、その壮大な自然美で知られています。また、都市部では近代的な生活を送りつつも、わずかな距離で手つかずの自然を満喫することができるのも、ベトナムの大きな魅力です。

これらの要素が組み合わさり、ベトナムは移住先として非常に魅力的な選択肢となっています。ベトナム暮らしのメリット・デメリットについては詳しくは下記の記事を参照してください。

ベトナム暮らしの魅力と注意点を在住者が解説!【日本人向け】
「ベトナムは日本の生活より不便なイメージだけど、実際はどう?」 「ベトナムって暮らしやすいの?暮らしにくいの?」 「ベトナム在住者の、生の意見を聞いてみたい」 ベトナム暮らしの魅力、メリット・デメリット、注意点、落とし穴などを在住8年の筆者...

移住の準備:ビザの種類、必要な書類、移住前に行うべき手続き

ビザの種類

ベトナムには、観光ビザ、商用ビザ、就労ビザ、家族帯同ビザ、投資家ビザ、学生ビザなど、目的に応じた様々なビザが存在します。

そのうち1年以上ベトナムに長期滞在できるビザは、商用ビザ、就労ビザ、家族帯同ビザ、投資家ビザ、学生ビザの5つです。タイやマレーシア、フィリピンのようなリタイアメントビザはなく、資産や収入があれば住めるという国ではありません。

観光ビザ最大3ヶ月滞在と短いため、移住には利用できませんがお試し移住には利用可能です。

ビザの種類によって必要な書類や条件が異なるため、事前にしっかりと調査しましょう(パスポートや証明写真など基本的な必要書類はリストから省略しています)。

①商用ビザ(DN):長期出張向け

わかりやすく説明すると、ベトナムへの長期出張のビザです。

商用ビザは1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年の滞在が可能で、主に出張で利用できます。

商用ビザは、ベトナムで勤務することが前提になります。そのため、労働許可書の要件を満たし、かつ企業に雇用される(現地採用・日本採用でのベトナム出向)必要があります。

    1. <必要書類等>
  • ・招聘状
  • ・在ベトナム法人の投資登録証明書・企業登録証明書の公証済みコピー
  • ・在ベトナム法人の登記社印及び代表者サインの登録書の公証済みコピー
  • ・申請書N2

商用ビザ(DN)はあくまで出張者向けのビザです。長期滞在する場合、商用ビザで入国後に、労働許可書を取得して就労ビザ(LD)に切り替え、一時在留許可証(テンポラリーレジデンスカード:TRC)を取得するのが、ベトナム移住の第一歩です。

②就労ビザ(LD): 企業雇用向け

わかりやすく説明すると、 ベトナムで働く人のビザです。

就労ビザは、ベトナムでの就労を目的とする外国人が取得するビザです。就労ビザは3か月から3年間の滞在が可能です。申請には、雇用主が保証人となり、労働許可書の申請を行うことが一般的です。

    1. <必要書類等>
  • ・労働許可証申請書
  • ・投資登録証明書・企業登録証明書、または駐在員事務所の設立許可書
  • ・職務経歴書
  • ・学歴・職歴証明
  • ・犯罪経歴証明
  • ・労働契約書

③投資家ビザ(DT):投資家・個人事業主向け

わかりやすく説明すると、ベトナムで投資している人・ビジネスをする人のビザです。

投資家としてビジネスを行う為のビザになり、出資額に応じてビザの期間も変わります。

  • ・DT1(出資額は 1000 億 VND 以上)ビザ期間 5年間
  • ・DT2(出資額は 500 億 VND 以上~1000 億 VND 未満)ビザ期間 5年間
  • ・DT3(出資額は 30 億 VND 以上~500 億 VND 未満) ビザ期間 3年間
  • ・DT4(出資額は 30 億 VND 未満) ビザ期間 1年間
    1. <必要書類等>
  • ・印鑑登録証明書
  • ・投資登録証明書・企業登録証明書、組織の設立決定書等の公証済みコピー
  • ・保証企業・組織の資本金・株式の拠出証明書の公証済みコピー
  • ・一時的滞在証明書
  • ・申請書NA5
  • ・申請書NA16

④家族帯同ビザ(TT):同行する家族向け

わかりやすく説明すると、ベトナムで働く人の家族のビザです。

駐在員・投資家などベトナムビザ保有者の配偶者や、18歳未満の子供またはベトナム人配偶者のビザを取得できます。期間は最長2年間です。

ベトナム人配偶者の場合は家族帯同ビザでは無く、入国後はビザ免除申請があり、その場合の期間は5年間になります(半年に一度出国の必要あり)。

    1. <必要書類等>
  • 招聘状
  • 就労者の企業登録証明書公証済みコピー
  • 就労者のビザまたはレジデンスカードまたは労働許可証
  • 戸籍謄本(家族全員分)の公証済みコピー

