日本円の価値が下がる中、ベトナムドンを含む外貨の利用・管理に関心を持つ人が増えています。
為替情報は投資やビジネスを行う人にとってだけでなく、海外在住者にとって生活に関わるリアルなテーマです。
この記事は、ベトナムに興味を持つ人々、特に移住や投資を考えている方々がベトナムドンに関する基本的な情報から、現地での賢いお金の使い方まで、現地在住者の視点から解説します。
ベトナムドンの基本情報
ベトナムの公式通貨であるVND(ドン)は、2024年7月8日現在、ベトナムドンは、100米ドルは約2,500,000ドンに相当し、10,000円は約1,580,000ドンに相当します。
米ドルに対して自国の通貨の変動幅を固定し、その幅の範囲内で各国通貨が自由に取引される制度(管理フロート制)を取っています。以前はアメリカによって為替操作国とされていましたが、2024年7月現在、「(為替)監視対象国」と指定されています(日本も「(為替)監視対象国」に指定されている)。
紙幣が一般的であり、最も一般的な紙幣は500,000ドン、200,000ドン、100,000ドン、50,000ドン、20,000ドン、10,000ドン、5,000ドン、2,000ドン、1,000ドンです。硬貨も存在するようですが市場では全く流通していません。
ベトナムドンの歴史と現状
ドンの歴史的背景
ベトナムドン(ドン)は、その名(ドン=銅)が示す通り、古くは銅銭が流通していた時代から名付けられました。フランス植民地時代には硬貨が使われていました。
フランスから独立後、南北ベトナムで別々のドンが発行されていましたが、1976年の国家統一とともに全国で統一されたドンが誕生しました。
ドンは、USDやJPYといった主要通貨と比較して、価値が安定していないという特徴があります。
1980年代から1990年代初頭にかけて、ベトナムドンは激しいインフレーションに見舞われ、通貨の信頼性が低い時代が続きました。最近では2008年と2011年に、約20%前後のインフレーションが発生しており、これはベトナムの経済がまだ発展途上であることが原因です。
しかし、ベトナムの経済成長が続く中で、ドンの価値も徐々に安定してきていることが見受けられます。近年、ベトナムドンのインフレ率は安定的に約3%前後となっています。
ベトナムドンと他通貨との比較
ドンとUSD、JPYなど主要通貨との比較
コロナ前(2019年)時点では、10,000円=約2,200,000ドンでした。100米ドル=約2,300,000ドンでした。
2023〜2024年、通貨ドンの価値は、対米ドル、対日本円で大きく異なるようになりました。10,000円は約1,580,000ドンとなり、一方100米ドルは約2,500,000ドンとなりました。
このような状況下で、賢いお金の管理が求められており、価値の安定した外貨への交換や、為替変動に強い資産への投資が課題となっています。
為替レートの変動要因
為替レートは、政治的な安定性、経済成長率、貿易バランス、金利の違いなど、多くの要因によって影響を受けます。
ベトナムでは、外国直接投資の増加や輸出の拡大がドンの価値を支えていますが、国内のインフレや世界経済の変動は、ドンの価値に対して下向きの圧力をかけることがあります。
現地在住者が教えるドンの賢い使い方
ベトナム在住者は、日常生活でドンを賢く使うためにいくつかの工夫をしています。
旅行者や駐在員の方々には、両替テクニックが特に重要です。
ベトナムでは、空港や街中の両替所、ホテル、銀行で日本円からベトナムドンへの両替が可能ですが、街中の両替所が最も良いレートを提供していると言われています。
両替時にはパスポートの提示が必要ない店がほとんどですが、念のため持参することをお勧めします。レートの良い両替所や両替のコツについては下記の記事を参照してください。
ベトナムドンの紙幣は色が似ているものが多いため、特に20,000ドンと500,000ドンの紙幣は間違えやすいです。
支払い前には、紙幣に記載された数字を確認してください。
ベトナムドンを上手に両替して管理することで、日々の生活や旅行をより賢くより豊かにすることができます。
投資としてのベトナムドン
ベトナムドンを投資ポートフォリオに含めることは、多様なメリットを享受できます。ベトナムの経済は近年、安定した成長を遂げており、特に外国直接投資(FDI)の流入が増加しています。
ベトナム経済は、安定した成長を続けており、外国からの投資も増加しています。世界的な経済低迷により多くの国が低成長に留まる中、ベトナムGDP成長率は2023年5.05%になりました。目標の6.5%を下回ったものの比較的良好な経済状況は、ベトナムドンに対する信頼が高まり、通貨としての魅力が増しています。
しかし、投資にはリスクも伴います。
ベトナムドンは新興国の市場通貨であり、政治的変動や国際経済の影響を受けやすいため、為替リスクを考慮する必要があります。また、法整備や法制度の頻繁な改正による影響や、行政手続きの煩雑さなど、投資環境リスクも存在します。さらに、2024年現在、ベトナム経済は不動産市場を中心に低迷傾向にあり、投資家は慎重な姿勢を見せています。
これらのリスクを理解し、適切なリスクマネジメントを行うことができれば、ベトナムは今後も成長する「のびしろ」の大きい市場です。ベトナムでの投資は、慎重かつ戦略的にアプローチすることで、そのポテンシャルを最大限に引き出すことができるでしょう。
まとめと今後の見通し
ベトナム経済は、安定した成長を続けており、外国からの投資も増加しています。世界的な経済低迷により多くの国が低成長に留まる中、比較的良好な経済状況を続けており、これによりベトナムドンの通貨としての価値も安定傾向にあります。
ベトナムドンは、以前は為替操作国とされていましたが、現在はその指摘から解除され、政治的視点でも通貨としての信頼性が高まっています。
旅行や駐在の際は、両替の仕方を工夫することでベトナムドンを賢く利用することができます。
ベトナムドンを含む投資ポートフォリオを検討する際は、通貨の安定性や経済の成長性を考慮に入れ、長期投資・分散投資を行うと同時に、通貨の変動に注意を払い、日々のニュースや経済動向に敏感でいましょう。ベトナムドンは将来性がある通貨ですが、それに伴うリスクも理解し、賢くお金を管理しましょう。
この情報が皆様のお役に立てば幸いです。