⑤留学ビザ(DHビザ):学生向け

わかりやすく説明すると、ベトナムへ留学する学生のビザです。

18歳以上が対象になり、留学先機関(大学)が入国管理局に申請する期間に応じてビザが発行されます。

「学生ビザ」の期間は、1か月、3か月、6か月、1年および2年です。最長2年間ですが、一般的には6か月が認められて期間終了後はベトナム国内で延長する場合が多いです。

ベトナムの留学先大学に出願すると、大学は学内審査・入国管理局を経て、仮許可書・入学許可書を出願者へ送付します。在日ベトナム大使館、総領事館で学生ビザの申請をします。

    1. <必要書類等>
  • ・ビザ申請書
  • ・ベトナムの教育機関が発行した入学許可書
  • ・ベトナム入国管理局が発行した仮許可書

現地での生活:住居選びのポイント、生活コスト、言語の壁の克服方法

ベトナムでの生活を始めるにあたり、生活コストの把握、​​住居選び、そして言語の壁の克服は、移住者にとって重要な課題です。これらのポイントを理解し、適切に準備することで、ベトナムでの生活がより快適になります。

ベトナム移住に必要な最低金額

移住に必要な貯金額は約40万円

初期費用:4〜6万円
成田からホーチミンまでの飛行機はvietjetだと3〜5万円で、ビザ取得費用は25〜50ドル(約4,000〜8,000円)です。

渡航までにかかる費用は4〜6万円程度です。

3ヶ月分の生活費:340,000円
ホーチミンの単身向け住居の家賃は約650万VND〜(約40,000円〜)です。家具・家電が備え付けなので入居後すぐに生活できます。契約時にはデポジット(一般的に約2カ月分)が必要で、その月の家賃も前払いするため、入居時に家賃3ヶ月分が必要です。

内容 月当たり 数量 合計
家賃(3ヶ月分) 40,000円 ×3 120,000円 
デポジット 80,000円 ×1 80,000円
食費(3ヶ月分) 30,000円 ×3 90,000円
光熱費(3ヶ月分) 7,000円 ×3 21,000円
携帯代(3ヶ月分) 1,000円 ×3 3,000円
合計 314,000円

娯楽費として
・水泳、ジムなど:29-40usd(約4,000~5,700円)
・ネイル(月に1回):10-16usd(約1,400~2300円)
・美容室(2−3ヶ月に1回):100usd(約14,000円)

当面の生活費としての移住前に約40万円程度(初期費用約6万円、3ヶ月分の生活費約34万円)用意しておくとよいでしょう。

家族の場合は、下記の参照情報を参考にしてください。

家族の生活費の目安
・家賃:約800usd-4,000usd(約110,000円~620,000円)
・電気代:約150usd-250usd(約21,000~36,000円)
・水道代:約50usd-80usd(約7,200~11,000円)
・食費:約800usd-1000usd(約110,000~140,000円)
・交通費:約100usd-150usd(約14,000~21,000円)
・交際費:約200usd-300usd(約28,000~43,000円)
・教育費:約2,000usd-30,000usd/人/年(約28~300万円)

住居選びのポイント

ベトナムへの移住を考えている方にとって、住居選びは非常に重要なステップです。ベトナムでの住居選びでは、立地(アクセス、周辺インフラ、安全性)、価格、設備、契約条件などを考慮する必要があります。

立地: 通勤や日常生活の利便性を考慮し、よく行く場所へのアクセスの良い地域、周辺インフラの充実した地域を選ぶことが重要です。ベトナムは治安が比較的良好ですが、夜間の一人歩きは避けるべき地域もあるので、安全面でも確認が必要です。

価格: 都市部の住居費は、ローカルアパートで月額約650万VND〜(約40,000円〜)から、コンドミニアムでは1億VND(約62万円)を超える物件まで幅広く存在します。一人暮らしの場合、平均的な価格帯は約650万VND〜1,500万VND(約40,000円〜100,000円)です。中心部のアパートメントにはプールやジムなどが併設しています。

設備: 必要な家具・家電備え付けか、また、インターネットの接続有無なども確認しましょう。

契約条件: 契約期間や解約条件を事前に確認し、自分のライフスタイルに合った柔軟性があるかどうかをチェックしましょう。

これらのポイントを踏まえ、現地の不動産エージェントと相談しながら、最適な住居を選ぶことが重要です。また、実際に物件を訪れてみることで、その地域の雰囲気や生活環境を肌で感じることができます。

ベトナムでの新生活をスムーズにスタートさせるためにも、住居選びには十分な時間をかけ、慎重に行いましょう。

言語の壁の克服方法

ベトナム語は独特の発音と南北で異なる方言があり、初学者にとっては挑戦的です。

しかし、日常会話を学ぶことは、現地の人々とのコミュニケーションを深めるために非常に有効です。言語学校への通学やオンラインの言語交換プログラムを利用することで、言語の壁を乗り越える手助けができます。

独学でベトナム語を学ぶ方法は下記の記事を参考にしてください。

【ベトナム語の勉強方法を徹底解説】独学でベトナム語を習得する10ステップ
”ベトナム語を独学で学ぶ効果的な勉強方法が知りたい” ”でも全く未知の言語をどうやって習得したらいいんだろう” 筆者はベトナム語学習歴18年、ベトナム在住歴8年、現在ホーチミンで独立開業し、ベトナム人相手に社員教育や交渉を行っています。 し...

仕事とビジネス:ベトナムでの就職機会、起業のための法律と規制

ベトナムを含む海外でのキャリアを築くことは、今では現実的な選択肢です。

ベトナムでは経済の成長と共に、就職機会が増え、起業に対する法律と規制も整備されています。ここでは、ベトナムでの仕事探しやビジネスの立ち上げについて解説します。

ベトナムでの就職機会

ベトナムでの就職機会は、経済成長と共に拡大しています。特に日系企業の進出が目立ち、日本人にとっても多くのチャンスがあります。

業界: ベトナムの主要産業はサービス業、工業・建設業で、特にIT、製造、観光業界が活発です。

求人: 日系企業の現地採用が多く、日本人向けの求人も増加傾向にあります。「ベトスカウト」などの転職エージェントを利用すると良いでしょう

給与: 経験や能力に応じて、給与に開きがありますが、成果を出せば給与アップの可能性もあります。

言語: 英語はビジネスで広く使われており、日本語でのコミュニケーション能力も重視されます。ベトナム語が話せるとさらに有利です。

これらの情報を踏まえると、ベトナムでの就職は、新たなキャリアのチャンスとして、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

起業のための法律と規制

ベトナムでの起業は、その経済成長と市場の可能性により、多くの外国人投資家・個人事業主にとって魅力的な選択肢です。

しかし、成功を収めるためには、ベトナムの法律と規制を理解し、遵守することが不可欠です。ベトナムでは、外国人がビジネスを始める際には、投資登録証明書(IRC)企業登録証明書(ERC)が必要となります。

起業する場合、特定のビジネス分野における投資禁止または条件付き投資分野を把握し、必要なライセンスや許可を取得する必要があります。例えば、小売や流通には外資系企業に対する特定の規制があり、食品安全法や消防法など、特定の業種には追加の規制が適用される場合もあります。

また、ベトナムでは労働法、税法、環境法など、ビジネス運営に影響を与える多くの法律が存在します。これらの法律は頻繁に更新されるため、最新の情報を得ることが重要ですジェトロなどの機関は、ベトナムでのビジネス展開に必要な法律情報を提供しており、参考になるでしょう。

ベトナムでのビジネス成功の鍵は、適切な法律知識を持ち、地元のエージェントと協力しながら、法的要件を満たすことですこれにより、スムーズなビジネス展開と長期的な成長が可能になります。

まとめ:移住を成功させるためのチェックリスト

ベトナムへの移住は、計画的に進めることが成功の鍵です。以下のチェックリストとステップを参考に、スムーズな移住生活を実現しましょう。

ビザの準備:移住に適したビザを取得するために必要な書類を整えます。
資金計画:初期費用・生活費などの費用を含めた資金計画を立てます。
住居の確保:安全で快適な住居を事前にリサーチし、契約を済ませます。
言語学習:基本的なベトナム語を学び、コミュニケーションの基盤を築きます。
仕事とビジネス:地元のエージェントと協力して、ビザ・法規制・登録要件を克服することで、ベトナムでの就職・起業の機会があります。

これらのステップを踏むことで、ベトナムでの新生活はより豊かで充実したものになると思います。

移住は一つの終点ではなく、新たな人生の始まりです。

ベトナムでの生活を楽しみ、この美しい国での冒険を心から満喫してください。最後に、常に柔軟な姿勢を持ち、新しい環境に適応することが大切です。ベトナムでの素晴らしい未来に向けて、今日から一歩を踏み出しましょう。

この記事が皆様のお役に立てば幸いです。

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